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Reflection

俺はノートをまとめながら頭の中を整理していた。

戦核の基礎知識、それだけでこんだけ混乱するとは…


「戦核はね、"陰陽術"の要素も取り入れた高度な技術の結晶なんだ。理解を深めることで必ず君たちの戦いを楽にしてくれるよ。さあ、今日はここまでにしておこっか!」

平賀先生はそう言って授業を終えた。


この後は昼休みを挟んだ後に戦闘技練の授業がある。

「天磨ーー意味不明だったよ〜〜」

空が話しかけてくる。

「安心しろ、俺もわけわかんなかったから」

言いながら弁当の包みを開く。

昼食は村井さんが弁当を作ってくれることになっている。本当にありがたい。

空も弁当持参のようなので、教室で一緒に食べることにした。


この学院には購買部と学食があり、広い食堂も備えられている。

昼食を用意できない生徒にも配慮されているわけだ。

ただ、俺も空もまだしばらくは学院の雰囲気に慣れたい…もとい騒がしいのがあんまり得意じゃないという斜に構えた考えから教室で食べることを選んだ。


「天磨くん、私も一緒に食べていいかな?」

鈴鹿の提案は意外だった。少なくとも最初のうちは女子同士でつるむと思った。

女子ってのは本当に驚くほどの速さでコミュニティを形成するよな。そのくせあちこちに「派閥」を乱立させて、表面上は仲良くしているフリをして水面下ではバチバチにやり合ってる…それが世の常だ。そのことを思うとこうして鈴鹿が俺

「いいよー」

空が有無を言わさずに許可した。

空が言うんならいいんだろう、空の中ではな…。



「「「いただきます」」」

俺と空、そしてなぜか鈴鹿も俺の席の周りに机をくっつけて小さな食卓を囲む。


「戦闘技練、楽しみだな」

「楽しみ…?」

「あ、いや、戦うのが好きとかじゃねーんだ。ただ、やっぱり何でも上達したら嬉しいだろ?」

いかん。気を抜くとすぐに戦闘狂だと思われそうだ。


「また式鬼と戦んかなー?」

「どうだろう?学院側もそんなに簡単に式鬼を用意できないんじゃないかな?ところで…それ、何を振ってるの?」


俺がシャカシャカと振っていたボトルを指して鈴鹿が言う。


「プロテイン」

「プ、プロテイン…」

そうだ。俺は1日3回はプロテインを飲むようにしている。パウダー状のプロテインを水に溶かして摂取する。

「天磨は筋肉馬鹿。ただし脳筋ってわけじゃあない」

「うるせーぞヒョロガリ」

「色々努力してるんだね」

「出来ることはなるべく、な」


「あーーーーー!!!天磨氏が女の子侍らせてるっスーーーーッッッ!!!」

静寂を切り裂いてオタクの声が生まれたよ。

このまま家虎が僕らを呼んだって返事もロクにしないでやろうか?


「家虎、うるさい」

空が冷たい目を向ける。いいぞもっとやれ。

「何なんスか!?さっそく1人目のヒロイン攻略し始めたんスか!?俺という親友枠を差し置いて!!」

「誰が親友枠だ」

「え、えーっと…」

鈴鹿が困惑している。

「ほらお前があんまりうるせーから鈴鹿がドン引きしてんだろ」

「名前呼びッッッ!!??天磨氏、嘘だよな…?うわああああああああーーーーーー!!!」

家虎は叫びながら走っていった。あいつ何しに来たんだよ…






昼休みを終え、戦闘技練の授業のために俺たちは入学式で実技試験を行なったあの場所に来ていた。

正式名称は「実戦訓練用小演習場」というらしい。小ってことは大の方もあるんだろうな。いずれはそっちも使うんだろう。


「っしゃー、お楽しみの戦闘技練だな」

意外にも担当は安土先生だった。意外と言うと失礼だけどな。あんまり戦闘タイプって感じに見えなくてな。


「今日は式鬼とやり合わないんですか?」

「おーおー血気盛んだねぇ〜織田くん」

安土先生はニタニタと笑った。


「あー、今日はな、ちょっとした訓練を行うからな」

すると先生は何やら取り出した。

何だあれ、ベルト…?


「いいか?いかに武士といえど生身で式鬼とやり合うのはあまりに危険だ。そこで使われるのがこれ。「甲冑(かっちゅう)」だ」


甲冑…?確かにベルト巻けば腹に力が入れやすくなるけどよ…


「これもめちゃくちゃすげー発明なんだぜ?まぁ使えばわかる。織田、やってみろ」

そう言うと安土先生は俺に甲冑と呼ばれたベルトを手渡してきた。


「戦核の適合者なら勝手に巻かれるから。日曜朝9時のイメージでやってみ」

「ホントかよ…」

俺が半信半疑でベルトを腰の位置に当てると──


ザァーーー…ガシャン!!


本当に自動で巻かれやがった。

どういう技術なんだよ…


「戦核を起動して中央の窪みにはめ込むんだ」


?????

ここまできたらどうにでもなりやがれとしか思えねぇ…



「"変幻自在にして不変不動"」


俺は具現詠唱を唱え、戦核を言われた通り窪みにセットした。


途端──


ガシャン!ガシャン!と音を立てながら、

俺の体に黒い装甲が形成され、纏われていく…

これが甲冑?


「おーー」

「天磨氏かっこいいっスよ!!!!」


「甲冑は身を守るだけじゃないんだ。装着者の身体能力を高める機能もある。まぁその辺は平賀先生にでも聞いてくれや」


確かになんとなく体が軽い。それに他化自在天を握る手に力が込もるのを感じる…

これなら今まで以上の動きが出来そうだ。


「今日は慣らしも兼ねて、甲冑を着て軽く戦ってもらうからな」


ん?


「もちろん、お前ら生徒同士で。タイマンでな」



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