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理子の後について、中の螺旋階段を登る。
錆か汚れか、いくらか黒ずんだステンレス製の階段を踏む音が、不規則に反響する。
丘の階段からずっと変わらない歩調で私の前を突き進む理子の背中は、目の前にあるのに、なぜかとても遠くに感じて、私の足もとはなんどかぐらついた。
これから私は理子の夢を、積み上げた塔を崩そうとしていた。
なんの用があって私をここへ呼び出したのかは知らないけど、おそらくまたいつものように告白して、好きを積み重ねていくつもりなのだろう。
でも、それも今日で終わりだった。
私はきっぱり嫌いだと伝えるつもりでいた。