第一話二人の日常
アシュタルグ帝国領 フリーデン
「勇者だ!子供たちを優先して地下に隠せ!ルーメさんにあとは任せて俺たちは地下に!」
魔人や獣人、エルフたちは地下に隠れた。人間であるルーメたちが対応することになった。
勇者たちは、ルーメたちの所に近づいてきた。
ルーメたちは喜びながら、勇者たちを歓迎しようとした。
「これはこれは、遥々こんな所まで来て頂きありがとうございます。我々、人間は勇者様に解放される日をどんなに待ちわびていたか。本当にありがとうございます。あの城にいる将軍を是非とも倒して下さい」
ルーメは、泣きながら言っていた。ルーメは勇者と握手した。
その瞬間に、矢が飛んできた。その矢は、勇者の心臓を射抜き、身体に穴を開けた。
「よし。殺れたみたいだね。魔法による矢の強化が上手くいったみたいだ。トゥテラ」
「そのようだな。フィデリ。今日は、いい肉が食えそうだ。それに、姫様にも会えるかもしれないし」
勇者たちがいた道の近くの森の木の上で喜びあっていたのは、エルフであり、最初に喋った方がフィデリタスで、銀髪で黒目で、もう一人はトゥテラで、黄緑色の髪で赤い目であった。このトゥテラが主人公である。2人の齢は15である。
「今だ。他の奴らを生け捕りにしろ。みんな地下から出て来て大丈夫だ」
ルーメが命令し、勇者の仲間たちを取り押さえた。
「ルーメさん。ありがとうございます。この勇者たちどう分けます?」
トゥテラとフィデリタスがルーメの元に来て、フィデリタスが聞いた。
「勇者とこの二人は、お二人に。二人のおかげで被害が無く済んだのですから」
頭を下げて言った。
「いや。この勇者とこの2人は皆さんで、俺らは、この女だけで十分。いいでしょ?フィデリ」
「お前がそれでいいなら、いいよ。お前が殺したんだから」
「ありがとう。じゃあそういうことで」
勇者の仲間の一人の女をフィデリタスは抱えて、城に向かった。
城に着き、女を受け渡してお金をもらった。
「今日の分の金じゃ、食いたいものは買えないな。やっぱり、勇者をもらっとけば、よかったか。いや、彼らにもたまには、良いものを食べてほしいし、今日は、川で魚釣るか」
「トゥテラ」
そう呼ぶ女性の声が後ろから聞こえてきた。
二人は振り返った。
「姫様。お久しぶりです」
「ヴァレリア様!お会いできて嬉しいです!」
トゥテラに声をかけたのは、ヴァレリアでこのフリーデン一帯を治める将軍ユーバーマハト·シュテルクステの娘で魔人の角が生えていて、ピンク髪で青い目をしている。
「また、勇者を仕留めたらしいね。凄いじゃん。少し私の部屋で、話してかない?」
トゥテラの頭を撫でつつ、聞いてきた。
「はい!話します!」
「じゃあ、俺は邪魔になりそうなので、魚を釣りに行ってくるよ。終わったら、家に帰ってきてくれれば、いいから」トゥテラとヴァレリアの元を離れて、魚を釣りに行こうとしたが、二人に止められた。
「行くなよ。何喋ればいいか分かんないんだから行くな!」と言いながら、目でも訴えてきた。
「ごめん。つい手が出て止めちゃった」
ヴァレリアは手を下ろした。
トゥテラに対して、フィデリタスは気を使っているんだよということを目で訴えて、出ていこうとした。
「まぁまぁ、フィデリ。儂も一緒にいればいいだろう?」フィデリタスのことを巨漢の男が止めた。
その巨漢の男はユーバーマハトで魔人の角を持ち、赤髪で青い目であり、身長が2mほどある。
「将軍様が言うなら、わかりました。参加します」
トゥテラに向かってため息を吐きながら答えた。
部屋に入り、椅子に座った。侍女が不服そうに、俺たちの分の茶も用意してくれた。
(俺たち、平民だからな)
フィデリタスはそう思いながら、申し訳なさそうな顔をしていた。
入ったはいいものの、誰も話し始めなかった。
「今日は、天気がいいですね」
トゥテラが話し始めた。
「そうですね。ここ最近は、雨が多かったですからね。そういえば、勇者が北方を中心に活発になってきているそうですよ。2人とも、気をつけてくださいね」
「陛下自ら出陣を検討されるほどの事態になっている。ここは、お前たちのおかげもあって、平和でいられている。感謝する」
「有難きお言葉にございます」
「ありがとうございます。これからも頑張ります!」
そんなことや、色々なことについて話した。
「今日は、ありがとうございます」
「色々と面白い話が聞けて良かったです。誠にありがとうございます」
そう言って、2人は城を出た。
帰り道の中で2人はこれからのことを話し合った。
「フィデリ!俺は決めた!勇者を殺し続けてれば、そのうち認められて官職が得られるかもしれない。それで出世して、ヴァレリア様を妻に迎えられるようになりたい」
「まぁ、夢は大きい方がいいからな。でも、平民は平民。将軍家は将軍家同士で結婚することが多い。例外も稀にあるが、険しい道を歩いて行ける覚悟が必要だぞ。出来るのか。トゥテラ」
「フィデリがいれば、心配ないさ。付いて来てくれるよな」
「当然。勇者に故郷を襲われ、破壊された日から、お前に付いていくと決めているからな。それに、俺はお前より、出世してしまうかもな」
「でも俺たちには、まだ夢のまた夢だ。今出来ることをしよう。まずは、腹が減ったので家に帰って飯でも食おう。ここから、家に帰るまで、競争だ。負けた方が飯の準備な。」そう言ってトゥテラは走り出した。
「おい!ずるいぞ。だが、この俺に敵うと思うなよ」
トゥテラを追いかけるように、走り出した。
二人のこの日常が明日には終わることを、まだ二人は知らなかった。




