1:ハロリンワ
輪廻転生――――
人が亡くなっても、魂は生まれ変わるという一つの宗教的考え方だ。
では……人は死なない限り、生まれ変わることができないのか?
――否。
人生とは車輪の上を廻っているようなもので、どこかのタイミングで繰り返しの日常がやってくる。
また、これはどんな職業や取得した能力でも当てはまり、それぞれの輪廻が存在する。
つまり、『選択』した輪廻に繰り返したくもない定番があるのなら、あなたは輪廻転生し、『別の輪廻』に移り変わるタイミングなのかもしれない――――。
そんな事が書かれた張り紙が、ギルドの掲示板の隅にあった。
「……楽して生きてぇ」
さまざまな職業や能力を経験した私が――、たどり着いた答えがその一言には詰まっていた。
「なんだサーラ、次は【何】にするんだ?」
「あ”ぁ”ん??」
握った魔法の杖から軋んだ音が鳴り。
聞き馴染みのある声に、自然と素の自分が出た。
「おいおい、人に向かってそんな目をするもんじゃねえぞ……」
「あぁ、悪い悪い……。なあガント……うち、何が向いてんだろ?」
大男のガントとは以前にも何度となく、パーティーを組んだ仲。
男女の関係こそないが、こいつには気を使わなくて済むから楽だ。
「はあ?! 知るかよそんなもん。だいたい、お前みたいな飽き性に向いてるもんなんかあるのか、こっちが聞きたいね!」
「へいへい、うちはどうせ飽き性ですよ。ちなみにだがガント君、格闘家のランクはいくつまで上がったのかな?」
「急になんだよ? まだランク45だけど……」
「ふ~ん。まあまあ頑張ってはいるようだね、ガント君。さっさと――うちらの高みに来れるよう応援しているよ」
私はそう言って、ガントの腰をポンポンと叩いた。
とはいえ、ガントの言うように『そもそも』飽き性の私に向いているものなど、何もないのかもしれない。
(なんで……生きるだけなのに……)
この世の中はめんどくさいことだらけなのだろう。
「楽して生きてぇなあ……」
もはや、ここ数日の口癖になっていた。
そんな私を見かねたのか――
「なあ、サーラ……お前、ここで働いてみたらいいんじゃねえか?」
ガントが指さしたのは、先ほどまで見ていた張り紙。
その紙の一番下には――
※一緒に冒険者さんのサポートをしてみませんか? ハロー輪廻転生ワーク
と、両手両足では足りないほど転職と能力取得をするために通ったハロー輪廻転生ワーク、通称『ハロリンワ』の求人が出ていたのであった。




