6話「名前」
2040年4月15日。
鼻の大きなポッキーが、1000万匹のポッキーに「古墳に戻る日」を伝えてから、その期日がついにやってきた。
この20日間で、Aから放出されたネズミウイルスに感染し、人間がポッキーへと変わる光景を目の当たりにした1000万匹のポッキーたちは、次の2つのグループに分かれた。一つ目のグループは恐れて戸惑う者たち(約50万匹)二つ目のグループはウイルスを利用しようとする者たち(約950万匹)である。前者の50万匹のポッキーたちは、ヨンクニ地方の人間たちによって兵器で抹殺された。
一方、生き残った950万匹のポッキーたちが古墳へ戻ったその瞬間、Aから“孤独”の感情が消えたことで、ネズミウイルスの放出も止まった。Aは長時間ウイルスを放出し続けていたため、これまで意識を失っていたが、今目を覚ました。そして、鼻の大きなポッキーが疑われることはなかった。
意識を取り戻したAは、大きな声で950万匹のポッキーたちに結果を伝えた。
ポッキーたちはヨンクニ地方のポッキーを集めていたが、方法には違いがあった。多くのポッキーたちは、「罠を仕掛けて捕まえる」という単純な方法を使っていた。しかし上位25位のポッキーたちは、「友達になる」という別の方法を取っていた。そして、その“友達”を古墳に連れてくるのだ。このやり方の方が、リスクは少ない。
その中でも最も優秀だったのが鼻の大きなポッキーであり、彼には「B」という名前が与えられた。
Aは言った。「AからZまでの26匹のポッキーは、それぞれ50万匹のポッキーをまとめて“部隊”をつくり、隊長となれ!」
こうして、ヨンクニ地方のポッキーたちを含めた総勢1300万匹のポッキーたちは26の部隊に分けられ、目的地「サイタマシティ」へと進軍を開始した。