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IV-6新たな出会い

 私が湯浴びをしていると、なにやら外でセリナとウェーアさんが騒いでいるようでした。きっと、喧嘩でもしているのでしょう。あの二人はとても仲がよろしいですから。まるで、私の父と母のように・・・。


 「・・・どうしているのかしら」


 私の父と母は、遠くの方で難しいお仕事をしています。あまり家には帰って来られませんが、毎月仕送りをしてくれますし、年の終わりには必ず帰ってきてくれます。そして、たくさんのお土産を持って来て、「元気だった?」って毎回聞いてくれます。

 今回は、会えるかどうかはわかりませんが・・・。

 

 私が体を拭き、服を着て外へ出ると、

「まあ」

ウェーアさんとセリナがまだ言い争っていました。

「まだお取り込み中だったようですね。それではもう少し入っていますので、終わったら呼んで下さい。――あ、どうぞごゆっくり」

と、私は一応断っておいて、また浴室へ戻りました。

 湯船にもう一度浸かっていますと、すぐにウェーアさんが呼びに来ました。

「もう出てきていいぞ」

あら?なんだか怒っているようですね。私が邪魔をしてしまったからでしょうか。

 ゆっくりと浴室から出て、セリナとすれ違う時に、

「もういいの?別に気を使わなくてもよかったのに」

と、声をかけたのですが、むすっとした顔で何も言わずに乱暴に扉を閉めました。


□□□


 「――町の人たち――――・・・・・ですが―――」

 ナギの言葉が右耳から左耳へと素通りしていく。

 何故だ?らしくない。あんな些細な事で何故、本気で怒った?トルバに対してならいくらでもある。だが、付き合いの短い彼女に対して何故あんなにも・・・


「聞いていらっしゃいますか?」


「―――っ!」

目の前で手を振られてはっとなった。

「あ。ああ、すまない」

ニコニコと細められたナギの目を見て、何故か背筋に悪寒が走る。

「人が話しているときに考え事をするのはよくありませんよ?」

変わらぬ笑みで彼女は言った。どうやら怒っていたらしい。・・・末恐ろしい子だな。

「ああ、気をつけるよ」

それが出来ればの話だが。

「・・・セリナの事ですか?」

ナギの笑みが軟らかいものに変わり、とりあえずほっとした俺だったが、彼女の言葉に眉を寄せた。

「は?」

「今、考え事をされていたのでしょう?先程喧嘩をしていたセリナの事ではありませんか?」

「違う」

そう答えた俺の声が、どこか他人のものに聞こえた。

「本当にそうですか?」

ナギは執拗に聞いてくる。

「何が言いたいんだ?」

「ですから〜、―――」

「そんな事はない」

受け答えの声は、何故かぎこちなかった。

「そうですか?そうは見えませんけど?」

ナギがくすくすと笑う。どうもこういう子は苦手だ。

「気のせいだろう」

「そうでしょうか」

「ああ」

「そうですか。では、彼女にも聞いてみましょうか」

「そ、そんなことする必要はない!」

 また、ナギが笑う。

 しまった。いや、焦る必要はない。言わせておけばいい。聞きたければ勝手に聞けばいい。俺には関係のない事だ。

「ふふふ。冗談ですよ」

「・・・言うなよ」

気が付いたときにはそう口走っていた。

「え?」

「だから、セリナには言うなよ」


「―何を?」


 上から掛かる怒りの治まりきらない声に、俺の体は硬直してしまった。



・・・青春、だなぁ〜

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