表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/24

第十八話 展望台

 研究室での話が終わると、ハナをミハエルの元に残して、二人はブルームについて部屋を出た。


「では、最後に展望台へご案内します」


 そう言うと、エレベーターホールへと向かった。


「いやぁ、びっくりしたな。ハナちゃんのお母さんがかの有名な弾丸職人のブルーローズだったなんて。でもって、ダーティーラットも作っていたなんて。この国の、いやこの世界のナンバーワン・ツーの弾丸がここで作られているなんて、ゾクゾクするや」


 リンシャは興奮気味に言った。横を歩いていたブルームは


「はい。ミハエルさんのお造りになる銃弾は我々の大事な資金源になっております。とても高く取引されているので、非常に助かっております。しかし、この世界で一番と言うのはいささか大袈裟かと思われます。この世界は、おそらくお二方が考えているより遥かに大きいのです」


 と答えた。リンシャとブルームはその後もミハエルの作る銃弾の話をした。


「ところでよ、ブルーローズってそんなにすごいのか」


 話に入れないアモンが、二人の後ろから口を挟んだ。するとリンシャが後ろを振り返って言った。


「何言ってんだよ、兄さん。ブルーローズだよ。兄さんの使えるDランクの弾がこうなら、ブルーローズはこうだよ」


 リンシャは右手を上から下に、Dランクの時はふらふらゆっくりと降ろすと、ブルーローズの時は素早くビュッと音が鳴るようにふり降ろした。


「なんだよ、その例えは。俺にはさっぱり分からんな。お前は例えが下手だな」


 アモンは呆れていた。それを聞いたリンシャはむすっとして、


「それじゃ、Dランクはなまくら包丁、ブルーローズは名人の研いだ包丁。それでトマトを切ったらDランクがこう力を入れて押しつぶす感じで、ブルーローズはすっと刃が入ってストンと切れる感じ。どう、これなら分かった?」


「んー、分かったような分からないような」


「もういいよ、兄さんは。だからDランクのままなんだよ」


 リンシャは前を向いて歩き始めた。

 アモンが呆れていると、ブルームと目があい、やれやれ、とジェスチャーをしてみせた。


 エレベーターに乗るとかなり上まで上がって行った。


「さて、着きました。こちらが展望台です。ここからノーザリア方面が見えます」


 エレベーターから降りるとそこは外だった。正確には山がそこの部分だけ切り取られ、大きな空間になっていた。

 そこには巨大なライトや望遠鏡などが並んでいた。


「ウヒョー、すげー高い。森があんなに下に見えるよ」


 リンシャは無邪気に喜び、はしゃいだ。


「リンシャさん、落ちないように気をつけてくださいね」


 本当の外、山肌に向かって走っていくリンシャの後ろからブルームが言った。


「はるか彼方。あそこに黒く見えるのがノーザリアです」


 ブルームは東の方を指さした。指の先には確かに何か黒いものがぼんやりと見えた。


「へぇー、あのノーザリアがこんなに小さく見えるのか」


 アモンは関心した。


「それで、その少し手前にエルバンテ教会があります。エルバンテ教会は小さすぎるので肉眼では見えませんが、望遠鏡を使えば見ることが出来ます。そこのライトはエルバンテ教会の方を向いています。教会から点滅する光をご覧になりましたか。あれがこのライトの光です」


 ブルームの説明をアモンは頷いて聞いていた。

施設案内は終わりです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ