第六章 憑依型の欠点と対策(後編)
■憑依型あるある失敗談や悩み
前述しましたが、憑依型で執筆していると、とにかく話の内容を忘れっぽい。冗談ではなく本当に抜けてしまうんです。私の記憶力の問題もあるでしょうけど、素で「俺、こんなこと書いてたんだ」って状態が普通にあるんです。
理由については、憑依型は執筆以外の時間も妄想を広げていたり、キャラのことばかり考えてしまうので、脳機能の低下だと思います。
憑依型以外の人には理解できないかもしれませんが、お風呂に浸かっているときとかトイレとか、仕事中とか移動中とか、寝る前にお布団に入った途端とか、脳内でキャラたちが動き出してしまうんです。
要は、執筆時間以外も情報は増えるし、脳みそそのものを酷使しているので、記憶機能が低下してしまうのだと思われます。パソコンで例えると、CPUを常時稼働させているせいで、メモリがキャパオーバーを起こしてしまっているのでしょう。
それで、私がよくやらかす失敗談というか悩みなのですが、執筆以外の時間に頭に浮かんだ良いアイデアを、いざ執筆しようとした時には忘れてしまっているんです。しかも、なにか良いアイデアが浮かんだことだけは憶えていて、内容は思い出せない。
アイデアが浮かんだことも忘れていれば、まだマシなのですが、「折角良いこと思いついたのに、なんだっけ・・・」と気になりだすと、そこから抜け出せなくなるんです。当然ストレスを感じますし、筆も進まなくなる。進めることは可能なんですけど、進めてしまったことで、あとでアイデアを思い出した時に整合性が取れなくて、そのアイデアを活かせなくなるのではと、ジレンマに陥るのです。
それで、私が今現在やっている対策なんですが、単純な話で、『アイデアが浮かんだら、面倒がらずにメモをする』
具体的には、カクヨムなどでその作品を連載しているところに、非公開のメモ用のページを作っておいて、なにかアイデアなどが浮かんだら、スマホでそこにメモだけ残す。あとは家に帰って執筆作業を始める際に、メモをチェックする。
ちなみに紙にメモしたこともあるのですが無くしちゃって、結局「せっかく良いこと思いついたのに、なんて書いてたっけ・・・」と同じ状態になったことがあったので、作品のページなら無くすことはないし、どこでもスマホでメモが残せるし、メモをしたこと自体を忘れていたとしても、投稿する際に気付きやすいので、非常に合理的なんです。
そしてもう1つ、実際によくある悩みなんですが、『書ける時はスイスイ書けるのに、一度筆が止まると続きが全く浮かばなくなってしまう』こと。
理由については、モチベ低下とか焦燥感によるプレッシャーとか色々考えたのですが、まだよく分かりません。
でも、この悩みって結構深刻だと思います。何度も続くと、「どうせ、次の新作も途中で書けなくなってしまうんじゃ・・・」と、執筆活動自体を続けることに不安を感じてしまいかねないですからね。
この悩みに関しては、私自身が今現在も抱えているものなので、今はまだ明確な対策を提示することはできません。脳内で無理矢理動かそうとしても、「コレじゃない」感ばかりで正解が見えなくなるんですよね。やっぱり、作者の意図で強制しようとすると、キャラが死ぬということだと思います。
だから、私の場合は開き直っています。もう「こういう物なのだ」と。
実際にあった話なのですが、3年ほど前に初めて本格的な転生物のファンタジーを書いてみようと書き始めたら、6話までの前世パートで筆が進まなくなったんです。それでずっと放置していたのですが、3年経ったある時、その作品に読者さんがコメントを残してくれたんです。『面白い。続きが読みたい』って。ずっとPVはゼロが続いてフォロー数も減ることはあっても増えることは無かったのに。
でもそのコメントが切っ掛けで、自分でもその6話分を読み返したんですよ。どんな内容だったっけって。
そしたら面白くて、「3年前の俺、やるな」って思えたんです。
もうそこからは妄想が捗り始めて、「お?これ、今なら続き書けそうだぞ?」と、3年ぶりに執筆を再開して、6話で放置していた作品が112話の完結まで描き切ることができたんです。
おまけに、3年も空けたおかげで脳内の妄想が完全にリセットされているので、6話までの前世パートと7話以降の現世パートとで、いい具合に温度差が生まれたんです。狙ってやったわけでありませんが、まさに怪我の功名。放置したおかげでの成功例だと思っています。
とはいえ、あくまでこれは対策ではなく、『こういうこともあるのだから』という実例です。




