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なろうラジオ大賞参加作品(1000文字以内)

キーワードを全部、書かないと投稿できないクエスト(※尚、1000文字以内で楽しく書きましょう)

作者: りすこ

『第5回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞』参加作、1000文字の超短編です。

 ――今年も遊んで


 幼なじみから手紙が届いた。


 俺の幼なじみはお嬢様で、5年前に高校を中退して海外に行ってしまった。

 それから俺たちは年に一回、顔を合わせることなくゲームをしている。

 金をかけたアホゲーだ。


 毎回、散々な目に合うのだが、俺はこりずに雪山を登っていた。

 今回のゲームは温泉旅館でやるそうだ。

 鼻をすすりながら旅館に着き、帽子を脱ぐ。

 旅館には誰もおらず、不気味なくらい静かだった。


「最初のクエストは、飯を食えだな」


 手紙に書かれていた客室に行き、晩飯を見て仰天した。


「なんで生たまご一個だけなんだよ! せめて温泉たまごにしろよ!」


 やけになって、お茶うけの和菓子をむさぼる。

 ん? 包み紙に何か書いてあるな。


 ――三日月を見ながら、温泉に


 ふっ、次のクエストは簡単だな。

 今は夜。

 しかもここは露天風呂付き客室だ。

 俺は半身をタオルで隠し、意気揚々と露天風呂に向かった。


「なっ!」


 丸い月を見た途端、俺の余裕は粉砕された。

 ひゅるりら〜と、真冬の寒さが裸体に突き刺る。


「空気読んで、三日月になれって!」


 満月に向かって吠え、俺は風呂にダイブした。


 いい湯を堪能した後、俺はまたも絶句した。

 金魚柄の浴衣があったのだ。

 しかし女物で、丈が短い。


 ――レッツ、温泉卓球


「これを着てかよ!?」


 恥ずかしいが、ここまできてゲームオーバーは嫌だ。

 俺はピチピチの浴衣を着てダッシュで遊戯室に向かう。

 卓球台にむかって、スマッシュ!


「いでっ!」


 ピンポン玉は壁にあたり跳ね返って、俺のデコに直撃した。


 痛みにうめいていると、ビデオカメラを持ったじいやさんが来た。


「今年もありがとうございます。お嬢様はこちらに」

「……どうも」


 最後のクエストはパスワードを入力して扉を開けるものらしい。


 ――ヒントは告白


「人の思春期まで弄ぶなよ」


 俺は迷わず入力する。


 忘れるものか。

 あれは文化祭の前日。

「海外で手術するからお別れね」と言われて、俺は彼女に告白したんだ。


 バアン!


 西洋風の部屋が見え、暖炉の前に幼なじみ本人が立っていた。


 嘘だろ。


 彼女は長期入院中で。

 クエストは落ち込んだ彼女を笑わせる為のもので。

 毎年、テレビ電話越しにしか彼女には会えなくて。


「本物?」

「うん……退院したの」


 びっくりしすぎて腰が抜けた。


「ははっ……じゃあデートに行けるな」

「えっ」

「コスモスが綺麗な公園あっただろ?」

「あっ」

「公園でもう一回、告白すっからな!」


 真っ赤になる彼女。


 俺はゲットした宝を抱きしめた。


コスモス/雪山/温泉/パスワード/たまご/和菓子/5年/金魚/帽子/クエスト/三日月/文化祭/暖炉


キーワードを全部入れたので、作者のクエストもクリアです。全盛り、今年も大変でした(笑)

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― 新着の感想 ―
[一言] お見事!の一言です.ストーリーも素敵ですし,入れるのが難しい「たまご」「三日月」「金魚」などもひねりを加えてクスッと笑えるような形で登場させていてすごいと思いました!!! 執筆お疲れ様でした…
[一言] なんだこの素敵お話は! 全部盛りで素敵だなんて、素敵じゃないか!(←語彙力の消失 面白かったです!!
[一言] 華麗な全盛り、ありがとうございます(*^^*)
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