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第63話「このまま故国を任せておけば、完全に滅亡コース確定である」

長い距離を経て、パピヨン王国王都の王宮へ到着したロジェ。


幸い?門番が前回の傲慢騎士だったから、ロジェを見た瞬間、

「はいはい~」という感じで、平身低頭でペコペコしながら、

今度は自らマルスリーヌ王女を呼びに行ってくれた。


それでもお約束という感じで、ロジェは約1時間も待たされる。


1時間後に現れたマルスリーヌ王女は、ふんと鼻を鳴らし、

「高貴な王女は待たせる事など当たり前」という面持ちで現れた。


「うふふ、来たわね、ロジェ、遠路はるばるご苦労様」


マルスリーヌ王女は、ロジェをはっきり憶えていたようだ。

『元婚約者に雰囲気が似ている男』として認識しているらしい。


そのせいもあるのだろう。


相変わらず上から目線ではあるが、

話し方、態度がひどくフレンドリーとなっている。


以前「勇者ラウルに雰囲気が似ている」と指摘された時は、

驚いたロジェであったが、もう動揺している様子は見せない。


声を張り上げ、元気よくあいさつする。


「はい! ご無沙汰しております! マルスリーヌ王女様! ロジェ・アルノーでございます! シーニュ王国宰相マクシミリアン殿下の使いとして、今回は皇太子様からマルスリーヌ王女様宛のお手紙と献上品をお持ち致しました」


「うふふ、そうなの? ご無沙汰って言うけど、早速来たって感じね」


「はい! 王女様の為、更に走行速度を上げ、馳せ参じました!」


「うふふ、走るスピードを上げたの? 結構、結構。そういえばさあ、ロジェ。以前私が言った事(おぼ)えてる?」


「はい、良~く憶えていますよ。ええ、殿下に宜しく言っておいて。次の献上品が楽しみだって……とおっしゃいました」


「うわ! ピンポーン! 大正解! 原文のままって感じじゃない。良く憶えているわね。で、どうなの? 今回の献上品は? どうせ、また箱で持って来たんでしょ? 中身は知ってる?」


一番メインの皇太子からの手紙……

国書よりも贈られた献上品が大いに気になるマルスリーヌ王女。


しょーもな!と思いながら、ロジェは笑顔で答える。


「はい、存じ上げております。今回お持ちした献上品はまた箱が3つで、中身はそれぞれ金塊、宝石、絹織物だと思います」


「へえ~! 金塊、宝石に、絹織物かあ! 私の大好きなものばっかり! やるじゃない! 貴方のところの殿下は! 乙女心を分かってるわ!」


「……では、ご満足して頂けたところで、納品させて頂いても宜しいでしょうか?」


「うふふ、オッケ~、オッケ~、じゃあ、王宮の中へ運んでくれるう? 中で検品するからあ!」


「かしこまりました! 収納の魔道具で運んで参りましたから、身ひとつ、このまま失礼致します!」


「分かったわ! 私について来てっ!」


大好物のに金塊、宝石、絹織物を贈られて、

にっこにこのマルスリーヌ王女に先導され……


ロジェは懐かしい?パピヨン王国の王宮内へ久々に足を踏み入れたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


久々に入った王宮内は……

以前、こき使われたロジェ――ラウルだった頃の掃除に勤しんでいた時より、

どこもかしこも、だいぶ汚れが目立っていた。


まめな性格のラウルが王宮の隅から隅まで、きっちり清掃し、

ピカピカに磨いていたから、尚更目立つ。


また使用人の数もだいぶ減った気がする。


そこまでパピヨン王国は、財政難なのであろうか。


つらつら考えながら王宮の廊下を歩くロジェ。


このまま行けば、ロジェが「追放を言い渡された大広間」に到達する。


世界中で、一番行きたくない最悪の場所だ。

悪寒がするくらい嫌である。


しかし、拒否の意思を示すのもダメであり、逃げ出すわけにもいかない。


ロジェは腹をくくり、覚悟を決め、

マルスリーヌ王女の後につき、大広間に入った。


想像通り、正面の玉座には年齢を重ねて、

益々頑固になったという噂のパピヨン王が座っていた。


父親を見て、マルスリーヌ王女が声を張り上げる。


「お父様! お父様! たった今、シーニュ王国の使者が皇太子から私への手紙と献上品を運んで来ましたわ! 金塊に宝石、絹織物だそうですよ!」


対して!


パピヨン王は玉座に腰をおろしたまま、これまた声を張り上げる。


「おお、そうか! マルスリーヌよ! 皇太子の手紙などよりワシは贈られて来た献上品が気になるぞ! 


何という発言だろう。


国交、愛娘の縁談なんか二の次、最も欲しているのが献上品!!

……なんて、一体何を考えているのだろうか?


娘が娘なら、父親も父親である。


ふたりの本質は全く変わっていない。


このまま故国を任せておけば、完全に滅亡コース確定である。


やはり作戦を発動。

ざまあ!!と言われるくらい、みじめな目にあい、

犯した罪の重さを心底後悔して欲しい、そう思う。


再びマルスリーヌ王女が声を張り上げる。


「チネッテええ!! 床が汚れないよう、ボロ布をいっぱい用意してあるでしょお!!  さっさとそこへ敷きなさ~い!!」


「はい~!! マルスリーヌ王女様ああ!!」


マルスリーヌ王女に命じられた年若い侍女チネッテは、

あわあわと焦りつつ、こまねずみのようにまめまめしく働き、

用意していたらしいボロ布を何枚も敷いた。


それを見たマルスリーヌ王女は、うんうんと満足そうに頷き、命じる。


「ロジェ! 運んで来た献上品をボロ布の上に置いてちょうだい!」


「かしこまりました!」


短く答えたロジェは、収納の魔道具を作動させ、3つの大箱を搬出した。


「おお!」


3つの大箱を見て、パピヨン王は感嘆の声をあげ、


マルスリーヌ王女は目をキラキラさせながら、


「さあ! 早く全部の箱の蓋を開け、中身をしっかり確かめなきゃ! どれも高価なものだと良いんだけど!」


と言い、箱にとりつくと、乱暴に蓋を開け、中を覗き込んだのである。

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