第六章 憑依型の欠点と対策(前編)
ここからは、私の実際の経験や傾向を元に、憑依型の欠点を挙げて、なぜそうなるのかと、その対策を考え、憑依型での執筆活動で感じる苦痛や悩みを、少しでも軽くできればと思います。
■憑依型に多い欠点と、その対策
憑依型での執筆においては、はっきり言って欠点だらけです。プロット設計型と違って、計画性が乏しいですからね。失敗なんて日常茶飯事なんです。
憑依型の欠点としてよく言われるのが
・途中で整合性が取れなくなる。
・話があっちこっちに迷走してしまう
・伏線が回収できない
・テーマがまとまっておらず、なにが言いたいのか分かりづらい
と、こんな感じでしょうか。
憑依型の人なら全てが当てはまるというわけではありませんが、いくつか身に覚えがあるのではないでしょうか。
憑依型は構成などの設計よりも、脳内に作った人格の自由を優先させます。むしろ、そうしないと憑依型の強みは活かせません。言動などを外から強制してしまえば、そのキャラにウソが生まれ、ブレてしまう。
それなのに、妄想を広げれば広げるほど情報が溢れ、脳みそがそれまで妄想してきたことを忘れてしまうのです。全てを忘れてしまうわけではありませんが、所々が抜けていたりするんですよね。
実際によくあるのが、「あ、そういえばこのキャラ、こういう設定だった」とあとになって気付いたり、「ああ!そう言えばこのキャラ、こんなこと言ってたわ!全く逆のこと言っちゃってるよ・・・」と矛盾が生じたり。
でも、簡単ではありませんが、これらの欠点はカバーすることは可能だと思います。
結論から言ってしまうと、『書いては読み返してチェック、書いては読み返してチェック、と、自分が書いた内容を何度も頭に叩き込む』
要は、忘れてしまったことがないかのチェックと、話の道筋を無意識レベルにまで刷り込むんです。意識付けというよりも、洗脳に近いかもしれません。
私が実際にそうしているのですが、これをやっていれば、無意識にでも脳みそが誘導してくれるのか、迷走したり伏線の回収漏れは防げるようになると思います。とくに、長編で後半になってくると、序盤で描いていた細かいところなどが抜けてしまいがちなので、何度も最初から読み返すんです。
それに、読み返しチェックは、誤字脱字のチェックにもなります。憑依型は執筆のスピードが命の分、誤字脱字が多いんですよね。
ちなみに読み返しのチェックでは、私はアプリを使って音読させて、それを聞きながら目で文字を追います。耳で聞くと誤字脱字だけでなく、リズムの悪い言い回しや句読点の位置の不自然さとか、読書時の呼吸のタイミングを意識した文体など、ハッキリと浮き彫りになりますからね。目よりも耳のほうが信用出来ます。
あと、『ボツを恐れないこと』
私は自分でよくボツを出します。1~2話分ボツなんてザラです。「この展開では面白い続きは書けそうにない」と思えたら、展開を巻き戻してやるのも1つの手です。無理に進めても、結局行き詰ったり更に面白くなくなったりしたら、時間の無駄です。
そして、『着地点だけは考えておくこと』
これも私自身の方法なのですが、話が中盤あたりまで進んだら、最後の着地点(結末)だけ考えるのです。細かく無くてもいいし、〆のセリフだけでもいいし、プロットのようにキッチリ決める必要は無いです。そのほうが微調整が可能なので。
そして、それを忘れないようにメモに残しておくんです。
あとは、それを『ゴールだ』と意識しながら書き進めるんです。
それでも途中で脇道にそれたり停滞したりするでしょうけど、ゴールにたどり着くまで描き続けるんです。ボリュームが増えてしまいますけど、気にせずに、「いつか着地してやる」と信じて書いてしまうんです。
ここでミソなのが、着地点をスタートや序盤ではなく、中盤以降に決めること。
私の場合は、スタートしてから少しずつキャラに肉付けしていくので、序盤だとまだ人物像や方向性が出来上がっていないんですよね。
憑依型の場合は、書き始めてから色々湧いてくるので、設定や人物の追加情報なんて当たり前だと思います。なので、早い段階で結末を決めてしまっても、どうせあとから無理が生じたり、もっといい案が浮かんだりするので、序盤は敢えて決めずに、人物像や方向性が固まってから着地点を決めてやると、綺麗に着地がしやすくなります。
ここで、第一章で述べた『どのような展開に進むのか、私にも分かりません。』は語弊があるという話の補足ですが、実際の執筆工程内において、結末だけは決めているので、『分かりません』と断言するのは語弊があるということです。
第一章の段階で執筆時の手順まで言及してしまうと、話の主題が分かりにくくなってしまうので、あえて『分かりません』と断言して、後で解説すると書きました。




