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第十一話 「現実は非情ですがそれほど悪い物でもありません」

第十一話 ~原案~ クロクロシロ様



 いや、彼女らの動きがあまりにも自然で流麗、かつ早すぎて何がなんだか判んなかったんだけど。

 アルファーネの腹に出刃包丁が刺さっている。


 よっしゃ! 僕を捕えるくびきが一つ消えてラッキー!


 じゃねぇ! なんだそれ、おい魔女!

 お前何考えてんだよ! 魔女だろ? 魔女って後方支援的な存在じゃねえのかよ! 今のばりばり全快で肉弾戦だ!


 魔法覚えたら隙見て逃げようと思ってた俺、終了。


 勝てねええええ!!

 黒豹居なくても勝てねえええ!!


 なんで、なんでなんでっ! 僕をさらうわけ? そんだけ強いなら余裕だろ? お父様にしとけよ!!


 一番偉いのパパだよっ!


 もう混乱混乱、大混乱。別に恥ずかしくないね、だって僕以外ならみんな気絶してるような局面だろうし。この魔女の目的はやっぱりアレ? 誘拐して身代金だの政権に対しての抗議だの、国家の転覆を図るだの、そう言うテロリズム系? この幸せそうな顔は任務達成が容易だったことと、自分の理念に近づいたこと、そして得られる報酬を思ってなのか?

 だとしたら僕は毅然として後ろの彼女に立ち向かう! この国あっての僕(の地位)。

 そして僕を守ろうとしてくれたアルファーネへのせめてもの手向け!


 だけど甘かった。心から後悔したね。あれだけ顔を紅潮させるほどの濃い憎しみの奔流は初めてだった。理解したよ。


 あ、楯突いたら殺されるな。


 ならば従順でいるしかない。ごめんなさい、僕が調子に乗ってました。神に愛されてたとか、自惚れてましたっ!

 悪魔に愛されてたんです! 王子と言う生まれながらの立場でなければ凡人でした! 生まれた時からチートな環境で、悪魔にだまされて調子に乗ってたんです! これを凡夫と言わずに何というのです? 本当の僕と言う物がよくわかりました。


 だから、許して!


 だけど彼女には僕の声が届かない。そのまま拉致。いや、思い返せば謝ったところでプロフェッショナルが任務を途中で中断することなんてありえないよね。何から何まで緊急事態で僕も判断がつきません。だってほら、僕凡夫ですから。


 それにしてもそこから先は本当にファンタジーの連続。

 拉致られる途中で僕は新しい名前をもらいました。使わないけど。

 子猫にすら爆弾を使う魔女。

 鬱葱うっそうとした、陰鬱な魔法使いの森の奥に広がる爽やかな空間。

 そこに建つ、風景とミスマッチなあばら家同然の魔女の城。

 散らかり放題で謎の鍋が煮立ち、今まで僕の城で感じたことの無い芳香が広がる(だってほら、彼女にしたら好きでたてているのかもしれないじゃん? 悪臭何て言ったら僕の命は鍋の中だ)。

 脱衣かご(?)の中に埋もれるキャットフード。何でこんなところに?

 その近くに埋もれる人骨…… ひぃい


 いろんな意味現実離れしすぎていて、精神が崩壊しそうな魔女の家。Amazing! Fantastic!


 そんな彼女が僕に名前をつけてくれ、と言う。え? 名前が無いの? 最後までファンタジーだと思ったね。

 彼女にぴったりだと思ったイメージからいくつか候補を挙げた中、最終的に彼女が選んだのは「アリス」。

 僕は「ミザリー」だと思ったんだけど。



 彼女と一緒にいる黒猫、ピエトロとはずいぶん仲良くなった。

 すごくいい奴。常識の通じないアリスと違ってとても良識があるから、この空間に居ても何とか精神崩壊をきたしてしまうこともない。それにどこか弟みたいで可愛いんだっ!

 それにしてもこんなにしっかりしているのに扱いが酷い……。一緒に強く生きていこうな。な?



 あ、そうだ。アリスに一つだけ遠慮なく言いたいんだ。


 アリス。少しくらい魔法使え!




第十一話 ~原案~ クロクロシロ様

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