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英雄ドルドラス三世  作者: 三国志浪
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フェンダとローエルの人材収集

 翌朝、皆で朝食を取りながら今後の行動の最終確認を行う。カドリアとルーガ、モリーは王都に戻り、武術大会開催に動き出す。フェンダとローエルは人材収集の旅に出る。ウルドは引き続き個人で動き、情報機関を構築する。

 朝食を終え、準備が整うとフェンダとローエルはカドリア達を見送る。ウルドはすでに宿を出ていた。

「片目め~、今度会った時にはただではおかぬ」

フェンダの言葉とは裏腹に彼の顔は嬉しそうな顔になっている。これを口実にウルドをいたぶることでも考えているのだろう。

「よし、我も向かうか」

そういうとフェンダは一人歩き出した。ローエルがそれを慌てて追う。フェンダのスピードはぐんぐん上がり、ローエルは走らないと追いつかなくなった。

「おい、早すぎる。ちょっと待って」

そのローエルの叫びをガン無視でフェンダは進む。

「フェ、、、フェンダ様。お待ちになってください。」

ローエルが懇願するような声を出すとフェンダは急にピタッと止まった。

「何かな?」

ニターっとした笑顔でローエルを見る。ローエルは息が切れてしまい話が出来ない。

「用がないなら呼ぶな」

そう言い進もうとする。

「馬、ハァハァ・・・」

「何?」わざとらしくフェンダが耳に手を当てて聞き返す。

「馬を・・・・・、使いましょう」無理に声を出したためにローエルの声は裏返り変な感じになってしまう。

「我には必要ない」

「私には必要です」

ローエルはようやく息が整った。

「ローエルよ。人にものを頼むときはどのようにするのだったかな?」

「すみませんが私に馬を与えてください」

そう言うとローエルは深々と頭を下げた。

「そのような軽い感じではなぁ~」

ローエルは膝を折り、両手を胸の前に合わせ

「どうか馬をお与えください」

と懇願した。

「よくできたぞ、ローエル。では馬を与えてやろう」

満足げな表情でフェンダが言う。すぐに馬を手に入れ二人は旅を続けた。

「さて、どうしますか?」

「お前は我に黙ってついてくれば良い」

まずは、フェンダの知り合いの求道者でも変わり種である、判子の道を究める男を尋ねた。

「おう、フェンダ。久しいな」

「グリ爺、お元気か?」

「この通りよ」グリ爺と呼ばれた爺さんは右腕で力瘤を作る動作をしてみせた。

「今日は頼みがあってきた。我と共にカドリア王子の所に来てくれ?」

「断る」グリ爺はにべもない。

「では、お前の判子を譲ってくれ。勿論、至高の判子だ」

「断ったら?」

「殺す」こちらもにべもない。

「理由次第じゃが・・・」

「どうしても我にはその判子が必要だ」

「わかった。持っていけ」そういうとグリ爺は、家の中に引っ込んでいった。

ローエルは驚いた。話の展開に全く持ってついていけない。

「フェンダ様、何がどうなったのか私にはさっぱりわかりません」

「馬鹿だからだ」やはりフェンダはにべもない。

(私が馬鹿だから?いやいやいや、あれで分かるほうに問題あるだろう)

やがてグリ爺が小さな小箱を持って現れた。

「あれから儂も腕を上げてのぅ。「至高」のほかに、「崇高」そして「サウザー」という新たに二つの誰にも真似できない判子を作った。で、本当に至高で良いのじゃな?」

「確認するが、本当に爺さんの他にこれを作れる者は居ないな」

「当たり前だ。儂は究めた者ぞ。他に居るなら儂が会わせてもらいたいもんじゃ」

「ならば至高で良い」

「毎度あり」

グリ爺は陽気な声を出すと奥に入り紙を持ってきてフェンダに渡した。

「振込、来週までになってますんで、よろしくお願いします。」そういうと丁寧にお辞儀をした。フェンダはその紙を見て、一瞬顔をしかめたが、そのまま紙を懐へ入れ、

「用事は済んだ。いくぞ」

そう声を掛け、グリ爺の所を後にした。

 それからもフェンダの知り合いの求道者を尋ね歩いた。求道者達の間でもフェンダは「複数の道を究めるべき男」と言われ超有名であった。その彼がカドリアの事を絶賛して説くとあっという間に多くの同士が集まった。新しく同士になった者から土地を統治できそうなものは居ないか?とローエルが尋ねるとすぐに名前を教えてくれた。ローエルはすぐにそれに会い、人物を確かめ、カドリアの理想を説きこちらも多くの同士を得ることが出来た。フェンダとローエルはやはり天才的であり、彼らのコンビはじつに効率良く、優秀な人物を次々とカドリアの元へ送った。その紹介状にグリ爺の判子を押した。これで偽の紹介状を作るのを防ぐのだ。そんな彼らが活動を進めると、「もの凄く当たる占い師」の噂を良く耳にするようになった。

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