断絶された湖
汚れた角のまるい格子模様を見るともなく見ている。
また終わらない一日……
許すことよりも諦めることを、
広がることよりも一人耐えることを、
言い訳よりも沈黙を、
晴れた空よりも雨の夜を、
一日は私に与えた。
目を閉じれば、岸辺を明々と残照が照らす………
いや、あれは朝日の輝きだった。
わたしの中にもあった夜明けの景色は、
鳥居を頂いていた。
近江の海から風が吹く。
さらりと涼やかな夏の夜明けに、
水は澄み渡り、やがて陽は昇る。
小魚の群れが水の中の風のように踊る。
今年もわたしたちを待っている、
眠たげな静寂をひた走り、
ああでもないこうでもないと、
やっと辿り着く寂れた砂浜。
子どもたちと夜の最期を看取って、やがて……
あの始まりの太陽!
静かな湖面を金と赤とオレンジと、この世で最も尊い赤!
朝日は蛇のように湖面を滑り、こちらへ迫るその時には、
もう子供たちは波打ち際からばしゃばしゃと入っている、
そして……歓声!
季節もわたしたちの準備もまだ満ちていない。
だけど、その時が来ればきっと、あの輝きに満ちた朝を、
みんなで見に行くのだ。
そこには影はあっても、生きた影であって、光は自信に満ちていてさりげない。やり残しの堆積である汚れではなくて、生きものの生きた残滓としての汚れがそこにはある。
吐き出される乗客の一人として、生き延びていくことは、さほど苦痛ではない。ただ乗客たちがわたしがお互いを断絶していることが苦痛であって……
お読み頂いてありがとうございます。