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第4話  迷いと秘密



 お弁当を食べ終えて教室に戻る時、自販機に寄るからと順子さんと悠ちゃんと別れて一人歩く。朝からポケットに突っ込んだままの携帯に気づき、取り出してメールを打つ。


『返信遅くてごめんね。嫌いとかそういうのじゃなくて、あまりすぐに返信できないので、気にしないでください。山口君はとっても話しやすくて、嫌いになるとかないから』


 ピッ、とメールを送信する。すると、またすぐに山口君からの返信が来た。


『そっか、了解! そう言ってもらえると嬉しいな。俺も花音ちゃんと話すの楽しかったよ』


 山口君って、すごくマメな性格なのかしら。とっても返信がはやくてビックリする。

 それから、午後の授業が始まるまでメールのやり取りをしてて「二十三日一緒に映画に行かない?」と誘われたのだけど、どうしよう……

 悠ちゃんに相談したら絶対に、いいと思うって言われそうだな。

 でも、このまま何も予定がなかったら、順子さんの合コンにまた引っ張られて行くことになりそうだし……それだけは避けたいな、っと思う。でも、映画もなあ……

 そんなことを考えていてめずらしく上の空で授業を受けて、あっという間に放課後になってしまた。



 帰ろうと思い教室の中で順子さんを探すと、順子さんはクラスメイトの岡山さんに話しかけていた。


「ねっ、どうだった?」


「大丈夫だって二十三日。向こうは五人っていうから、私と順ちゃんと、あとはどうする? 私で声かけちゃっていい?」


 岡山さんは、綺麗なロングウェーブヘアを背中に流し、ちょっと濃いめのお化粧をしてる。見た目は派手だけど、面倒見が良くて、それから順子さんと同じ合コン好き。

 きっと、二十三日の合コンのセッティングを岡山さんに頼んだのだろう。


「うーん、ちょっと待ってて、悠ー」


 そう言って、順子さんが悠ちゃんを呼んだ。


「二十三日、合コン行く?」


 当たり前だけど、悠ちゃんには正直に合コンって言って誘ってるのね。私はそんなことを考えた。


「ん、その日部活ないし、行ってもいいよ」


「了解! あとは……花音!」


 ドキンっ。

 急に呼ばれて、私は心臓が飛び出るくらい驚いた。ぼーっと順子さんたちの様子をながめてて、急に現実に引き戻された。


「あっ、なに? 順子さん」


 なんで呼ばれたかは分かってたけど、そう言って私は二人に近づいた。


「二十三日ひまだったらさ、合コン行かない?」


 お昼の時に二十三日も合コン! って宣言してただけに、誤魔化さずに言う順子さん。


「えっと……」


 私はまだどうしたらいいか迷ってて、仕方なく相談してみることにした。


「実はさっき山口君からメールで二十三日に映画に行かないかって誘われて……」


 そう言って私は悠ちゃんを仰ぎ見て聞いた。


「どうしたらいいかな?」


「花音はどうしたいの?」


 悠ちゃんに問い返されて、私は困った。合コンを断るために行くのは気が進まないけど、でももし合コンの話がなかったらどうしてただろう……やっぱり、迷ってたかな、そう考えた時。


「迷ってるなら、行ってもいいんじゃない? 行きたくないわけではないんでしょ?」


 そう聞かれて、私はこくんと頷いた。

 誘われて嫌ではなかったよ、むしろ嬉しかったし。ただ、こんなこと初めてで、どうしたらいいのかわからなかったの。



「いいじゃん、映画デート! これでクリスマスデートに一歩近づいたね。私も頑張らないと!」


 そう言って気合いを入れる順子さん。私は、複雑な気持ちで笑い返した。


「あーでも、今年はイブが終業式でラッキーよね! 午後からはクリスマスデートできるわけだし」


「そうは言っても、順子さんはまず相手を見つけないとね」


 そう言って順子さんの肩をぽんと叩く悠ちゃん。その言葉に、笑顔がひきつって、悲しそうな顔になる順子さん。


「ほら、クリスマスはデートじゃなくても、家族でパーティとかするでしょ?」


 励ますように言った私を、順子さんがちょっと冷めた目で見て。


「家でクリスマスなんてたいして祝わないし、ってか、この歳で家族と祝ってもねぇ?」


 そう言う順子さん。


「そーいえば、花音っ()ってクリスマスは家族でパーティするんだっけ? 去年そう言ってたような」


「うっ、うん」


 悠ちゃんの言葉に、ギクッとして、ぎこちなく相づちを打つ。自分からこの話題を振ることは避けてたのに、まさかこんなことになるなんて……


「パーティなんて大層なのもじゃなくて、ケーキ食べるだけだよ。……そっか、普通は家でクリスマスって祝わないんだね……」


 その私の言葉に、疑問を浮かべて顔を見合わせる順子さんと悠ちゃん。私は、これ以上追及されない様に、話をもとに戻す。


「あっ、とりあえず、映画行ってみようかな。だから、二十三日の合コンは行けないや、ごめんね順子さん。わっ私、今日は先に帰る!」


 そう言って、自分の席の上に置いてあった鞄を取ってあわてて教室を飛び出した。


「花音―??」


 飛び出した私の後ろで、順子さんが呼んでたけど、私はひたすら走って家に帰った。




誤字などありましたら、お知らせください<m(__)m>


『クリスマスなんて大嫌い!』は、あと三話・・・折り返し地点です!

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