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VIII-1永遠に・・・?

 3日後、ゼルチップのおかげもあって、ウェーアの体調は完全に治った。


 そして今日、ノームや仲良くなった動物さん達に見送られて、私たちはファタムを離れる。もちろん、戻ってきたクダラと荷物と一緒にだ。


「それではノームさん、色々とお世話になりました」

「早く砂漠ナシブなくしてよ!?あたいらチョー困ってんだからさ」

「わかってるんだな。オイラ約束する。1・2年したら元に戻るはずだから、それまで我慢するんだな」

「ああ。頼んだぞ」

「な。頼まれるんだな」

「けど、本当にいいんですか?自分達のためにわざわざノースを呼んで」

「いきなり穴に落としたり、ドロギョンを向かわせたお詫びなんだな」

「やっぱ、そんぐらいはしてもらわないと割に合わないさね」

「ロウ」

「じゃあ、そろそろ行くね。本当にありがと、ノーム」

「な。気を付けて行くんだな」

「さようなら…」



・・・



 ノースに“またお世話になります”ってあいさつして、どのくらいでレイタムに着くのかを聞いた。どうやら4週間はかかるらしい。動くオアシスとは言え、そんなに早く移動できる訳ではないようだ。




「そいやーさー、」

 お昼頃、ロウちゃんがうつ伏せになってゴロゴロしながら口を開いた。

「赤目菌さー、“とあるものに用事があって来た”って言ってたけど…それ、どーしたのさ?もう済んだ訳?」

わたしとナギは一斉に彼を睨み付けた。人には余計な事を言うな、とか言っておきながら…。けど、当の本人は平然と、


「俺がいつそんな事を言った?」


とか言っちゃってる。

「穴ん中に落っこちた時さ!まさか、忘れたとか言わないさねぇ?」

「忘れたな。悪いが記憶にない」

ウェーアの事だ、絶対にとぼけてる。木に背中を預けて、下を向いたまま誰とも目を合わせようとしない。これがいい証拠だ。

「本当なんですよぉ、お姉様ぁ!」

「ロウの言っている事と、ファタムへ来た理由を教えてくれない事と、何か関係があるんですか?」

2人の糾弾に、うっと息を詰まらせた。ああ、ウェーアが余計な事を言うから…。けれども、兄妹が彼に向かって問わなかったのはいい判断だと思う。

「えっと…その〜」

「言う必要はない」

わたしがどう言おうかと口ごもっていると、すぐにウェーアが冷たく言い放つ。何も、そんな言い方しなくてもいいのに。

「でもさー」

「アルミスさんやロウちゃんでしたら、信頼できるのではありませんか?」

ナギが横から助け船を出してくれた。

「例え信用できても、いつどこで情報が洩れるかわからないだろ。危険はできる限り避けるべきだ」

上げた顔は無表情で、無感情な口調。何が気に入らないんだろう。

「じゃあ、ウェーアはどうなるの?私たち、ウェーアなら(成り行きとは言え)大丈夫って思って話したんだよ?どうしてアルミスさん達はだめなの?」

「俺に話してくれたのはありがたいがな、そうそう他人に話していい事でもないだろう。少しは身の危険を感じたらどうだ?後々、大変な目に遭っても知らないぞ」

突き放すように言うと、ウェーアは“勝手にしろ”と目深に帽子を被って堅く口を閉ざしてしまった。

 そんな拗ねた子供みたいな態度に軽く溜め息を吐くと、兄妹にわたしの事やディスティニーの事には触れずに、今までのいきさつを簡単に語った。




 話し終わった時の反応は、それぞれだった。ロウちゃんはふうんと頷くだけで終わった。反対にアルミスさんはどうして世界が消滅するとわかったのか、ケイを集めてどうやってそれを食い止めるのかと聞いてきたけれど、私たちも知らない。なので、そうとしか答えられなかった。


「とにかくさ、その“ワグナー・ケイ”ってヤツを集めればいいんでしょ?兄さ、あたいもお姉様たちと一緒にいろんな所に行きたいさ」

「駄目だよロウ。ナギさんとセリナさんに迷惑を掛けてしまう。協力したい気持ちはわかるけど、それはできないよ」


 そう、気持ちはありがたいんだけど、今後もっと危険な事が起こるかもしれない。そんな中、せっかく仲良くなった彼女を危険な目に合わせるわけにはいかない。


「ごめんね、ロウちゃん。その気持ちだけで十分だから。ありがとね。私たち、頑張るから」

「セリナお姉様…。うん、頑張ってください!あたい、レイタムで毎日お祈りします。お姉様たちの旅が無事、成功しますようにって!」

ロウちゃんは、努めて明るく言ってくれた。


 わたしはもう一度、ありがとうとお礼を言った。



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