キラ、仲間になる
スナ星は赤かった。
赤というより橙。空気に砂が混じって、全体的に霞んでいる。地表は砂漠。砂が風に流れている。嵐ではない、穏やかな風だ。でも砂は常に動いている。止まることを知らない。
「砂の星か」と銀河丸は言った。
「スナ星です」とルミが言った。「住人は地下に暮らしてます。地表は砂嵐が激しいから」
「今はそうでもないが」
「穏やかな日もある。でも基本的には——来た」
ルミの顔が変わった。
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包囲されていた。
気づいた時には遅かった。砂の中から来たのだ。砂に紛れて、気配がなかった。
ヤミ兵。二十体以上。黒い甲冑が砂の中から現れて、半円を作っている。後ろは岩壁。逃げ場がない。
「ドクガの罠か」とルミが言った。低い声。「信号が偽物だったの? スナ星からの助けを求める信号——」
「本物だ」と銀河丸。「罠の中に本物を混ぜたんだ。俺たちがここに来るのは分かってた」
「どうするんですか」
ヤミ兵が一歩ずつ詰めてくる。ゲームの申し込みではない。ただの排除だ。
銀河丸は手を握った。
「とりあえず一体一体——」
音がした。
空から。
黒い船が突っ込んできた。
ヤミ兵の頭上を一瞬で通り過ぎる。砂が爆発するように巻き上がった。視界が橙色の霞で埋まる。ヤミ兵たちが体勢を崩す。
その隙に——
「走れ!」
キラの声が通信機から飛んできた。
走った。砂の中を。霞の中を。
包囲網に穴ができていた。ちょうど船が突っ込んだ方向に。そこだけ隙間がある。
抜けた。
ルミが転びそうになった。銀河丸が腕を引く。走る。走る。
振り返ると、キラの船がヤミ兵の間を縫うように飛んでいた。あちらこちらに動いて、追いかけさせて、また逃げる。ヤミ兵の注意を全部引きつけている。
「あの馬鹿——一人で何をやってる」
「戦ってます!」ルミが叫ぶ。
「それは見れば分かる。なんで一人で」
「後で怒鳴ってください、今は——あそこに遺跡があります!」
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スナ星の遺跡は地表から少し下がった岩の割れ目の中にあった。
入り込んだ。奥に進む。砂の中を分け入るように。
光があった。また光。二つ目の鍵と同じ、淡い呼吸するような光。
石の台座の上に、静かに置かれていた。
銀河丸が手を伸ばした。触れた。
また温かい。また呼応する。メットが震えた。二つ目の鍵も反応した。
三つ目の鍵。
「……ある。本当にある」とルミが言った。声が震えていた。「連続して出てくるなんて——ジゴクも気づいてる。だから罠を張ったんだ」
「三つ集めた。残り六つ」
「急がないと」
「急ぐ。でも今は——」
通信機が鳴った。キラだった。
「終わったか?」
「終わった。キラ、無事か」
「当然だ」
「今どこにいる」
「着陸する。どこだ」
銀河丸が遺跡の入り口から手を振った。少しして、キラの船が降りてきた。
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キラが降りてきた。砂だらけだった。ジャケットに砂が積もっている。傷がある——古い傷ではなく、今ついた傷だ。腕に。深くはないが。
「怪我してる」と銀河丸が言った。
「大したことない」
「ルミ、包帯あるか」
「あります」
「貸してくれ」と銀河丸。
「自分でできる」とキラ。
「俺がやる」
強く言ったわけではない。ただ、そう言った。キラが少し黙って——腕を出した。
巻きながら、銀河丸は言った。
「なんでまた助けた」
「うるさい。たまたまだ」
「三回目だ」
「……」
「一回目は宇宙で。二回目はあの星で。三回目が今日だ」
キラが答えない。
「たまたまが三回続いたら、それは選択だと俺は思う」
砂の風が吹いた。スナ星の穏やかな風。砂が二人の足元を流れていった。
「——一緒に来るか?」
キラがゆっくり銀河丸を見た。
「あの娘が嫌がる」
「聞いてみる」
ルミが近くで聞いていた。銀河丸が振り返る前に言った。
「——正直言うと助かります。この人の操縦は本物だから」
キラが目を細めた。「あなたが認めるのは珍しい」
「一度しか言わない」
「……」
長い沈黙だった。砂が流れる。風が通る。
「荷物が多くなったら降ろす」
「それでいい」と銀河丸。
「話がまとまってる」とルミが言った。「私の意見は?」
「さっき言ってたじゃないですか」
「——一度しか言いません。よろしく、キラさん」
キラが短く頷いた。
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スナ星の遺跡の管理人が食事を出してくれた。
砂を固めた平べったいパン。薄い。砂の色をしている。一見して米ではない。
銀河丸はかじった。
ぽそぽそしている。味が薄い。悪くないが——
「全然違う」
ルミが笑った。「おにぎりに近いか?」
「遠い。形も違う。でも——食べ物が共有できるって、いいな」
キラがそれを聞いて、ちらりと見た。何も言わなかった。
でも平べったいパンを手に取って、食べた。
三人で食った。
砂の星で、砂みたいな味のパンを。それでも、悪くなかった。
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