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シンデレラの義姉

作者: 平野とまる

 少しでも楽しんで頂ければ幸いです。

 生まれ変わったのに前世の記憶を持っていた私。

 前世から見ると中世ヨーロッパ的な世界と言えば良いのか。

 まぁ、今世の私から見ると、前世の私は何故か遠い未来の日本って国で生きていたみたい。

 魂だけ遡ったのかしら? と不思議に思いつつ。現代日本って物凄く便利だったんだなぁって実感もしている。


 が、やりがいがあるかはまた別で。

 前世では結構な怠け者で部屋も中々に汚ければ、その上面倒くさがりでお洒落等もテキトーだった私。

 だけど、今世ではまるで生まれ変わったかのように……いや、実際記憶はあっても人格は生まれ変わってたのか何をやっていても楽しいのだ。


 先ず目覚めたのはお洒落。

 いや、別に前世を悲観する訳でもないのだけど、その頃は完全に平凡顔だったのに今では超整った顔なのだ。

 お母様が美人だからね、見事にその血を受け継いだみたい。

 となると、俄然お洒落も楽しくなっちゃったの。

 お化粧とかも何で前世の頃に真面目にしなかったのかな? って思うくらい楽しくて……。

 ああ、やっぱり人格が違うからかな?


 ただ、そうなってくると他の事もやりたくなっちゃうのが今世の私。

 うん、死ななきゃ直らないって事は、死んだら直るんだなぁって実感しちゃった。

 ……何で死んだのかとかどういう風に死んだのかはさっぱり覚えてないのだけどね。


 ともかく、お父様は何故かいらっしゃらなかったのだけど、お母様は所謂貴族らしくて親戚や知り合いの皆様に相当良くしてもらってこの時代にしてはかなり快適だったと思う。

 うん、前世の記憶さえ無ければ……勘違いしていたんじゃないかな? って思うくらいにちやほやされて育ったとも思えるの。

 其の辺はお母様は本当に綺麗な人で、色んな思いも絡んだんじゃないかな? って思うし。知識のおかげである程度色々察する事も出来たのだけどね。


 そんな中で、でもこれだけ良くしてくれるのならば何かお返ししたいと思うのは私の中では自然な流れで。

 前世の記憶を活かしてお菓子を作ってみたり、お掃除もお手伝いしてみたりすると……これがまた楽しいのだ。

 その上皆ありがとうって言ってくれて、調子に乗らない訳が無い。

 実は、お洒落よりも好きになってしまっていたり。


 そんな訳で、ちゃんと夜会に行く時等は思いっきりお洒落するのだけど、普段は汚れてもいい服装で家事をしまくる変な子に育ってしまった訳だ。

 うん、お母様が私を愛して下さっていて、本当はさせたくなさそうだけど何だかんだ折れて下さっている事には常に感謝している。


 そして、妹も凄く可愛くて。

 ただ、若干太りやすい体質だったようで、私のお古が入らなくてショックを受けたりしたのだけど。

 ならばと前世のダイエット関係の知識を引っ張り出して2人で一緒に頑張って、おかげでとっても仲良し姉妹で評判なのは私の自慢だったり。

 ただ、ちょっと調子に乗りやすいのが玉に瑕なのよねぇ。

 ちやほやされすぎた弊害かしら?

 しかも、お母様も私達は特別みたいな感じに接したりする事が多いし。

 ちゃんと私が注意し続けたから、極端に酷い訳じゃないんだけどね。

 ただ、お母様はあまり良い顔をせず逆に私を叱ったりしてたけど……毎回色々屁理屈こねて反論してごめんなさい。


 多分本当はお母様の方が正しいと、なんとなくわかる。

 そりゃぁね、使用人さんにも丁寧に対応して向こうが困惑しちゃっていたものね。

 でも、前世の記憶あるのに目上の人に失礼な事なんて出来ないよ。

 それに、人に立場の違いはあっても上下なんてないと思っているしね。


 何はともあれ、簡潔に言えば自由気ままに生きてきちゃった訳なんだけども。

 去年お母様が再婚する事になって、とっても嬉しくて祝いまくったのだけど。

 うん、いや、新しいお父様も妹もとっても素敵な方々で一切不満も何もあるはずもない。

 問題はそこではなく。


「しまったぁ。私シンデレラの意地悪長女に生まれ変わったのかぁ」


 思わず口から溢れてしまったのだけど。

 うん、そう言う事みたい。

 だって、まさか新しい妹の名前がまんまシンデレラだなんてそうとしか考えられないし。

 そして、多分私が前世の記憶持ちじゃなかったら、間違いなく私の知るシンデレラストーリーになっていたと思うの。


 でも、私が色々自由に行動してしまったせいで、お母様は以前に比べればだいぶ穏やかになったし……。

 それでもまだまだキツくて、結構シンディに言いつけしているけど、無論私が助けているから問題なし。

 そして、実妹のアメリア方は……なんでかシンディを虐めだしたのでびっくりして聞いてみれば、私を取られそうでなんて、きゃーもう何て可愛いのかしら!


 はっ、そんな場合でもなく。

 つまりは、シンデレラストーリーぶち壊してました。てへぺろ。


 ……てへぺろはないわー。

 前世では多分いい年まで生きたっぽいし、今世でももう20になる行き遅れの癖にないわー。

 まぁ、今世で行き遅れなのは、妹達を幸せにしてから! と言う思いが強すぎた結果だけど。

 うん、お母様の小言が徐々に厳しくなっていて……最近はアリーもだいぶ言われているみたい。

 アリーはアリーでお姉様の先にはって言っているようで、だからその言葉を持ってお母様にも責められているのだけど。

 っと、だいぶ話がそれちゃった。


「本当にどうしましょう」


 割りとシンデレラのあの物語が好きだった私。

 当然普通に舞踏会にシンディーが参加出来るのは良いのだけど。

 問題は、下手に王族になってあの子が苦労しないかと言う事。

 現実で考えてみると、相当に大変なはずだ。

 勿論、私が率先して色々着飾ったりマナーとかも勉強したりしていたから、何も学んでいないより苦労はしないと思うけど……。

 むー、慈しんだからこそちょっと待ったをかけたい気持ちもある。

 ぶっちゃければ、今の家柄と釣り合う貴族の男性と恋愛結婚とかして欲しいのだけど。


「本当にどうしましょう」


 あ、また同じ言葉を呟いちゃった。

 昨日はそのせいでシンディーにもアリーにも心配されてしまうし。

 ええい、もうなるようにしかならないわよね。

 うん、愛しい妹が幸せになってくれるのなら、お姉ちゃん全力で応援もサポートもするわ。


 まぁ、少なくとも原作と言えばいいのか、前世の頃に知っていたストーリーをぶち壊して、シンディーと仲良くなれたのは良かったわ。

 アリーとも時間は掛かったのだけど仲良くなったみたいだし。

 流石にお母様は無理だったようだけど……、こちらはお父様とラブラブにしたから問題なしっと。

 まさかの子供が出来た事に吃驚したのだけど……この世界では超高齢出産になっちゃうようだけど、別に前世の頃じゃ30代で出産何てザラにあった話だし、今のところ順調でめでたい限りだ。

 出産は年明けの予定で、今日の舞踏会には不参加なお母様。

 つまり私が2人のお母さん役をしなきゃで……出来れば王子様は別の子を見初めて下さらないかしら?

 そう願いたいのだけど……シンディーは本当に愛らしいから、そこはブレイク出来ないかも。


 悶々と悩みつつも時間は待ってくれるはずもなく。

 結局なんの策も持てないまま王宮へ向かう馬車へ乗り込むのだった。



「ふふふふ、こんなに綺麗な自慢の妹達と一緒に参加出来て幸せだわー」


 悩んでいたのもなんのその、とっても綺麗に着飾った2人の妹を見て舞い上がりまくりの私。

 うん、もうこの子達を見て惚れない男なんていないんじゃないのかしら?

 それは困るのだけど、でも仕方ないわよね。

 なんて謎の思考にふける私。


「いやいや、お姉様こそ一番お美しいですからね」


「そうですよ、私達自慢の姉です」


「ふふふ。2人ともありがとう」


 またまたー、お世辞が上手なんだから。

 いや、自分が美人の自覚くらいそりゃあるけど、でもシンディーやアリーの引き立て役なくらい分かってますって。

 何だかんだ拒める程度にしか求婚は来なかった訳だしね。

 場合によっては、一切求婚を拒めない事もあるって事くらい知っているし。

 勿論それで何かを思うわけでもないけどね。

 別に特別親しい男性は不在だし、何より妹達とイチャイチャするので私忙しかったし、何より前世と違ってなんか今世ではモテたいって気持ち殆どないですから。


 っと、少しトリップしていると何やら相談している2人。

 なんの相談かしら? と近づこうとすると2人が私に視線を合わせてにこやかに不思議な事を口にする。


「さぁ、お姉様。是非幸せになって下さいね」


「私達、中々会えなくなろうとも、ずっとお慕い致します」


 何だろう? まるで私がどこか遠くに言ってしまうような?

 不思議に思って口を開いたのだけど。言葉を発する前に第3王子殿下に声をかけられる。


「さぁ、これでもう逃げられると思うなよ」


「へ? 逃げるって、私別に殿下から逃げた事ないと思うのですが」


 長子の王太子殿下からは母親が違うのもあり年子で第2第3王子と続くのだけど。

 実は第3王子と私は同じ年で、まぁ夜会はお洒落出来る絶好の機会なので割りと参加しまくった私。

 同じ年だったせいか妙に組まされたりお話させて頂いたりしていたのだけど、うん、全然逃げてないよね?


 って、考え事しているうちに何故か手を取られているのだけど。

 えっ? えっ? どういう事?


「シンデレラ嬢にアメリア嬢。姉上を貰い受けるぞ」


「はい、是非幸せにしてあげて下さいませ」


「お姉様、シンディーは私にお任せして楽しんで来て下さい」


「えっ、ちょっと待っ――」


「もう待てないぞ」


 いや、ちょっと!?

 えええええ、急展開過ぎてついて行けないのだけど?


 良い笑顔を浮かべる殿下に、実はこっそり恋をしていた私はつい黙ってしまう。

 ううう、なんで? こんなの全然聞いてないよ!




 この晩王太子殿下と第2殿下の嫁探しだった筈の舞踏会で、何故か国王様の下私と殿下の婚約が発表され……お母様、完全にサプライズとか恨みますよ?

 ……伝言でいつまでも意地張ってないで観念しないさいと、発表後にしっかり伝えられたのだけど。

 殿下凄く楽しそうに笑っている場合ではありません! って、え? 求婚何回もしていたのにスルーしていたのは私?

 え? え? 何ですかそれ、聞いてないのですけど!


 因みに、シンディーは原作通りというか何と言うか、王太子殿下に見初められて……でも受けた理由おかしいよ?

 何で私と会えるなら! って理由なの? 王太子殿下とっても苦笑いしていたよ?

 アメリアもなんか王弟である公爵様の跡継ぎの方といい雰囲気だし。


 ええい、ハッピーエンドならもう良いよね!!

 やりたい設定でただただだーっと書いた感じになってしまいましたが、少しでも楽しんで頂ければ嬉しいです。

 それでは、ご閲覧誠にありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] happyendが大好き 皆が幸せなシンデレラ、いいですね。
[良い点] 主人公の性格が好ましく、楽しく読めました。 [気になる点] ×特別「見」たいな感じに ○特別「み」たいな感じに ×「応急」へ向かう馬車 ○「王宮」へ向かう馬車 [一言] これは主人公がシ…
2014/06/09 00:58 誤字報告です
[一言] 合言葉は、”みんなで幸せになろうよ”。 なんか、ほっこりしました。
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