第二話:新たな出会い
前回までのあらすじ:ある日、中村慎吾は同僚の中臣、後輩の坂本と一緒に居酒屋で飲んでいた。突然、店内に謎の男が侵入し無差別殺人を起こす。中村が様子を見に行くと謎の男に刺されてしまう。大量出血により中村は死んでしまった。すると突然、中村の頭に天恵と名乗る女が語りかけてくる。その女の話によると中村らを大量殺人した男はシリウスという星の中にあるアルカディア大陸の組織の一つである暗影連盟の幹部の1人、白蓮だと知る。その男を倒すべく中村は新たな生命へと転生しシリウスへと出向く。無事転生が完了した中村は文也、綾香という2人の両親のもとで生まれる。中村は転生者だとバレないために試行錯誤をしながら赤ちゃんの行動を行っていると脳内に謎の男が語りかけてきて………
??『おいおっさん、ちゃんと泣かないと転生者だとバレるぞ』
中村『何者だ!!!!』
??『お前と同じ、転生者だ』
中村『俺と同じ転生者って、、、てか何で俺と同じ命の中にいるんだ???』
??『おっさんは新たな命に生まれ変わる転生をした。だが俺は違う』
中村『違う?どういうことだ。てかお前、名前は?』
??『申し遅れた。俺の名前は堕天。暗黒連盟を倒すために必要な堕天という力術を絶やさないために新たな命に転生している。だが転生と言ってもお前がしたような高出力魔法ではない。簡易魔法で転生したから自我を持って行動することができない。だから新たに生まれた人体の中に入って力術を後継している。』
中村『そういうことか。じゃあ俺の力技は堕天なのか?』
堕天『いや、堕天ともうひとつあるはずだ。だが10歳になるまで力術が何なのかは発覚しない』
中村『なるほどな。でも堕天は使えるんだよな?いますぐ特訓して暗影連盟を倒しに行こうぜ』
堕天『ダメだ。暗影連盟は堕天を持っている者を殺しにくる。おっさんまで殺されたら死んだら元も子もない。』
中村『そうなのか。でもまた転生したらいいんじゃないか?』
堕天『転生というのはな、1人最大2回までだ。俺はもう1回行っている。2回目はおっさんだった。だからもう後がない』
中村『俺が2回目。そうか。そういうことなら俺が暗影連盟を倒さなきゃいけないのか』
堕天『そういうことだ。まぁ心配するな。俺がついている』
中村『わかった。頼りにしてるぞ。堕天』
堕天『あぁ、俺に任せろ』
文也「よし、命名式を行う。綾香、準備はいいか?」
綾香「うん。いつでもいいよ。」
2人「天の風よ、大地の鼓動よ、我が声を聞け。古の力を宿し、新たな英雄の名を授けん。雷の如く迅く、風の如く鋭く、その名を『颯斗』(はやと)と成すべし。今ここに、新たな生命を誕生させよ」
堕天『おっさんの名前、颯斗だってよ。いい名前だな』
中村『あぁ、でも心の中では前の世界の自分のままだけどな』
堕天『そういや、おっさんの前の世界の名前ってなんだ?』
中村『中村慎吾だ』
堕天『中村慎吾か。やっぱおっさんって呼ぶわ』
文也「颯斗、元気な子に育ってくれよ!!」
綾香「私たちの子だから、きっと元気な子になるはずよ!」
中村『この人たちのためにも、俺は強くなって暗影連盟を絶対に倒す』
堕天『その息だ、おっさん。協力するぜ』
中村『あぁ、ありがとな堕天』
その後も颯斗は両親のもとで平和に暮らした。中村と堕天は一緒の体に生まれてからの10年間、日々密かに特訓に明け暮れた。日中は転生者とバレないために日常生活を。就寝後は心の中で堕天と共に暗影連盟を倒すべく特訓をした。颯斗は成長していった。そして........
ーーーーーー颯斗生誕から10年後ーーーーーー
文也「颯斗。」
綾香「誕生日。」
2人「おめでと〜!!!!」
颯斗「父さん、母さん。ありがとう!!」
文也「颯斗の力術は何だろうな。」
綾香「ねぇ颯斗。力術検査してきたんでしょ?結果教えてよ!!」
文也「やっぱり俺の『火炎』(バーニング)じゃないか?」
綾香「いやいや。私の『氷界』(アイスブレイク)だよ!!」
颯斗「『修練』(コピー)だった」
文也「修練???何だそれは。」
颯斗「触れた相手の力術を複製して自分でも使えるようにする能力らしいよ。」
綾香「ということは私たちの力術も使えるってこと!?!?」
颯斗「そういうこと!!」
文也「すごいじゃないか!さすが俺たちの息子だな!!」
堕天『なぁおっさん、ちょっといいか?』
中村『どうした』
堕天『力術というのはな、大体が親の力術の派生系みたいな形で発現するんだ。なのになぜお前は修練が現れた?』
中村『俺にはそんなことわかんないよ』
堕天『そうだよな。おっさんにはわかるわけないよな。それにしても修練ってあいつの力技だよな.......』
??『そうです。堕天様の言う通り私の力術です』
堕天『やっぱりお前か』
中村『なぁ堕天、この美人さん誰だ?てか何で俺の心の中に堕天以外の人間がいるんだ?』
堕天『こいつは神聖。なぜいるのかはしらねぇ』
神聖『私は颯斗様が持っている独術である神聖で召喚されました』
中村『ちょっと待ってくれ。独術って何だ?』
神聖『独術と言うのはですね、力術とは違い、各個人の努力次第で得られる能力のことです。たとえ力術を持っていない非術者でも持つことのできる能力です』
中村『そういうことか』
堕天『独術で召喚されたお前の力術が、なぜこのおっさんの力術になっているのか?』
神聖『それはですね、颯斗様が非術者であったからです』
堕天『このおっさんが非術者?』
神聖『はい。颯斗様は元々は非術者でした。でも堕天様の力術は使用できます。しかし、堕天様の力術だけではこの国の屈指の名門高校である『黎明学園』に入学することが困難であると推測したため、私の力術を譲渡させてもらいました』
堕天『譲渡ってお前、自分自身で力術を使用できなくなるんだぞ??』
神聖『それは十分承知しています。しかし私は戦闘よりサポートに優れています。私よりも颯斗様に使っていただくべきだと感じ、譲渡しました。』
中村『神聖さん、なんかありがとな』
神聖『いえ、全然大丈夫です!あと、名前は気安く神聖とお呼びください。貴方は私のマスターです。』
中村『わかった。そうさせてもらう』
颯斗「なぁ父さん、母さん。話がある」
文也「改まってどうした?」
颯斗「俺、黎明学園に進学したい」
文也「は?」
綾香「颯斗、自分が何言ってるかわかってんの??」
堕天『おっさん、直球に言うな。反対されるに決まっている。何か言い訳をしろ』
颯斗「俺、暗影連盟を倒してこの世界を平和にしたいんだ。」
文也「そうか。俺は反対しない。」
綾香「私は反対よ!!そんな危ないところに行かせたくない!」
颯斗「父さんありがとう。母さん、誰かがその危ないところに行かなきゃこの戦争は終わらないんだ。」
綾香「でも......」
文也「綾香、颯斗がこう言っているんだ。俺たちの教育方針で颯斗には好きなようにやらせる。そう決めただろ。ここは応援してやろう。」
綾香「そうね。颯斗、やるからには全力で頑張りなさい!!私たちもできることは何でも協力する!!」
颯斗「ありがとう母さん。俺、頑張るよ。」
颯斗は様々な特訓をし、中学校への進学の準備を進めた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
〜暗黒連盟〜
白蓮「総帥様、例のものを集めました。」
??「よくやった白蓮。褒めて遣わす。」
白蓮「例のNo.2112の容態はどうですか?」
??「順調に回復している。」
白蓮「そうですか。あいつに何かあったら俺......」
??「わかっている。お前は安心して任務を行え。」
白蓮「わかりました。一刻にも早く中村の転生者を捕獲し、洗脳致します。」
??「あぁ、期待しておるぞ。白蓮。」
To Be Continued