新たな出会い
感想頂きましたレフェル様。ならびにこのお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。
「やっと、町に出れたよ。」
ボクは町の入り口で感慨深く呟いていた。
「ほら、さっさと行こう。まずは君の服を用立てないと。」
「ああ。そうだね。いつまでも、裸にマントもどうかと思うし。
じゃ、服を買ったらここに戻るから。」
彼の言葉にボクは服屋を探し始めた。町を回って小一時間でようやく、服屋を見つけて服を購入したのはいいけど、その帰り道に誰かとぶつかった。
「あら? ごめんなさいね。」
「いえ。ボクの方も不注意でした。すみません。」
女性の謝罪にボクも頭を下げて謝罪する。その女性は同性のボクから見ても十分に魅力的な女性だ。むっちりとした太ももから続く張りのある腰に細くてスラッとした体つきに相反するように形よく実った果実と魅惑的な肢体を僅かな布切れで隠しその上から臼布で覆っているその姿から旅の踊り子だと思う。ただ、右手に握られてる大剣には違和感があるけど。
「どうしましたか?」
「い、いえ。凄くきれいな人だなって思いました。」
「フフ♪ ありがとうございます♪
ですが、貴女も十分にきれいですよ。」
思いもよらない言葉にボクの顔はうっすらと紅くなってしまう。
「いえ、ボクはまだまだですよ? 男の人とお付き合いしたことないですし。」
「世の中の殿方は見る目が無いですわね。
こんな可愛らしい女の子に気づかないなんて。」 彼女のからかいに頬を紅くなってしまう。
その様に彼女はクスリと笑ってから問いかける。
「そういえば、貴女は黒ずくめの錆びた剣を持った妖しい殿方に心当りはありませんか?」
その問いに一瞬硬直する。
「い、いや、ボクには心当りはありません。」
「それはすみません。」
彼女はボクの答えに残念そうな表情を浮かべた。
「なんだろう? あの人?」
呟きながら、彼との待ち合わせ場所に向かう。
「よお。」
ボクを待ってくれたらしい、彼はボクの姿を見て軽く手をあげる。
「宿屋を探そう。」
彼の提案にボクは首を横に振る。確かに、今は夕暮れだから、次の町に向かう途中で夜になるのは目に見えている。それを理解した上でこの町を出たいのは、先程あった女性の事が気になるからだ。
「なるほど。だけど、遅いみたいだ。」
彼はそう言って、ボクから視線をずらすと先程の女性がそこにいる。
「先程の反応があまりにもバレバレでしたので、後をつけさせて頂きました。」
ボクの驚きの表情を見てクスクスと笑って答えた。
「そして、お久しぶりですわね。」
彼女はそう言いながら、彼に抱きついた。
「ああ。そうだな。マチルダ。」
彼は苦笑しながら、彼女の頭を撫でる。
「ひょっとして、マチルダさんって。」
ボクの言葉に彼は深く頷いた。
「彼女も魔剣士。」
ボクの呟きは誰の耳にも届く事はなかった。