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第14話 お姉さんとの遭遇




「そ、それじゃあ平山くん、またね」

「うん、また大学で会おう。気を付けて帰ってね、三嶋さん」



 大学からの帰り道。こちらを見てふわりと微笑む三嶋をJR駅構内の東西自由通路にて見送った秋人は、帰宅する為に東口へと向けて足を進める。


 視線を奥へ向けると真っ直ぐに道が続いており、入り口やアクセスが複雑でない分直線的な移動だけで済むのは大変ありがたい。整然とした通路を忙しそうに歩き回る通行人に体がぶつかってしまわないように配慮しながら歩き続ける秋人。その途中、ふととある場所が気になりそちらへ視線を向ける。



(やっぱり最近の広告って、すごい力を入れてるんだよなぁ)



 周囲を白く包む等間隔に並んだ天井の明かりに、内部を支える無数の柱。そして何より目玉であろう、空間演出に用いられる大型LEDビジョンの広告映像が壁いっぱいに映し出されていた。およそ五十メートル程はあるだろうか。一部とはいえ、秋人はその光景に思わず圧倒されてしまう。


 大学へ通学する際にはいつもこの駅を利用している訳だが、よくよく考えてみればこれまで小説の構想ばかりでじっくりと眺める機会がなかった。秋人は通行人の迷惑にならないよう通路の端に寄りながら、改めて広告映像を観察してみる。



「これは確か、最近アニメ化して滅茶苦茶有名になった漫画のキャラだっけ?」



 タイトルは記載されていないので不明だが、どうやら漫画内の有名なセリフや格好良いシーンのコマ割りといった見どころのある部分を上手く編集して広告として掲載しているようだ。


 最近ではテレビやアプリゲームとのコラボなどメディアに引っ張りだこな作品なので、経済効果としては確かに抜群だろう。思わずこのタイトルの単行本を購入したくなるのも頷けるし、見ていて楽しい。



「僕もこのくらい有名になれたらなぁ。なーんて」



 はぁ、と羨望の眼差しを向けながらゆっくりと息を吐く。


 秋人、もとい萩月結が『ワールド・セイヴァーズ』を描き始めた当初は書籍化はともかく、アニメ化するほど人気が出るとは思わなかった。幸いにもアイデアや執筆速度には困らなかったので小説投稿サイトに毎日投稿出来て、評価されたのちに有名ラノベ出版社から書籍化の声が掛かるに至ったが……こういったものを見てしまうと、様々な欲が首をもたげてしまうのは作家としてのサガだろうか。



「……いや、夢のまた夢だね。()()()()()望みすぎるのは、良くないか」



 浮き足立った心へ言い聞かせるように言葉を呟いた秋人。浮かれて慢心するのも烏滸がましい、と平静を意識しつつ歩みを再開しようとするも、突如背後から声が掛かる。



「あら、秋人くん?」

「っ、黒峰さん。どうしてここに?」



 柔らかく温もりを感じる声に秋人が振り返ると、そこには驚いたような表情を浮かべた私服姿の黒峰が立っていた。




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