表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/24

キラ、仲間になる


スナ星は赤かった。


赤というより橙。空気に砂が混じって、全体的に霞んでいる。地表は砂漠。砂が風に流れている。嵐ではない、穏やかな風だ。でも砂は常に動いている。止まることを知らない。


「砂の星か」と銀河丸は言った。


「スナ星です」とルミが言った。「住人は地下に暮らしてます。地表は砂嵐が激しいから」


「今はそうでもないが」


「穏やかな日もある。でも基本的には——来た」


ルミの顔が変わった。


---


包囲されていた。


気づいた時には遅かった。砂の中から来たのだ。砂に紛れて、気配がなかった。


ヤミ兵。二十体以上。黒い甲冑が砂の中から現れて、半円を作っている。後ろは岩壁。逃げ場がない。


「ドクガの罠か」とルミが言った。低い声。「信号が偽物だったの? スナ星からの助けを求める信号——」


「本物だ」と銀河丸。「罠の中に本物を混ぜたんだ。俺たちがここに来るのは分かってた」


「どうするんですか」


ヤミ兵が一歩ずつ詰めてくる。ゲームの申し込みではない。ただの排除だ。


銀河丸は手を握った。


「とりあえず一体一体——」


音がした。


空から。


黒い船が突っ込んできた。


ヤミ兵の頭上を一瞬で通り過ぎる。砂が爆発するように巻き上がった。視界が橙色の霞で埋まる。ヤミ兵たちが体勢を崩す。


その隙に——


「走れ!」


キラの声が通信機から飛んできた。


走った。砂の中を。霞の中を。


包囲網に穴ができていた。ちょうど船が突っ込んだ方向に。そこだけ隙間がある。


抜けた。


ルミが転びそうになった。銀河丸が腕を引く。走る。走る。


振り返ると、キラの船がヤミ兵の間を縫うように飛んでいた。あちらこちらに動いて、追いかけさせて、また逃げる。ヤミ兵の注意を全部引きつけている。


「あの馬鹿——一人で何をやってる」


「戦ってます!」ルミが叫ぶ。


「それは見れば分かる。なんで一人で」


「後で怒鳴ってください、今は——あそこに遺跡があります!」


---


スナ星の遺跡は地表から少し下がった岩の割れ目の中にあった。


入り込んだ。奥に進む。砂の中を分け入るように。


光があった。また光。二つ目の鍵と同じ、淡い呼吸するような光。


石の台座の上に、静かに置かれていた。


銀河丸が手を伸ばした。触れた。


また温かい。また呼応する。メットが震えた。二つ目の鍵も反応した。


三つ目の鍵。


「……ある。本当にある」とルミが言った。声が震えていた。「連続して出てくるなんて——ジゴクも気づいてる。だから罠を張ったんだ」


「三つ集めた。残り六つ」


「急がないと」


「急ぐ。でも今は——」


通信機が鳴った。キラだった。


「終わったか?」


「終わった。キラ、無事か」


「当然だ」


「今どこにいる」


「着陸する。どこだ」


銀河丸が遺跡の入り口から手を振った。少しして、キラの船が降りてきた。


---


キラが降りてきた。砂だらけだった。ジャケットに砂が積もっている。傷がある——古い傷ではなく、今ついた傷だ。腕に。深くはないが。


「怪我してる」と銀河丸が言った。


「大したことない」


「ルミ、包帯あるか」


「あります」


「貸してくれ」と銀河丸。


「自分でできる」とキラ。


「俺がやる」


強く言ったわけではない。ただ、そう言った。キラが少し黙って——腕を出した。


巻きながら、銀河丸は言った。


「なんでまた助けた」


「うるさい。たまたまだ」


「三回目だ」


「……」


「一回目は宇宙で。二回目はあの星で。三回目が今日だ」


キラが答えない。


「たまたまが三回続いたら、それは選択だと俺は思う」


砂の風が吹いた。スナ星の穏やかな風。砂が二人の足元を流れていった。


「——一緒に来るか?」


キラがゆっくり銀河丸を見た。


「あの娘が嫌がる」


「聞いてみる」


ルミが近くで聞いていた。銀河丸が振り返る前に言った。


「——正直言うと助かります。この人の操縦は本物だから」


キラが目を細めた。「あなたが認めるのは珍しい」


「一度しか言わない」


「……」


長い沈黙だった。砂が流れる。風が通る。


「荷物が多くなったら降ろす」


「それでいい」と銀河丸。


「話がまとまってる」とルミが言った。「私の意見は?」


「さっき言ってたじゃないですか」


「——一度しか言いません。よろしく、キラさん」


キラが短く頷いた。


---


スナ星の遺跡の管理人が食事を出してくれた。


砂を固めた平べったいパン。薄い。砂の色をしている。一見して米ではない。


銀河丸はかじった。


ぽそぽそしている。味が薄い。悪くないが——


「全然違う」


ルミが笑った。「おにぎりに近いか?」


「遠い。形も違う。でも——食べ物が共有できるって、いいな」


キラがそれを聞いて、ちらりと見た。何も言わなかった。


でも平べったいパンを手に取って、食べた。


三人で食った。


砂の星で、砂みたいな味のパンを。それでも、悪くなかった。


---


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説と連動した無料ブラウザゲームも公開しています。 https://uchuzamurai.com/
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ