3月うさぎ
うさぎ、うさぎ、
わたしのうさぎ。
3月うさぎが驚いた。
うさぎ、うさぎ、
わたしのうさぎ。
あなたの尻尾を踏んだから?
怒ったの?
もう嫌い?
ごめんね。
もうしないわ。
だから、
会いたいの。
会いたいわ。
3月うさぎに会いたいわ。
わたしの3月うさぎちゃん。
春にはまだまだ遠いから。
今頃うさぎは冬眠中。
そうでした、うさぎは冬眠なんてしやしない。
雪に紛れてかくれんぼ。
誰があなたを探してくれる?
誰があなたを見つけてくれる?
わたしでしょ?
わたしでなけりゃ、あなたなんて探し出せやしないでしょ。
まっ白雪に身を隠す、臆病者のうさぎちゃん。
うさぎ、うさぎ。
あなたはよく知っているのでしょう?
あなたが作る雪だるまも。
あなたが口にする砂の果実も。
わたしの頬を包むその手のひらも。
わたしを熱くするその唇も。
すべて、すべて、
わたしが大好きだってことを。
わたしが必要としていることを。
わたしが待っているってことを。
わたしのこの身体の熱さが雪を溶かす。
早く春が来るようにと。
いいの?
いいでしょ?
いいよね。
わたしはうさぎを見つけちゃうよ。
そうしたらね、
いつまでも終わらないお茶会へ。
二人だけのお茶会へ。
連れて行ってね。
早く。
春まではもう待てないよ。