プロローグ
「おはよう母さん」
ここは、北関東に位置する某県某市のある文化住宅。そこに住む母一人子一人の家庭。彼の名前は、峰永準。中学生。母はパートをしながら、彼を養っている。父親は彼が生まれる前に死んだと聞かされている。詳しいことは知らない彼だが、そんな事に興味はなかった。今、大事なのは出来るだけ偏差値の高い、公立高校に受かる事。そう、彼の言えば決して裕福とは言えない、家庭だった。彼の性格は、真面目の一言でも、顔は結構良く、女子にはも密かにだが、もてていた。
「母ちゃん、母ちゃん、早く飯作ってくれ部活に送れちゃう。今日は朝練なんだ」
と、物静かな彼と違って、凄く明るい女の子と声が、上の二階から響いてくる。そう、彼女は日吉里奈活発で、男勝り顔は可愛いのだが、その気の強さから、男が告白してきても、(部活が恋人)と言ってすぐに、降った男、数知れず。
「おーい、急ぐのは良いが車に気負付けていけよ。」と準が言うと、二階の部屋から「分かった~~あ~~りがとう~~、お前も勉強ばっかりやってないで、そのなよっちい、体何とかしろ!!」と里奈の声が聞こえてきた。
「まったく、麗しの乙女のプライベートが無いっつーの」
準の母、まりが「は~~里奈ちゃんって活発で良いわ。うちもああいう女の子が欲しかったな~~こんな、ぶす~~~っとしている、息子じゃなく。(笑)」とまりのいつもの冗談が、飛び出すと準は、何も感じないのか反抗期らしくなく「いっそのことあっちと、コラボで住んだら?」と冗談を返す。
しかし、まりは「は~~い30点。準はもうちょっとギャグのセンス磨こっか。」
「は~~このババア。」
「なに~~~養ってもらっていて、ババアだぁ?」
「冗談。行ってきます。」
「マイナス100点!!」「あんた、また、こんなに早くに学校?部活もしてないのに?」
「知ってるだろ!!早めに行って勉強するんだよ!!」
「は~~い、分かった分かった。でも、何故か?出かけるのがいっつも、里奈ちゃんと同じ時間帯だね~~~」
「偶然だよ。(照)」
と言いつつ、出かける準であった。そうそう、ここで紹介しておくが、準には、特殊な能力があった。準は、右利きだったが左手の力だけ普通の大人の約3倍ほどあるのだ。拳さへ無事ならコンクリートの壁が、へこむほどの怪力だ。でも、頭のいい、準はそれは誰にも言わなかった。と言うか、言う必要が無いと思っていたのだろう。そして、二人は、学校に向かった。
「おっす準。」
「おはよう、里奈」
「里奈、どうでも良いが、受験勉強やってるのか?」
「へへ~~ん。私はつい先日、我が総合格闘技部での推薦を頂けることに決定したのだ(笑)」
「じゃあ、里奈。俺が受かれば、同じ高校か?」
「おお!また、通学が一緒になるね。峰永準君(笑)
と、言われ頭を抱えるべきなのか?喜ぶべきなのか?悩む準であった。
すると、突然後ろから、車が里奈めがけて走ってくるのを音で察知した。準だった。里奈の運動神経ならすぐに避けれそうなものだが、そんな事を考えている余裕はなかった。すぐ目の前に車がやってきて、反射的に車の前に立ちふさがる準。
(キキ――――――――――)
物凄いブレーキ音と共に、準の左側の体にぶつかり、準をはねて止まる車であった。準は、二、三メートル吹き飛ばされ、車の後ろ側まで飛ばされ、倒れこむ。
「準!!1」
「…………」
準は意識を失った。その時、朝から怪しかった空から、雨が降ってきた。