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チャリオネとアミーダ 落ちこぼれ魔法少女、リアルで覚醒  作者: 黒野ひゅーるり


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第二話 二人にとっての異世界

「え?」

一瞬失ったかのように思われた意識は、瞬時に回復した。ただし、見知らぬ土地で。

「ここは、どこ……?」

私は、変な場所に来ていた。それも、とてつもなく異様な場所に。

周囲を見渡せば、たくさんの人が謎の衣服を身に纏って、慌ただしく往来している。

さらにその周りには、ものすごく高くて頑丈そうな建物が、ずらりと建ち並んでいる。

その人混みの中で、私はぺたりと地面に尻餅をついていた。

(転送魔法か、何かかな……?)

だけど、一体誰が?

クライエトン先生が?いや、いくら何でも教え子に対して魔法を使うことは禁じられているし、そもそも転送されるには、特殊な魔法陣の上に乗らなければならない。

それに、さすがに魔法学校といえども、校内に魔法陣が散在しているなんてことはあり得ない。

だとすると、転送魔法ではないのでは?

(未開地じゃ、ないよね……)

もう一つの根拠としては、この土地の異様さがある。

未開地の事例は聞いたことがあるが、山がちだったり、平原が広がっていて魔物が沼から出てきたりなど、あくまで自然的なものが多い。

それに対して、この土地は明らかに異質だ。

いや……。というか、まるで世界が違っているような……。

「そうだ!アミーダは!?」

今の今まで、すっかり忘れていた。

「え、何ここ?」

不意に隣から、いつもの気だるげなアミーダの声が聞こえた。


「アミーダ!良かった、無事だったのね!」

私は、嬉しさのあまりアミーダに抱きついていた。

アミーダが無事であったことが嬉しかったのが一つ、この異様な世界に一人ぼっちで取り残されていなかったことが一つ。

しかも、それが気の置けないアミーダなのだから、とても安心できる。

「ああ、いいんだけど。ここ、どこ?」

アミーダも、当然の疑問を口にする。

「実は、私にも分からないの。何がなんだか」

「さっきまで校内にいたはずなんだけど。なんか、目の前で光がピカッと光ってから、おかしくなったんだよね」

「ああそれ、全く同じ現象よ」

「なーんか、よく分かんない。何が起きたんだろ」

アミーダは、ううう……、と言って伸びをした。

アミーダは、相変わらずだ。

この異常事態にさえ、いつもの呑気な調子でいる。こっちは、気が気じゃないというのに。

「あのー……」

その時、近くから優しげな女性の声がした。


声がした方向を見ると、一人の大人の女性が心配そうに、近くでしゃがんでいる。

ピンク色の髪を縦ロールにしており、優しい目もとをしている。

体つきはふんわりと柔らかそうで、典型的な包容力のある女性といった感じだ。

「大丈夫?」

女性は、なおも心配そうに聞いてくる。

まあ、確かにこの状況。

人々が往来している中、私とアミーダはぽつんと地面に座っているのだから、不自然極まりない。

「迷子、とかかな?都心は初めて?」

都心?何を言ってるんだ?

王都のことか?

「迷子というか、そのー……」

「じゃあ、どうしたの?」

言葉に詰まる。なんて説明したらいいんだろう。

でもとりあえず、今の会話でお互いに言葉が通じることは分かった。

「私たち、クィニケル魔法学校の者なんですけど、校内で走っていたら急に目の前が光に包まれて、気づいたらここに……」

「クィニケル魔法学校?」

女性は、不思議そうに首をかしげる。

(え、そこから?)

いくら何でも、クィニケル魔法学校の名前くらい知っているのでは?

言わずと知れた、名門の魔法学校だし。

「うーん……。よく分かんないけど、とりあえずそこの喫茶店で話しましょうか」

よく分かんないのは、こちらもだ。

次から次へと、意味不明な言葉が飛んでくるのだから。

ただ、この女性からは怪しい雰囲気はしなかったし、アミーダも頷いているので、ひとまずついて行くことにした。


それにしても、変な土地だ。

高層の建物がたくさんある中に、様々な店も建ち並んでいる。

中には、高層の建物内に店を構えているものもあった。

しかも、何の素材でできているかは分からないが、それらの店は外から透けて見える。

「チャリオネ」

後ろから、アミーダが呼びかける。

「何?」

見れば、呆然と一つの店の中を覗いている。

私もアミーダの近くに行って、店の中を覗き込んだ。

どうやらそこは、書店のような場所だった。

たくさんの本が陳列されているばかりか、店内が豪華に飾り付けられている。

「どうかしたの?」

「あたしたち、あれじゃない?」

アミーダが顎でしゃくった方向を見てみると、そこには数冊の本が綺麗に積み重ねられており、その上に紙が貼られていた。

「異世界、転移……」

その貼り紙には、そう書かれていた。

異世界転移だって。なるほど、異世界転移。

「って……、ええ!?異世界転移!?」

私は、思わず大きな声を上げてしまった。

確かに、ここは普段生活していた世界とは別世界のように感じる。

しかも、これが魔法によるものであるならば、「転移」ではなく「転送」と呼ばれるはず。

魔法によるものではなく、自然に起きた現象ならば、納得がいく。それにしても。

「異世界って、存在したんだ……」

「ほんとにね。あたしも、びっくりだわ」

「二人とも、何やってるの?」

女性が、二人の様子に気がついて戻ってきていた。

「これからどうする?」

「そうね……。私たちはまず、この世界で生きていかなくちゃね。その上で、元いた世界に戻る方法を見つけるのよ」

「じゃ、とりあえず情報収集だ」

「そうね」

私たちは、小走りに女性のところへ戻って行った。





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