表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/8

4話「災害」

2040年3月26日。


トーキョーシティには、カントウ地方から多くの人々がポッキーを滅ぼす為、集まっていた。

だが、そこにポッキーの姿は一匹もなかった。


一方、ヨンクニ地方のカガワシティでは、人々が突然発生した激しい地震に怯えていた。

だが、それは自然の揺れではなかった。

海を渡り、山を越え、森を突き進んでやってきたポッキーたちの大移動による振動だったのだ。


ポッキーたち1000万匹は、すでにカガワシティに潜伏していた。

そこにある「古墳」と呼ばれる巨大な土の山を、住処にしていたのである。


彼らがそこに向かう前、初代ポッキーはトーキョーシティで天鼠国の仲間たちにこう伝えていた。


「カガワシティには古墳っていう大きな土の山があるんだ。そこを1000万匹のポッキーの拠点にする。

そして人間に気づかれずに、ヨンクニ地方をポッキーで埋め尽くしてくれ!

僕を含む残り500万匹はサイタマシティの古墳に潜伏して、カントウ地方をポッキーに染める!」


カガワシティに集まった1000万匹のポッキーたちは、初代ポッキーに代わる新たなリーダーを決めようとしていた。


そのとき、鼻の大きなポッキーが言った。


「じゃあ、Aはどう?」


周囲がざわつく。


「“A”? なんだそれ!? 俺たちは全員“ポッキー”だろ!」

「まさか、人間が紛れ込んでるのか……!?」


しばらくして場が静まったとき、鼻の大きなポッキーがもう一度口を開いた。


「“A”は、あいつのことだ!」


視線の先には、異様なほどの筋肉を持つポッキーが立っていた。


そのポッキーは堂々と名乗った。


「僕が“A”だ。つまり“名前”ってやつさ。人間が使ってる、自分たちを呼び合うための“名称”ってやつ。

そこで提案がある!僕がリーダーになったら、特別に25匹に“B”から“Z”までの名前を授けるつもりだ!」


ポッキーたちは戸惑った。


「なぜ、僕たちには名前がないんだ?」

「名前があればもっと便利なのに……」


その迷いを断ち切ったのは、またしても鼻の大きなポッキーだった。


「もう迷う必要はない!A以外に立候補者はいないんだから!

それにAの腕を見ろ!ひと振りするだけで大木をへし折るんだぞ!?

腕だけじゃない、全身の筋肉が鍛え抜かれてるんだ!!」


こうして“A”は、正式に新たなリーダーに選ばれた。


そして彼は1000万匹のポッキーたちに試練を与えた。


「死に物狂いで人間を“ポッキー”に変えろ!

ヨンクニ地方のどこでも構わない、思う存分やれ!!

そして、今から5日後――4月1日までに変えたポッキーたちをこの古墳へ連れてこい!

最も多く変えた上位25匹に、“名前”を与える!!! さあ、行け!!!!」


Aだけが古墳に残り、1000万匹のポッキーたちはヨンクニ地方の各地へと散っていった。


激しい地響きの正体が、地震ではなくポッキーたちの進撃によるものだと気づいた人間たちは、恐怖とともにこうつぶやいた。


「地震や津波に続く……新たな“災害”だ……」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ