ミリム・エル・ラファエル
ミリム・エル・ラファエル。彼女との契約の後、すぐに目を覚ました準は、自分の姿を見て驚いた。体中から、色んな管が、色んな機会に繋がれていて、すぐに動くことが出来ない。でも、すぐに看護婦さんが、やってきて先生を呼びに行った。
準は、口もきけないほどけがを負ったわけではなく、ただ単に、検査入院だけだったのだが、原因不明で、事故の後ひたすら1年間眠り続けていたのだ。医者の連絡を受け、母のまりは、飛んで病院にやってきた。まりはすぐに準に語りかけてきた。
「本当に心配したんだから。この寝坊助め。」とまりは言うと、先生が話があると言い、向こうに行ってしまった。準は、水が欲しかったんだが体が全く動かなかった。しかし、その時小さな黒い風が吹きミリムが現れた。
「よう。準。何かようか?喋らなくていいぞ、俺が察知してやってほしいことをやってやる。何だ。水が欲しいのか。ちょうどいい。自分の能力で口に水を送ってみろ」
とミリムが言ってきた。しかし、能力と言っても、どんな能力が備わったのか?分からない準は、頭のン中で、(水)とだけ、念じてみた。すると口の中に自然に唾液ではない水分が、口の中を潤した。準は一心地着いたのか、少し眠ることにした。
しかし、すぐにまた、先生がやってきて、彼の目に光を入れて、動向の具合を見る。その光で起こされ目を覚ます。そして、医者から簡単な説明があった。「峰永君。君は自分の事がわかるかい?喋れなければ、目を一回閉じて返事をしてくれ。」と医者は聞いてきたが準はすぐに。
「俺?あの事故の後、何があったんですか?ものすごい怪我でも負ったのですか?」と聞くと
「いや、怪我と言う怪我は全くなかった。ただ、事故の後、君は原因不明で、眠り続けていたんだ。自発呼吸もしていたし、栄養も与えていなかったが、筋力はむしろ付いているように見えるし、この調子なら、すぐに退院できそうだが、少し検査が必要だから、後一週間くらいかな?病院に入院して、その後退院できると思う。こんなケースは初めてだから、我々医師も、戸惑っているんだよ。」
「そうだ。ここの病院の入院費はどうなるんですか?」
「それは心配ない、事故の相手がちゃんと保険に入っていたし、事故自体は車が人をはねたという事で100%向こうが悪いため、保険で支払ってくれている。」
「良かった。」
「それよりも、君は受験前に一年間も眠っていたんだ。成績は優秀だったみたいだが、行ける高校は限られてくるぞ」と医者は言うと。
「まぁ、何にしても脳波を少し調べるだけで、すぐに退院できるだろう」と、医者は言い去っていった。
すると、すぐに看護師と別の医者がやってきて、準の体の管を抜いていった。しばらくすると。自然に体が動き始めた。その時、ミリムが現れた。
「おう、準。調子はどうだ?」
「どうもこうもないよ。最悪だ。俺の人生が一年遅れちまった、人生計画立て直さないとな。」
と言うと、ミリムに準が聞く。
「(ミリム・エル・ラファエル)って言ったか?ラファエルって、ヘブライ語で(神に癒される)って意味だろ。ユダヤ教だったかな?そんな名前のお前が、なんて悪魔なんかやってるんだ。」
「お前、良くそんな、くだらないこと知ってるな。テストに出んだろうよ」とミリムが言うと
「私は、堕天使なのだ。」と小さな声で、呟いた。
準は、辛そうなミリムの顔を見ると、あまり突っ込まない方が良いと思い、話題を変えた。
「俺の能力は、水を操れることか?」
「いいや、私は雨を司る、天使でもあったからな。その天使から、成り下がり、堕天使になったから雨と言うか、天候を操れる力と言って良いかな」
「へー、あんま、役に立ちそうもないな。」と興味なさげに、言うと。ミリムは
「おいおい、お前、あほか?もっといいかえれば、大自然を操れる力だぞ」
「でもお前、悪魔だろ?力を使えば対価を取られるんじゃないか?」
「いや、私は今は悪魔だが、また、天に帰りたいと思っている。なのでお前に限り、対価は取らんよ。」とあっさり言う。「それに、もう素晴らしい対価はもう貰ってる、悪魔の最大の弱点の精霊に対抗する力を、お前に与えてもらったからな。」
と言うと、準は、「まぁ、仲良くしていこうや。」と言い、自分の得た力を、凄いという事を心に秘め、どう試すか?考えていた。