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XIII-6暗黒の島


 意味を解せない言葉が、重々しいドラムにのって、地下都市全体に響き渡る。

 周囲は赤い炎で囲まれ、さらに人々によってゆらゆらと幻想的な雰囲気が作り出されていた。



「ナギ〜」

「なあに?」

「これってめちゃヤバイ雰囲気だよねぇ?」

「今頃何を言っているの?ずっと前からヤバかったじゃない」

「いやぁ・・・・・・けどさ、こんなに絶対絶命ってほどじゃなかったでしょ?」

「まぁ・・・・・・・・・そうね」


 怪しい儀式の中心にいる私たちは、処刑台に(はりつけ)られていた。人型の磔台に両手両足を固定され、目の前に巨大な刃が揺れている。紐を切るとその刃が首目掛けて下ってくる寸法だ。


「我らが神、ハーディスよ!貴方様に背きし子らを送ります。尊き命を奪うことをお許しください。罪人に裁きを!!」

「「罪人に裁きを!!」」

オッオッオッと短く声で刻まれるリズムと共に、住人の皆さんがテンションを上げてらっしゃる。

「ヤバイよヤバイってこれ。ナジでヤバイ・・・・・・」

「ああ、お花畑が見えるわ。あっおじいさんが手を振ってる」

「ええ!?ちょっ待ってナギ!まだ逝かないで!!」


 正気を失い始めたナギを、この世につなぎ留めようとしている間にも儀式は進められ、遂に―――


「裁きを下せ!!」

 のっしのっしと細身な住人の中でも一際目立つ大柄な男が、重そうな斧を担いで現れた。


「裁きを下せ!!」


 死刑執行人が所定の位置につく。


「裁きを!そして我らに安息と静寂の日々を!!」


 斧が大きく振りかぶられる。


 時間が止まったかのように、物音も斧を持つ男以外は動くものがいない。



 誰もが息を呑み、その瞬間に集中する。





そして―――














ブツッ











 巨大な刃をつないでいた太いロープが切られた。


 自重も加わり、すごい速さで向かってくる。


 わたしは、目を逸らす事もできずに迫り来るその瞬間を―――































「よお」










遠くの方で、声が聞こえた              気がした。



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