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第54話 送り骨

 書きながら寝落ちして、画面いっぱいに「あああああああ」ってなっててびっくりした。

 そんな今日この頃、皆様いかがお過ごしですか?


 では、本文どぞー。

「……確かに、こちらに襲い掛かってくる様子は無いようでござる」

「俺とか疾風が襲われた時と何が違うんだ……? こっちに女性がいるからか?」


 そうはいっても、俺の時は母さんが一緒に居たから違うか。

 あれか、女の子がいるからとか。それなら納得だな。確かに母さんは若く見られるけど、どう頑張っても女の子って感じじゃ……殺気!?

 ……あっちの方角か。勘だけで正確に殺気飛ばすのやめて欲しいわ。


「それは流石に違うでござろう」

「他に思い当たる節があるとすれば、このゴッツさんに貰った許可証でしょうか」

「あー、そうか。そういわれてみれば、骨先輩もこの許可証を見てる気がするな」


 綺麗な白骨美を俺たちに見せつけてる骨先輩に眼球は無いから、本当に何となく顔がその辺りを見ている気がするだけだけどな。


「とはいえどうしよう。骨先輩が俺たちをどうしたいのかが分からん」

「こちらをジッと見て立っているだけでござるからな」

「ところでさきから気になっていたんですけど、アリスさんが言っているその骨先輩って何ですか?」

「あそこで立ってる骨の人の愛称みたいなもんかな」

「主は名前に関する感性が圧倒的に足りておらんな。嘆かわしい」

「しょうがないだろ。初めて出遭った瞬間に思いついちゃったんだから」


 大体からして、いきなり顎下から脳天まで貫かれそうになった状態で冷静に名前考えてる暇なんてないっての。

 

 さぁて、こうやって話してる間に骨先輩から何かしらの反応があると期待したんだけど、化け熊の死体から降り立ったまま微動だにしてくれないな。

 かといって、こっちから近づくのは怖すぎるし……あ、そうだ。


「あれアリスさん、アプの実を袋から取り出してどうされたんですか?」

「いやちょっとさ。骨先輩に近づくのは怖いけど、何かしらの反応は欲しいなと思ってな。ちょっと骨先輩に投げ渡してみようかと」

「それをすることによって、こちらに襲い掛かってくるのではないでござろうか」

「あの様子なら大丈夫じゃね? それにほら、これも広い意味ではお供え物だから」


 そう言いながら、下手投げでふわっと孤を描くように骨先輩にアプの実を投げる。

 よいこは絶対に真似しちゃ駄目だぞ。


「これで避けるなり受け止めるなり、反応があればいい」


 シュランッ


「んだけ……ど? あれ、アプの実消えた?」

「何やら微かに鞘走りの音は聞こえたでござるが……」

「骨さんはやっぱり微動だにしてませんね……あ、いえ。骨さんの手を見てください!」

「あ、本当だ。手がちょっと動いてる。……だけじゃない!? あれは……!」

「そんな……有り得ぬでござろう……!」


 まさか、まさかそんな……! 骨先輩のて、手の平の上に……!


 綺麗に八等分されて、更には野兎の形に切り飾られたアプの実が……!!


「あの一瞬で切り分けから飾り切りまでこなすなんて……。それも、ナイフじゃなくて片手剣で……! 負けた、俺の完敗だ……」

「そこでござるか!? 剣閃すら見せぬ剣の技量ではなく、料理の腕前に敗北を感じていたのでござるか!?」

「だって疾風見てみろよ、あのまるで測ったかのように綺麗に等分されたアプの実を。そして、耳を表わすために切り取った皮の残りを使って、野兎の目を表現する芸の細かさを……!」

「それはそれで超絶的な技術であるとは思うでござるが、今の拙者達に脅威になるのは剣の技量の方でござろう!?」

「それも思ったんだけどさ。あそこまで俺達と強さが隔絶してるなら、骨先輩が殺そうと思ってるなら俺達もうすでに死んでるだろ」

「それはまぁ、そうでござるが……」

「それに相手に害意がないんなら、変に身構えて神経すり減らすのも馬鹿らしいからな」

「とはいえ、完全に油断をするのは禁物でござる」

「そこは分かってるって。さて、そうするとあの俺たちの進行方向にいる骨先輩をどうするかだけど……突っ切るか、遠回りするか。マナはどうしたらいいと思う? ……あれ、マナは?」


 あれ、さっきまでそこに居たのにな。どこ行ったんだ?

 

「主よ、マナとやらを探しているならあの骨の所に居るぞ」

「でぇ!? まさか、不意打ちで魔術撃ち込む気じゃないだろうな!?」


 ついさっき『フレイムランスを撃ち込め!』とか言ってた俺が言えた義理じゃないが、わざわざ骨先輩を敵に回す事もないし敵に回したくもない。

 まだ間に合うなら、マナを止めて


「わぁ。本当に可愛い兎さんです! 食べてしまうのが勿体ないくらいですね」

「カタカタカタカタ」

「うん! このシャクシャクとした歯触りと甘酸っぱい果汁が絶妙ですね。とっても美味しいです!」

「カタカタカタカタカタ」


 なんか楽しそうに談笑してるーー! しかも若干、骨先輩も楽しそうにしてる気がするーー!

 

 なんであの子は平然と骨先輩からアプの実を貰ってるのかしら?

 そんなに小腹が空いてたのかしら?

 なんかもう驚きすぎて、口調もおかしくなっちゃったじゃないか。


「あっ! アリスさんと疾風さんもいかがですか? 美味しいですよ?」

「カタカタカタカタ」


 おおぅ、しかもこっちに話振ってきたよ。

 俺も流石にこの短い時間で、苦手意識を克服するのは無理があるぜ?

 俺だけじゃなくて疾風だって


「おお! これは確かに美味いでござるな!」

「ですよね! 切り方一つでここまで味が向上するなんて不思議です」

「カタカタカタカタカタ」


 疾風お前もかーい! お前も小腹が空いてたのかーい!


 お前さっきまで油断は禁物とか言ってたろうよ。その対象から直接食べ物貰うってどうなのさ。

 そりゃあ、毒には耐性があるって話だったけど。


「はぁ。なんか俺だけ苦手意識とか言ってるのが馬鹿みたいじゃないか」

「主はもう少し頭を柔軟にしたほうがよいな」

「頭があるかどうかも分からないお前に言われると傷付くわ」

「な!? この天地に並ぶもの無し、と言われた頭脳明晰な我に向かって何を言うか!」

「いやだから、その話は今の世の中には伝わってないっての」


 ライオの自己紹介って一体いくつ種類があるんだろうな。

 基本的に自画自賛してるだけな気もするけど。


「まぁ、いいや。おーい、俺にも一欠片くれー」

「おや、もう残っていないでござる」

「えぇ!? そんな殺生な!」

「ごめんなさい。美味しくてついつい」

「出遅れた俺が悪いか……。まだアプの実はあるから、骨先輩に渡したら切ってくれないかな?」

「どうでござろう。手渡して依頼すれば切ってくれるのではござらんか?」

「それもそうか。お願いします、このアプの実も切ってください」


 傍から見ると、白骨に果実を渡しながら切ってもらえるように頼むって不思議極まりない光景だろうな。

 ……あれ、アプの実を片手に持ったまま骨先輩が動かない。


「……駄目ですか?」

「……カタカタカタカタカタ」

「……なんて言ってるんだろう」

「拙者も骨人の言語は流石に習得しておらんでござる」

「私にもちょっと……」

「カタカタ」


 俺たちが困惑してるのが伝わったのか、骨先輩が身振り手振りでの意思疎通を図ろうとしてくれている。

 どうも、俺たちに一緒に来いと言っているみたいだ。

 これは……罠か? いや、そんなことをする意味がないな。


「なんか、ついてきて欲しいみたいだな」

「どうもその様でござるな」

「どうしましょう……。一応、私たちの目的地と方向は一致していますが」

「なら問題ないかなぁ。でもなぁ……」

「主よ、彼の骨のことを警戒しているようならそれは杞憂でしかないぞ」

「いやぁ、やっぱいきなり襲われた時の事がどうも頭をよぎってな」

「ふむ。それも何か理由があってのことであろう」

「なんだよ、やけに骨先輩の肩を持つじゃないか」

「いやなに。この距離まで近づかなくては分からなかったが、彼の骨より微かに懐かしい匂いがしたのでな。そやつの関係者なら、騙し討ちのような無粋なことはせんよ」

「懐かしい匂い……?」


 匂いったって、さっき切られたアプの実の匂いしかしないけどね?

 でもまぁ、ライオがそこまで言うならついて行っても問題なさそうだな。


「それじゃあ、ここで立ち止まっててもしょうがないから骨先輩について行こうか」

「分かりました。それでは早く行きましょう」

「なんだ、えらく気合が入ってるな」

「そ、そんなことありませんよ。早く目的地に着きたいだけです」

「マナ殿は早くアプの実を切ってもらいたいのでござるよ」

「ああ、そういうことか」

「ち、違いますよ。あ、ほら。骨さんがもう出発してますよ!」

「照れ隠しだな」

「照れ隠しでござるな」

「マナとやらは嘘が下手なのだな」


 さて、妙なことで俺と疾風とライオの心は一つになったところで骨先輩を追いかけ……もう居ねぇし!?

 俺たちについて来いとか言った割には全然待つつもりが無いってどうよ。

 身振り手振りだけで、本当に言った訳じゃないけどさ。


「アリスさーん、疾風さーん、置いていかれますよー!」

「ごめーん、すぐ追いかけるー! てか、骨先輩にちょっと待つように言ってくれー!」

「なんか無理だそうですー!」

「返答はやっ!」


 ほとんど俺が言ったと同時に、無理って応答が返ってくるってどんだけだよ!

 ああやばい。そうこう言ってる間に二人の足音がどんどん遠ざかってる。


「このままでは完全に見失うでござるな」

「それだけは避けたい。急いで追うぞ!」


 無いとは思うが、もし万が一マナが怪我なんてしたら俺は……俺が……


 俺がグリモアさんに消滅させられちまう!

 それだけは避けたい。って、やばい本当に見失うっ!

 いやぁ、なかなか目的地に着かない。作者もビックリ。

 次回は着きます。


 ここまでお読みいただきありがとうございます。

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