Gravity
素直な重力にぼくはひかれてしまう。まっさらなカンバスがすべてをひきつけてやまない。
ほんとうにどうしてだろう。人は、どこからくるの。風が吹けば、ぼくは悩む。
夜空の星星にそなわった重力は、ぼくにはない。何度願っても、人をひきつけるそれは手に入らない。
あきらめてしまったらそれでいいのかもしれない。
もういっそ、食べてしまえばいいじゃないか、星を。
素直な欲望はまるで重力みたいに真っ黒だ。ひとりぼっちは何かにつけてさみしいよ。
ほんとうにそうなんだ。人は、どこからくるの。母さんに聞いても、にごった答えを優しく返す。
この、うそつきめ。
嘘いつわりない星々が重力をもって宇宙へと、ぼくをひたすらひきつける。地球の軌道をぬけていく。
このままどこまでも飛んでいけばいい。ぼくは天の川を渡ることになる。
そして星をひとつ食べる。口いっぱいに頬張ると、重力の味がした。
飲み込むと、胃の中が、体じゅうが、星の重みにやっつけられる。
あらゆるものの、ものの目がぼくを見つめる。目玉がぼくを追いかけてくる。
星々が、星がまぶしくあるように、ぼくは発光する。星は熱く、燃えるように強いる。
これが星の光だ。重力だ。
ぼくは、げえげえと星を吐き出した。
きたなく転げ落ちた星は、ぼくの胃液に汚れて、光を失っていた。重さが無くなっていた。
ふわりとぼくは力をなくした。
重力は、ひきつける力はぼくの力をうばって、そのまま地球へと隷属させた。
ベッドの上で、ぼくは母さんにたずねる。人は、どこからくるの。母さんは答える。
わからないわ。でも、ぼうやはわたしからうまれたの。
この、うそつきめ。素直なぼくは目を閉じた。
かすかな重力が、夜に紛れて消えていく。
夜空には、今も星が浮かんでいる。




