4話
森から出てきて4人と合流した。
「終わった」
「傷だらけじゃないの」
俺は腰に下げた回復薬を口に含み飲み込んだ。
するとみるみる怪我が治っていく。
「お主なんちゅう戦い方をしとるんじゃ」
「とても痛そうです」
「問題ない」
「問題ないわけないじゃない、いつか身を滅ぼすわよ」
「俺は身体改造で臓器が強くなっているから大丈夫だ」
「身体改造って聞いたことはあるけど具体的にはどんなものなの?」
アナノイアが誰ともなく質問する。
「ホッグさんが受けたものですと交換、追加、細胞の変異化ですね」
「それってどんな事するの?」
「交換は既存の臓器を含む体の部位をより優れた人工物または魔獣などのものと交換することですね」
「追加は?」
「追加は主に臓器を増やしたり、元々ついていない体の部位をつけたりすることです」
「細胞の変異化ってのは?」
「それは魔獣などの魔力を体内に溜め込んでいる生物の細胞は他の細胞に影響を及ぼし変異させることができるんです、そうすると魔獣が持つ奇怪な能力を使えるようになるんです」
「奇怪な能力?初めて聞いたのお、どんな能力なんじゃ?」
「種族によって異なりますが、治癒能力や念動力、珍しい例ですと催眠能力なんてのもあります」
「お前やけに詳しいな」
カズナリが不思議そうに聞く。
「その手の分野も研究していたので、ところでホッグさんはどんな改造をしたんですか?」
「俺はありとあらゆる臓器をグレードアップして増やした、それと細胞は治癒系の能力を持つ魔獣の細胞によせて変異させた、部位欠損も治る」
「それはまた」
「ところで森どうするの?こんな早い段階で襲われちゃって入ったらどうなることやらわからないわよ」
「時間を考えると突っ切る他ないので俺が4人全員を担いで走り抜ける、四人となるとそこそこ重いが問題ない」
「走るって言ってもこの森は相当広い、抜けるのには相当な時間がかかるぞ」
カズナリが地図を広げながら言う。
「どれくらいかかる」
「速度にもよるが馬でも1週間以上はかかる」
「それなら問題にならない、俺は馬より早いし休まなくてもいいそんなにかからんだろう」
「まじか」
カズナリが大げさに驚く。
「ワシも身体改造してみようかのう」
「爺さん体力ないんだからやめときなさいよ、死ぬかもしれないわよ」
「うるへえ」
俺は4人を担いで走り出した。
地面を蹴るたび木々が振動する、これじゃあ敵にバレるかもしれないと思いながらも歩みを進めるしかなかった。
道中何度も襲われたが俺の脚力でなんとか逃げ切ることができ、無事森を抜けることができた。
「みんな大丈夫か」
「お主三日三晩も走り続けてよく平気な顔をしておれるのお」
「身体改造したから」
「ふざけた手術じゃ」
「どんなことの言い訳にも使えそうね」
「そうだぞ、こいつに女ができないのも手術のせいだからな」
「あらそうなの?可哀想に」
「ち、敵が増えやがった」
「あら、私はあなたの味方よ?」
「言ってろ」
しばらく歩いて行くと魔族の集落が見えてきた。
俺たちはできるだけ集落の近くまで近づいて次の行動を考える。
「ゴブリンとオークの集落か」
「どうするんじゃ潰すのか?」
「ああ」
「どうやるの?」
「毒だ」
「毒、ですか」
「見ろあそこの井戸がある、地図によれば近くに川も無い」
「酷いことをするのお」
「侵入がバレないようにするためには毒が良い、弱い毒性のものを飲ませ毒が周るのを遅らせる、そうすれば俺等に対する対応も遅れる」
「たしかに、お前賢いな」
「その発言ばかみたいだからやめたほうが良いぞ」
「知ってる」