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第4話 彼らは、街を守る者

 ミストの一撃が、甲冑を失ったマインに打ち込まれる。

「ぐああああっ!」

 マインの悲鳴が広場にこだます。

 急所に攻撃を食らったマインは、石畳の地面に転がって悶えた。


「お見事!」

 あとを追ってきたレイが、広場に到着する。倒れ伏したマインを見て、ミストに賛辞を送った。

「さすがはミスト。仕事が早いね」

「あとの二人は?」

「確保したよ。今、機関に連れて行っているところ」

「それならいい」

 マインの仲間たちは既に捕まり、然るべき場所へと連行しているようだ。レイ曰く、宿屋にあった禁止薬物も押収したそうだ。

 あとは、主犯であるマインを確保するだけだ。

 だが、レイが地べたに転がっているマインに手を伸ばそうとしたその時、乾いた音が周囲に響き、レイの頬に何かが過ぎった。


「くそっ、捕まってたまるか!」

「魔法銃……」

 マインの手に、手のひらサイズの魔法銃があった。魔力を凝縮させた弾を発射させる魔法兵器で、当たり所が悪ければ致命傷にもなる。

「魔法銃は許可を得た者でないと所持できないはず。君は許可を得たんですか?」

 怪訝な顔をするレイに対して、マインは魔法銃を構えたまま、足を引きずりながら距離を取った。

「許可なんて取るかよ! 裏で取引した魔法銃に決まってるだろうが!」

 魔法銃が取り出された瞬間、通行人ややじ馬が、わっと蜘蛛の子を散らすように逃げていく。

 皆、魔法銃の危険性を知っていた。先日も、路地裏で反社会的ギルドが撃ち合いをして、一般人が巻き込まれたという事件があったばかりだ。

 魔力がない者でも扱えるし、間合いも長く殺傷能力も充分。それに加えて、スキルを発動させる際の隙も生じない。

 遠距離でモンスターを倒せる頼もしい武器だが、恐るべき凶器でもあった。

 だからこそ、どこの街でも規制していた。それでも、規制を無視して入手する無法者は後を絶たない。


「ミスト、そして隊長さんよ。これ以上近づいたら、テメェらにも風穴を開けるぜ」

 マインは銃口を二人に向けながら、じりじりと後退する。そのまま逃走するつもりだ。

 そんな状況にもかかわらず、ミストは動揺するそぶりもなく、レイに問う。

「おい、どうするんだよ。俺の得物じゃあ、魔法銃を相手にするのは難しいぜ」

「そうかな? 君にできないことはないんじゃない?」

「こんな人の多いところで、魔法銃相手は厄介だ」

 ミストは、自分たちを遠目で見ている人々を見やる。魔法銃を恐れて離れているものの、うっかりしたら巻き込んでしまいそうな距離だ。

「まあ、それもそうか」

 レイも納得する。

 ミストは、不満そうに呻いた。

「俺はあいつを転がしたってのに、お前がさっさと捕まえないから」

「それを言われたら返す言葉もないね」

「おい! ごちゃごちゃやってるんじゃねぇ!」

 マインの悲鳴じみた叫び声が、二人の間に割り込む。


「まずはミスト! テメェからだ! 散々、俺をコケにしやがって! テメェの胸に風穴を開けて、風通しよくしてやるぜ!」

 マインの銃口がミストに向く。ミストは肩をすくめ、レイに視線をやった。

「だってさ」

「それは困る」

 レイが動いた。

 その瞬間、銃口はレイに向けられる。

「テメェ、動くな!」

「悪いけど、それは難しいな」

 マインが引き金を引くのと、レイがスキルを発動させるのは、同時だった。

 攻撃のスキルであれば、間に合わない。弾丸がレイの身体を貫くのが先だろう。

 しかし、レイの目前で、魔法銃の弾丸が弾かれた。

「なにぃ!?」

 レイの目の前に現れたのは、魔法壁だった。役目を終えた魔力の壁は、虚空へと消失する。

「『絶対防御』。これが僕のスキルだよ」

 どんな攻撃でも防御するスキルだ。しかし、防げるのは一撃のみである。

 しかし、レイには一撃で充分だった。


 無傷のレイを見て、マインが目を剥く。その一瞬でミストが懐に潜り込み、マインを組み伏せた。

「がっ!」

「残念だったな。話は機関で聞くってさ」

 マインの手から魔法銃が転がり落ちる。

 レイは組み伏せられているマインの腕を縛り上げ、抵抗できないようにした。

「容疑者確保。被害なし。うん、悪くない」

 レイは確保したマインを立たせながら、満足そうに頷いた。


「この、裏切り者が……!」

 マインは恨めしげにミストを見やる。そんなマインに、ミストは呆れたように言った。

「悪いが、俺は最初からお前たちの仲間になったつもりはねぇよ」

「テメェはそうやって、あらゆるパーティーでスパイ活動を続けてるってか? 裏切り続けている卑怯者が! いずれ、全てが敵になるだろうさ!」

「……そうかもな」

 一足遅れて、治安維持隊が広場に到着する。

 然るべき場所へと連行されるマインを見送りながら、ミストはただ、広場に佇んでいた。

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