神の計らい
この風を知っている
同じ風は二度吹かないはずなのに
そんなものは知らないはずなのに
むしろ
何が同じなら
同じといえるのかすら
わからないのに
この肌の感触はどこからくるの
この切なさの込み上げる記憶は
どこからくるの
不確かな
不鮮明な
目の前は懐かしさのそれとは
噛み合わない
それでも
不思議と脳はそれを切望し
再びそれを感じたいと手を伸ばす
どう伝えたらいい
もどかしさも
曖昧さも
愛おしいと思えるほど
狂おしいほど
君と分け持つ術を知らない
僕は
この風の心地よささえ
君と分け持つ術を知らない
言葉では足らない
言葉ではとても足らない
だから何度だって
君と一緒に
同じ風にあてられにいく
君のとなりで
触れた手で
確かめるように
君と分け持つ術をさぐるように