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七玄門一凡人篇・起

> **読者の皆様へお願い**

> 小説を最大限お楽しみいただくため、

> どうか第39話(EP39)を事前にご覧いただけますと幸いです。


三叔さんしゅく:** 三番目の叔父。韓立の叔父。

七玄門 野狼帮=ギルドの一つ

仙=神

修仙は色々な鍛練を経って、ラング上がる。最終仙(神)になることです。


理解不能な言葉があれば、コメントをお願いします!


 

 韓立(ハン・リー)は、目を見開いたまま、(かや)と泥でできた黒ずんだ屋根をまっすぐに見つめていた。かぶっている古い綿入れの布団は深い黄色に変色し、もとの色はまったくわからず、かすかにかび臭さを漂わせていた。


 すぐ隣で、兄の韓鑄(ハン・チュウ)がぐっすりと眠り、時折、大きさの異なるいびきを立てている。


 ベッドから1.5メートルほど離れたところには、黄土で塗り固めた土壁があった。年月を経て、壁には目立たない細長いひびがいくつか入っており、その隙間から、韓立の母の愚痴っぽい文句がかすかに聞こえてくる。時折、父がキセルを吸う「プカプカ」という音も混じっていた。


 韓立は、少し乾いて痛みを感じ始めた目をゆっくりと閉じ、深い眠りに落ちるよう努めた。はっきりわかっていた。今すぐに寝なければ、明日は早く起きられず、約束した仲間と一緒に山へ薪拾いに行けなくなるのだ。


二愣子(ドンくさ)」と呼ばれる少年の本名は韓立である。こんな立派な名前を両親がつけられるはずもなく、父親が雑穀で作った饅頭(まんじゅう)二つと引き換えに、村の張おじさんに付けてもらったものだった。


 張おじさんは若い頃、町の裕福な家で書生として何年か働いたことがあり、村で唯一文字を知っている「知識人」だった。村の子供たちの名前の半分以上は彼がつけたものだ。


 村人に「二愣子」と呼ばれているが、彼は決して本当のアホでもバカでもなかった。むしろ村で一二を争う賢い子供だった。しかし、村の他の子供たちと同様に、家族以外から本名の「韓立」と呼ばれることはほとんどなく、「二愣子」「二愣子」という呼び名が今も続いていた。


「二愣子」というあだ名がついたのも、単に村にすでに「愣子」と呼ばれる子供が一人いたからに過ぎなかった。


 別に構わない。村の他の子供たちも「狗娃(イヌッ子)」と呼ばれ続けている。これらの名前が「二愣子」よりどれだけマシだというわけでもない。


 だから韓立はこの呼び名が好きではなかったが、そう自分に言い聞かせるしかなかった。


 韓立の外見はまったく目立たず、肌は浅黒く、ごく普通の田舎の子供といった風貌だった。しかし心の奥底は、同年代の子供たちよりずっと大人びていた。彼は幼い頃から、外の世界の豊かさと賑わいに憧れ、いつかこの猫の額ほどの村を出て、張おじさんがよく話してくれた「外の世界」を見てみたいと夢見ていた。


 この思いを、韓立は誰にも話したことはなかった。もし話せば、村人たちはきっと驚くだろう。乳臭いガキが、大人でさえ安易には抱かないような考えを持っているなんて。韓立と同年代の他の子供たちは、まだ村中を駆け回って鶏を追いかけたり犬をいじめたりしているだけなのに、故郷を離れるなどという変わった考えを抱いているとは。


 韓立の家族は七人家族で、兄が二人、姉が一人、妹が一人いた。彼は四番目の子供で、今年十歳になったばかりだった。家族の生活は貧しく、肉の入った食事が年に数回しか食べられず、家族全員が常に飢えの縁をさまよっていた。


 その時、韓立はうつらうつらと、寝ているのか起きているのかわからない状態にあった。頭の中には一つの思いがこびりついていた。

「明日、山へ行ったら、一番かわいがっている妹のために、彼女が一番好きな赤い木イチゴをたくさん摘んでこなければ」


 翌日、真昼の太陽が照りつける中、韓立は背丈の半分ほどの薪の束を背負い、胸いっぱいに詰めた木イチゴの袋を抱えて、山から家路を急いでいた。その時、彼の一生を変える客が家に来ていることなど、知る由もなかった。


 その高貴なる客とは、血のつながった近しい親戚、彼の実の三叔おじさんだった。


 聞くところによると、近くの小さな町の酒楼レストランで大番頭をしており、両親の口では「大した人物」だった。韓家がここ百年で出した、少し名の通った親戚と言えば、この三叔ただ一人だったろう。


 韓立がこの三叔に会ったのは、ごく小さい頃の数回だけだった。長兄が町の老鍛冶屋に弟子入りした仕事は、この三叔の紹介によるものだ。三叔はよく人を介して食べ物や日用品を両親に届けてもらっており、一家をとても気にかけてくれていた。だから韓立もこの三叔には良い印象を持っており、両親は口には出さないが、心ではとても感謝していることも知っていた。


 長兄は家族の誇りだった。聞くところによると、鍛冶屋の弟子は、食べるものも住むところも保証され、月に三十枚の銅銭をもらっているという。一人前になって雇われれば、もっと多くのお金を稼げるという。


 両親は長兄の話になると、目を輝かせて別人のようになった。韓立はまだ幼かったが、羨ましくてたまらず、心の中ですでに最高の仕事を決めていた。町のどこかの職人に気に入られて弟子にしてもらい、腕一本で食べていける「きちんとした人」になることだ。


 だから、真新しい繻子(しゅす)の服を着て、丸顔に小さなひげを生やした三叔の姿を見たとき、韓立は胸を躍らせた。


 屋根裏に薪を置くと、彼は奥の部屋に恥ずかしそうに三叔の前に出て行き、おとなしく「おじさん、こんにちは」と挨拶すると、大人しく端に立ち、両親と三叔の会話を聞いていた。


 三叔は韓立をにこにこと見つめ、彼を一通り見渡すと、「お利口さんだ」「しっかりしている」などと褒め言葉を口にした。そして振り返って、両親に今回の訪問の目的を話し始めた。


 韓立はまだ幼く、三叔の言うことを完全に理解できなかったが、おおまかな意味はわかった。


 どうやら三叔が働く酒楼は、「七玄門(しちげんもん)」というの門派(武術流派)の所有物だという。この門派には外門と内門があり、つい最近、三叔は正式にこの門派の内門弟子となった。そして、七玄門が内門弟子を募集する試験に、7歳から12歳の子供を推挙できる資格を得たのだ。


 五年に一度の七玄門内門弟子募集試験が、来月行われる。まだ子供のいない、少し抜け目のないこの三叔は、当然のように年齢の合う韓立のことを考えたのだった。


 いつもおとなしい韓立の父は、「江湖」や「門派(ギルド)」といった聞いたこともない言葉を聞き、躊躇して決めかねているようだった。キセルを手に取り、「プカプカ」と激しく吸い込み、そこに座ったまま、一言も発しなかった。


 三叔の口によれば、七玄門はこの周囲200kmで、とてつもなくすごい、指折りの大門派だという。


 内門弟子になれば、これから武術を無料で学び、食べることに困ることはなくなり、毎月一両以上の小遣い銭ももらえる。しかも、試験に参加した者は、たとえ選ばれなくても、三叔のような外門の人間になる機会があり、七玄門の門外の商売を専門に取り仕切ることができるというのだ。


 韓父(ハンの父)は、毎月一両の銀がもらえる可能性があり、三叔のような「きちんとした人」になれるチャンスがあると聞いて、ついに決心を固め、承諾した。


 三叔は韓父が承諾したのを見て、とても喜んだ。さらに銀数両を置き、「一ヶ月後に韓立を連れに来るから、その間は栄養のあるものを食べさせて、試験に備えて体力をつけさせてくれ」と言った。その後、三叔は韓父に別れの挨拶をし、韓立の頭をそっと撫でると、町へと帰っていった。


 韓立は三叔の話を完全には理解していなかったが、町へ行けば大金が稼げるということはわかっていた。


 ずっと抱いてきた願いが、今まさに実現しようとしている。彼は何晩も興奮で眠れなかった。


 一ヶ月余り後、三叔は時間通りに村に現れ、韓立を連れ出した。別れ際、韓父は繰り返し韓立に言い聞かせた。「人として誠実であれ、何事も我慢し、他人と争うな」と。一方、韓母は「体に気をつけて、よく食べ、よく眠れ」と伝えた。


 馬車の中から、次第に遠ざかっていく両親の姿を見つめながら、韓立は唇を噛みしめ、目に浮かんだ涙がこぼれ落ちるのを必死に堪えた。


 彼は幼い頃から他の子供たちよりずっと大人びていたが、それでもまだ十歳の子供だ。初めての遠出は、彼の心に一抹の寂しさと不安を抱かせた。幼い心に固く誓った。大金を稼いだらすぐに帰ってきて、もう二度と両親と離れないと。


 韓立はこの時、この旅の後、金銭の多寡が彼にとって意味を失い、なんと凡人とは違う**仙の道**へと足を踏み入れ、自らの**修仙の道**を歩み始めることになるとは、夢にも思わなかった。


 これは『青牛鎮(せいぎゅうちん)』と呼ばれる小さな町だった。町と言っても、実際には少し大きめの村に過ぎない。近くの山あいの村に住む、見識のない田舎者だけが、誇張して「青牛城」などと呼んでいる──これが十数年も門番をしてきた張二(ちょうじ)の本音だった。


 青牛鎮は確かに小さく、メインストリートは東西に伸びる『青牛街(せいぎゅうがい)』ただ1本。宿屋も『青牛客桟せいぎゅうはくしゃん』ただ1軒しかない。細長い形をした町の西端にあるこの宿は、野宿を避けたい通りすがりの商人たちの唯一の選択肢だった。今、一目で長旅をしてきたとわかる馬車が西から青牛鎮に入り、青牛客桟の前を素通りし、止まることなく町の反対側、『春香酒楼(しゅんこうしゅろう)(宿場)』の入口前にようやく停まった。


 春香酒楼は大きくもなく、むしろ少し古びていたが、どこか**古風な趣**を漂わせていた。昼食時だったため、店はほぼ満席に近い客で賑わっていた。


 車から降りたのは、丸顔に小さなひげを生やした太った男と、浅黒い肌の十歳前後の少年だった。男は子供を連れ、**威風堂々と**酒楼に入っていった。店の常連客の中にはこの太った男を「韓太っちょ(ハン・パンツー)」こと、この酒楼の番頭と知る者もいたが、少年が誰かは誰も知らなかった。


「おい、韓さん。この黒んぼのガキ、お前にそっくりじゃねえか? 家の女房に隠して作った子か?」突然、誰かがからかった。


 その言葉に、周囲の客たちはドッと笑い声を上げた。


「ふん!こいつは俺の本家から来た実の甥だ。似てるのも当然だろ」太った男は怒るどころか、むしろ得意げだった。


 この二人こそが、三日間かけてようやく町にたどり着いた韓立と、三叔、すなわち人々が呼ぶ「韓太っちょ」だった。韓太っちょは常連客数人に軽く挨拶すると、韓立を酒楼の裏手へ連れて行き、ひっそりとした小さな中庭へと案内した。


「お前はこの部屋でしっかり休んで、元気を取り戻せ。内門の管事先生が来たら、呼びに行くからな。俺は先に外に出て、常連の客の相手をしてくる」韓太っちょは中庭にある離れの部屋を指さし、優しく言った。


 そう言うと、彼は慌ただしく外へ向かって歩き出した。


 入口まで来た時、彼は何か心配になったらしく、もう一度念を押した。


「勝手にうろつくなよ。町は人が多すぎて迷子になるぞ。できれば中庭から出るな」

「うん!」


 韓立がおとなしく返事するのを見て、彼はようやく安心して去っていった。


 三叔が部屋を出るのを見ると、韓立は疲れを感じ、ベッドに倒れ込むとグーグーと寝息を立てて眠り始めた。子供らしい人見知りの様子はまったくなかった。


 夕方、小僧が食事を運んできた。豪華な料理ではないが、なかなか美味だった。食べ終わると、別の小僧が入ってきて残った食器を片付け、その時になってようやく三叔が悠々と入ってきた。


「どうだ? 食事は口に合ったか? 少しは家が恋しくなったか?」

「うん、少し恋しい」韓立はとてもおとなしく見えた。


 三叔は韓立の答えに満足したようで、すぐに日常の些細な話を始め、自分が経験した面白い人物や出来事を自慢げに話した。次第に韓立の緊張もほぐれ、彼も笑いながら話すようになっていった。


 こうして二日が過ぎた。


 三日目の夕食後、韓立が三叔の江湖(世界)の話を待っていると、また一台の馬車が酒楼の前に停まった。


 この馬車は黒漆でピカピカに塗り込められ、牽く馬も百里に一つあるかないかの見事な黄驃馬(こうひょうば)さんだった。最も目を引いたのは、馬車の枠に刺さった小さな三角の黒旗だ。「玄」の文字が刺繍され、銀文字に赤い縁取りが施されており、自然と言い知れぬ神秘的な雰囲気を漂わせていた。


 この小旗を見て、この周辺数百里を動き回る江湖の古参たちは皆、この地の二大勢力の一つである「七玄門」の重要人物が当地にやって来たことを悟った。


 七玄門は「七絶門(しちぜつもん)」とも呼ばれ、二百年前に名を轟かせた「七絶上人(しちぜつしょうにん)」によって創設された。かつては鏡州(きょうしゅう)を数十年にわたって支配し、鏡州に隣接するいくつかの州にも勢力を伸ばし、越国(えつこく)全体でその名を知られていた。しかし七絶上人が病没すると、七玄門の勢力は急激に衰退し、他の門派の連合によって鏡州の首府・鏡州城から追い出されてしまった。百年前、宗門はやむなく鏡州で最も辺境の地──仙霞山(せんかざん)へ移転し、そこに根を下ろしたが、すっかり三流の地方勢力に落ちぶれてしまった。


「腐っても鯛」という言葉があるように、七玄門はかつて大門派だっただけに、秘められた潜在力は並大抵ではなかった。仙霞山に移ると、すぐに「青牛鎮」を含む十数の小さな町を掌握し、門下の弟子は三、四千人に上り、地元で名実ともに二大勢力の一角となった。


 地元で唯一七玄門と対抗できるもう一つの勢力が「野狼幫(やろうほう)」だった。野狼幫の前身は、鏡州内で略奪や殺戮を繰り返していた馬賊だ。後に官軍の包囲攻撃を何度も受けた結果、一部は官軍に帰順したが、残りの馬賊が野狼幫となった。しかし、馬賊の**凶暴で血に飢えた**性質、命知らずの気性はそのまま受け継がれ、七玄門は野狼幫との数度の衝突でことごとく劣勢に立たされていた。


 野狼幫が支配する町村は数こそ多かったが、経営の才に乏しく、豊かさでは七玄門傘下の町には遠く及ばなかった。野狼幫は七玄門のいくつかの豊かな地盤をひどく欲しがり、最近は頻繁に両者の間で衝突を引き起こしていた。これが現七玄門門主の頭痛の種であり、七玄門が近年になって門内弟子の募集を繰り返す主な原因でもあった。


 馬車から四十代前半の痩せぎすの男が跳び降りた。この男の動きは素早く、明らかに腕が立ち、ここにも詳しいらしく、大きな足取りで韓立のいる部屋へとまっすぐに向かった。


 韓立の三叔はこの男を見ると、すぐに恭しく近づいて挨拶した。


王護法(おうごほう)様、ご老人自らお連れにいらしたのですか?」

「ふん!」王護法は鼻を鳴らし、傲慢な表情を浮かべた。

「このところ街道が物騒でな、護衛を強化せねばならん。長老がわしが自ら人を連れに来いと命じた。余計な話はよせ。この小僧がお前が推挙する者か?」

「はい、はい、本家の実の甥です。どうか王護法様、道中お見知りおきを」

 韓太っちょは男の面持ちが少し苛立っているのを見て取り、素早く体からずっしりと重い袋を取り出すと、密かに渡した。


 王護法は袋を手に載せて重さを確かめると、表情が少し和らいだ。

「韓太っちょ、お前はなかなか処世術に長けているな!お前の甥は道中、一つ二つ気にかけてやるよ。時間がない。さっさと出発するぞ」

普通では内門は精英の弟子のみいる、外門の弟子は雑魚です。


七玄門には七絶上人(しちぜつしょうにん)の直系の子孫という身分を持つ|王陸おうりょうくという正門主せいもんしゅと、他の三人の副門主がいた。門内は外門と内門の二つの大きな部分に分かれている。外門には飛鳥堂ひちょうどう聚宝堂しゅほうどう四海堂しかいどう外刃堂がいじんどうの四つのぶんどうがあり、内門には百鍛堂ひゃくたんどう、七絶堂しちぜつどう、供奉堂ぐほうどう、血刃堂けつじんどうの四つの分堂があった。さらに、正門主のすぐ下で他の副門主と並ぶ長老会ちょうろうかいがあった。


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