雨の悪魔との契約
雨の中、どこをどう通ってきたか、準は覚えていない、しかしその雨の中、ある声が頭の中に響いてきていた。「…」「…」「じゅ…」「じゅん」「準」「準!」とある声が大きく、響いたとき準は眼を覚ました。するとそこは、夜中の病院だった。
「あれ?ここは?俺は朝、学校に向かっている最中に…」
と考えていると、後ろから声が聞こえてきた。「おう、目を覚ましたか?」ベットの横に10歳か11歳くらいの女の子が座っていた、黒いワンピースに黒のマント。星の髪飾りを付けていた。始めは準も不自然に思ったが、姿を見てその恐怖感は無くなった。衣装のわりにあまりにもあどけない、顔をしていたからだ。準はこの女の子の悪魔と話してみることに決めた。
「君?どっから来たの?俺、車にはねられたから、ここは病院のはずなんだけどね。」
「そうさ、ここは病院。俺はこの病院に住み着いている悪魔さ。でも、この病院の医者はなかなか優秀でな。け!糞面白くもない、俺の出番は全く回ってこず、そろそろ、お暇することに決めたんだ。ここに居ちゃあ、取れる魂も取れない。そこでだ!準。俺と契約しないか?そのお前の左腕、なかなか、良いもの持ってるじゃないか。その左腕分の魂だけで良い、俺にくれないか?そうすれば、俺はお前をマスターとあがめて、お前の一生分だけは、役にやってやるぞ」
「おいおい、ほんとにそんな、契約かわしていいのか?人間の一生って言ったら、結構長いぞ」
「ははは、いらない心配だ。俺はお前と違って、この宇宙が誕生した時から生きてるんだぞ。それと比べれば、人間の一生分なんて、あっという間に、過ぎていく、一瞬の出来事だ。」
「ふーん。そんなもんか。おっし、その代わり魂を取ったからって、左手が動かなくなるとかは無しな、このまま普通に使えるなら、その契約乗ってやる。」
「お!お前、結構度胸があるね。良し、じゃあ、契約の代わりにお前に、二つ名を付けてやろう。我がつける、二つ名には、魔王サタン様の加護がある。契約だ。私の額にお前の血を一滴たらしな。」
準は、指をかみ、血を出して、彼女の額に塗り付けた。「そう言えば、彼女の名前知らないな」そうふと思う、準だったが、儀式は始まっていた。部屋全体が暗くなり、霧が出始め、その霧が円を描き、悪魔と準の周りを回り始めた。
「峰永準、お前の天の加護を我に供物として与え、我にすべてを託す覚悟を示せそして、天、地、世界の理を理解し、世界が欲しがる智をお前に与えん。お前の二つ名は、ライル。今日よりそなたの名は、峰永ライル準と名乗るがいい」
すると、それまで、夜の0時を指していた、時計の針が、みるみる進み始め、夜明け前の6時で止まった。「よっし、もう私の名を教えても良いな。」と悪魔が言うと、悪魔は木を失う寸前の準に、言う。
「我が名は、ミリム・エル・ラファエル。これから我らは、友だ。いつでも我が名を呼ぶがいい。」
そう言って、悪魔は消えていった。そして、夜が明けると、準は目を覚ました、短い用で、長い夢を見ていたような気分だった。その少し後に知るのだが、その契約のすぐあと、準の左腕に何かの刻印が記された。それが魔王の娘ミリムとの契約の刻印であるという事を準が知るのは少し後の事だった。