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第十五話 オオトリ本部

 六人は山の麓まで来た。

 見上げるような高い山。上の方には雲がかかっており、山頂は見えない。

 エルバンテ教会で見た光の出どころはどこであろうか。かなり雲に近かったのでだいぶ上なのだろう。上方を見上げたアモンとリンシャはうんざりした顔をした。それを見たオリバーは


「は、は、は、ご安心を。ここから山肌をずっと登って行くなんて事ないですから。ちょっと上がったところに秘密の入り口がありまして、そこからエレベーターで上がります」


「エレベーター?何それ」


 リンシャは不思議そうにオリバーに聞いた。


「そうでした。エレベーターは初めてですよね。昔使われていた機械ですが、今は廃れたと言うか、禁止されていますので、見聞きしたことありませんでしたね。何はともあれ、見ていただくのが手っ取り早いので、早速参りましょう」


 一行が山肌を少し登るとそこには洞窟が開いていた。入り口は洞窟のようであったが、中は先日の洞窟と同様かそれ以上に手入れがされているトンネルであった。そして、トンネルの中にはあかりが付いており、足元まで照らされていた。真っ直ぐしばらく歩くと金属の扉が見えてきた。


「さ、これがエレベーターの入り口です。どうぞお入りください」


 そう言ってオリバーが壁のボタンを押すと扉が開いた。

 中は金属製の箱になっており、全員乗ると扉が閉まり上へと動き始めた。


「うぉ、なんだこれ。変な感じだぞ。オリバーさん、大丈夫なんかい?」


「大丈夫ですよ、アモンさん。今、この箱は上昇しているのです」


「へぇ、すごいねぇ、こんなものがあるんだなんて」


 アモンが感心している間に目的の階に到着した。扉が開くと一行は廊下を進み、時々角を曲がると、ある部屋の前に着いた。


「こちらが司令官のいる部屋になります。我々が到着していることはもう存じているはずなので、待っていると思います」


 オリバーはドアをノックした。


「入りたまえ」


 中から声がした。

 ドアを開け中に入るとそこには初老の男性と妖艶な美女がいた。男性はアモンに負けず劣らずの大柄な体格であり、右目には黒い眼帯をしていた。


「ようこそ、オオトリ本部へ。私はここの司令官のグッドマン=イーグルだ。色々話を聞きたいし、そちらも色々聞きたいと思うが、まず少女の荷物を見せていただこうか」


 グッドマンはソファーに腰をかけた。一緒にいた女性が三人にも腰掛けるように促した。

 アモンはソファーに座ると荷物から小包みを取り出した。それをハナに手渡し、ハナの目を見て軽く頷いた。

 ハナはそれを両手に持ってしばし眺めると、前に差し出した。


「これです」


 前に出した手は震えていた。これのせいで今まで追われていたこと、これでようやく開放されること、今あったばかりの人にこれを渡していいものかなど、色々なことが脳裏をよぎっていた。

 その手とハナの表情を見たグッドマンは


「今まで大変だっただろう。迷惑かけて本当にすまない」


 ハナから小包を受け取り、全体を隈なく見た。


「これは非常に大切なものだ。君のおかげで助かったよ。我々の恩人だ」


 そう言うと、小包を付き添いの女に渡した。

 女は部屋の隅にあったテーブルで包みを開き、箱を開けると何やら金属製の小さな棒を取り出した。


「ではこれをエドガーに渡します」


 グッドマンにそう言うと部屋を出て行った。


「長旅で疲れたろう。部屋を用意してあるから、ゆっくり休むといい。詳しい話は明日にでもしよう」


 三人は与えられた部屋で一夜を過ごした。

 翌朝、三人はグッドマンからこの世界の歴史について話を聞いた。

ついに本部に着いた三人。このグッドマン=イーグルと名乗る人物は一体誰なのか。

この世界の歴史の一部が明るみに出る。

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