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マチルダ

感想いただきましたレフェル様。並びにこのお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。

「あぁ。お会いしたかったですわ♪」


 マチルダさんは、潤んだ瞳で彼に抱きつく。


「え、えっと、場所変えません? 人に見られてますし。」


 ボクは周囲を見回して提案する。


「あらあら。お恥ずかしいところをお見せしました。」


 マチルダさんは恥ずかしそうに頬を紅く染めていた。


「この町の宿屋に宿泊してそこで話し合いしませんか?」




「ふぅ。」


 ボクは息を吐きながら腰をおろした。

部屋に暖炉があり、その暖炉の中の炎から熱気が伝わってくる。その熱気によりかいた汗がボクの裸体を伝わって床に落ちる。正直言ってお風呂に入りたいけど、あれは裕福な貴族の道楽だからね。


普通の家庭は入れるとしたら、こういった蒸し風呂しか入れないからね。硬く絞ったタオルで体を拭いていたら、


「御一緒しますね♪」


 マチルダさんが隠すものなく入室してきた。そのしなやかでほっそりした体に同性でも見惚れてしまう。

それに対してボクはおっぱいは負けてないけど、日常的に剣を振り回してたからか、太めでガチガチの筋肉だ。その違いに床にのの字を書いていると、


「お背中拭きますね?」


 マチルダさんはボクのタオルを手に取り背中を拭いてくれる。絶妙な力加減で背中を拭いてくれながら背中から質問が来る。


「そういえば、貴女は故郷を滅ぼされてその仇討ちで魔剣士達を追っているんですよね?」

「はい。そうです。」

「辛くはなかったのですか?」

「最初の頃は辛かったです。右も左もわからない小娘でしたし。でも、辛いよりももし諦めたら、故郷の人達は申し訳ないからその方が辛いです。だから今まで頑張ってこれたんです。

まあ、7年程かけて掴めたのは魔剣士が何度かボクの故郷みたいに滅ぼして回っているって聖騎士様から公表された情報だけですけどね。」


 そこまで語った時、マチルダさんがクスクスと笑っていた。その目には激しい怒りを見せながら。


「彼等らしい卑劣なやり方よね。」


『ひょっとして、マチルダさんはボクの敵の事を何か心当たりあるんですか?』

 マチルダさんの言葉に問いかけようとした時、


 ガチャ


と音がしてドアが開かれた。


「お前達、何でここに?」


 彼が酷く驚いた表情でそこにいた。


「大胆ですわね♪」


 マチルダさん大胆にも全裸のまま彼に抱きつく。マチルダさんを見てボクはここが蒸し風呂だと思い出した。


「キャァァァッ!!」


 体を丸めて隠しながら悲鳴をあげるのだった。




「ううう。見られちゃった。ボク、お嫁にいけない。」

「だから、すまんってば。」


 宿を出てから何度目かのボクの呟きに彼も同じ回数だけ謝罪する。


「もういいじゃないですか。見たのは御互い様ですし。そもそも、宿屋さんのミスですよ?」


 そう。そもそもは、蒸し風呂に入るには宿屋の店主さんに何時に入りたいことて燃料費を渡しておく。後は店主さんが蒸し風呂に使う暖炉に火をつけ薪をくべることで部屋を熱くしてくれるのだ。だけど、ここで手違いで同じ時間にボク達を入れてしまったのだ。


「それはさておいて、」


 ボク達と一緒に歩いてくれるマチルダさんが足を止め視線を右の方に向ける。そこには森があるだけなんだけど?


「そこにいらっしゃるのは知ってますよ? 隠れてないで出てくださいな?」


 マチルダさんの言葉に聖騎士様が姿を森の中からこちらまで歩いてきた。その男には見覚えがあった。


「カール?」


 確か、ここから南に行ったところに闘技場(コロッセウム)があり、彼はそこで2メイル(約2メートル)を越える背丈から生み出される力で通算15回防衛しているディフェンディングチャンピオンだ。確か、1年程前に聖騎士様になり引退するまで無敗だったらしい。魔剣を抜こうとする彼をマチルダさんが止める。


「ここは、私と魔剣グラムに任せてください。」


 マチルダさんはそう言いながら、鞘から引き抜き、虹色の輝きを放つ剣を聖騎士様に突きつける。


「貴様の体を血で赤く染め上げてやろう。堕天使の犬よ。」


 聖騎士・カールは豪腕を振り回して、聖なるオーラをマチルダさんに飛ばす。しかし、マチルダさんはグラムでオーラを受け止める瞬間、オーラが刀身で流れてあさっての方へ飛び去る。


「な、何が?」

「受け流しだよ。攻撃を受け止め、攻撃の方向を誘導してやって、力を反らす防御だよ。」


 そこからは、マチルダさんが優勢だった。聖剣の攻撃は一切当たらず、グラムによって反らされるか、かわされる。そして、


ヒュン!!


 マチルダさんの回転させながらの一撃にカールの胴体、上半身と下半身に別れる。しかし、マチルダさんがグラムを聖剣に振り下ろそうとするより早く聖剣がこのばを飛び去った。


「あらあら。逃げられましたか。」


 鮮血にまみれた踊り子を見てボクはその美しさに振るえていた。

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