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第69話「今度こそ! 俺はアメリーさんと幸せになってみせる!」

最終話です。


何卒宜しくお願い致します。


長い間のご愛読ありがとうございました。

パピヨン王とマルスリーヌ王女の一連の顛末を見届け……

ロジェは、パピヨン王国王都を出発。


パピヨン王国からの魔法鳩便が到着した数日後に、

シーニュ王国王都へ帰還した。


表向き時速100㎞走行なので、計算が合う様に時間調整し、

転移魔法などを使い、戻って来たのは言うまでもない。


そしてパピヨン王国から放たれた魔法鳩便が届けた国書の内容は、

全ての人々に公開して欲しいという但し書きがあったせいで、

各国王都の中央広場に立て看板が立てられ、あっという間に広まり……

今の段階では、シーニュ王国王都でも誰もが経過と顛末を知っていた。


パピヨン王とマルスリーヌ王女は、王族の身分を放棄。

政務から離れ、全財産を返納した上、それぞれが違う修道院へ……旅立ったと。


これがロジェ――勇者ラウル・シャリエの行った『リベンジ』である。


ラウルは魔物に襲われ、喰われたと見せかけた『偽りの死』という計略を用いて、

シーニュ王国へ逃れ、ロジェ・アルノーという別人格に擬態。

密かに隠れ生き延び、幸せに暮らしている。


しかし、マルスリーヌ王女がシーニュ王国へ嫁入りし、

ロジェの今の幸福を破壊する『不幸の連鎖』が起こる可能性があった。


そこでロジェは決意したのだ。

降りかかる火の粉は払うと。


じっくりと考えて作戦を練り、人として許されない事をしたふたりに、

地獄のナイトメアという罰を与え、他人の受けた痛みを分からせた上……


パピヨン王とマルスリーヌ王女を修道院へ入所させ、

めぐまれない人々に尽くす贖罪を行うようにしたのである。


ロジェには何の落ち度もないのに、散々利用して、最後は暗殺をくわだて……

殺されても文句は言えないくらい、

外道畜生なパピヨン王とマルスリーヌ王女ではある。


だが、それでも命を助けたのは、パピヨン王にはかつて世話になり、

マルスリーヌ王女が婚約までした相手だったというロジェの『情け』である。


そのマルスリーヌ王女だが、大罪を犯し、そのつぐないとして生涯独身を宣言した為、残念ながらシーニュ王国皇太子の望んだ結婚は、(かな)わぬものとなった。


このようにパピヨン王国の状況は大きく変わってしまったが……

否、密かにロジェが変えたのではあるが、ロジェ自身は課された仕事を果たした。


マルスリーヌ王女へ直接、皇太子からの手紙を渡し、

金塊、宝石、絹織物の献上品、3つを間違いなく納品したからだ。


その為か、ロジェがシーニュ王国王都へ帰還後、

初めてマクシミリアン殿下に会った時、


「ロジェ、長旅お疲れだった。本当に良くやってくれたな」


という慰労の言葉が発せられた。


対してロジェは、


「いえ、閣下。お預かりしたものをマルスリーヌ王女様へお届けする事は出来ましたが、結果的にお役に立てず申し訳ございませんでした」


と返した。


ロジェの言葉を聞いたマクシミリアン殿下は、沈痛な表情で首を横へ振る。


「……ふむ、わがまま、ぜいたくくらいならまだ許せるが、勇者殺しの大罪を犯した王女を、さすがに我が国の(きさき)にするわけにはいかない」


「………………………………………」


無言のロジェを見ながら、マクシミリアン殿下は話を続ける。


「マルスリーヌ王女と結ばれず、失恋した皇太子は悲しんでいるだろうが、これも運命だったのだ。依頼は果たしてくれたから契約通り、残金は支払う。ギルドから受け取るが良い。今後も何かあれば宜しく頼む」


対してロジェは、ただただ、


「ありがとうございます」


と短く礼を返したのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


数日後……ロジェは冒険者ギルドへ赴き、

職員のクリスから今回の残金、金貨500枚を受け取った。


クリスによれば、再び王家からの指名依頼の可能性はあるとの事。


特にマクシミリアン殿下がロジェを気に入ったとの事だ。

また何か縁があれば王家の仕事をする事もあるだろう。


クリスからは、この調子で確実に実績を積めば、

ランクAも射程内に入ると励まされる。


しばらくしたら、馬車荷便代行の仕事があるらしいと。


発注があれば再び、300㎞10の町村を回る事となる。


ロジェに任せると、早くて確実という評判が高く、

現在の4クライアント以外に新規参入希望のクライアントもあるとの事。

正規の馬車荷便が復活するまで、当分の間、続けられそうな見込みだ。


打合せが終わり、ギルドを出たロジェ。


これで全てが終わった……


忌まわしいしがらみは全て断ち切った。


改めてロジェ……勇者ラウルは第二の人生のスタートを切るのだ。


本日は快晴。

空を見上げれば、雲ひとつない大空が広がっている。


俺は外見が15歳の少年、中身だってまだ20歳の青年だ。


まだまだ若いし、時間はたっぷりある。


やりたい事もたくさんある。


勇者プラス魔王の能力は底知れずだし、全てを使いこなしているというわけではないから、

新しい仕事をする事も全然可能だろう。


そういえばと、ロジェは歩きながら苦笑する。


魔獣ケルベロスが「最近出番がない!」と異界からクレームを入れて来たのだ。


狼のような魔獣を連れた勇者ラウル・シャリエというイメージが巷では強すぎる。


なので、以前あったようにパピヨン王とマルスリーヌ王女に変に勘繰られないよう、

ここしばらく、ケルベロスの召喚を控えていた。


ふたりは辺境の地の修道院へ移ったし、そろそろケルベロスを使ってやろうかな。


そして……苦笑していたロジェは、今度は晴れやかに笑う。


俺には待っていてくれる、愛し愛される、大事な人だって居る!と。


運命の出会いで本物だと信じたマルスリーヌ王女の愛は誤解であり、錯覚だった。


今度こそ!

俺はアメリーさんと幸せになってみせる!


改めて決意したロジェは、白鳥亭への帰途を足早に急いだのであった。《完》

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

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