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小さい頃、私は積み木で遊ぶのがとても下手だった。
どんなに慎重に積み上げても、自分の背の高さに届く前にいつも積み木は崩れ落ちていた。絵本に出てきた塔が作りたかったのに、不器用なせいでなんどやっても積み木は微妙にズレていって、バランスを失い、私の塔はついに一度も落成することはなかった。
少しの誤差を重ねるだけで、夢は簡単に崩壊してしまう。
幼いながらにその真実を知った私は、それ以降どんなに些細なことでも誤差やズレがあるとそれが気になって仕方がなく、自分でもあきれるぐらいに神経質になったり、臆病になったりした。
それが原因で喧嘩になることも多々あって、いじめられることさえあった。