第33話「成る程、ではそいつはリリースして、我々が即、交代ですね」
あけましておめでとうございます!
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ファザーガッドは、
『貴方様のお陰で、私の配下達は助かりましたあ!!』
そう大声で叫び、ぺこりと頭を下げた。
『はあ??????????』
しかし、ロジェは相変わらずわけわかめ、?マークを飛ばし続けていた。
本当に心当たりがないからだ。
『おいおいおい! お前の配下達が助かったって、どういう事だよ、ファザーガッド。ちゃんと説明してくれないか?』
『はっ、はい! ご説明させていただきます。貴方様は私とお話しされた後、愚連隊かぎ爪団のアジトへ入り、どうしたのか分かりませんが、奴らをあっさりと手懐けました』
『ふむ、それで?』
『は、はいっ! その後、一旦帰宅された貴方様は再び夜に出かけられ、離れた街中にこつぜんと現れました。私は宿屋の出入り口前に居りましたが、各所を見張らせていた一般猫から報告があったのです』
索敵を張り巡らし、転移先に人間が居ないかチェックしていたロジェであったが、
猫までは気が回らなかった。
苦笑したロジェは、続きを話すようファザーガッドを促す。
『そうか……それで?』
『はい、ふたつの愚連隊の本部を巡り、ご帰宅された貴方様でしたが、宿屋白鳥亭にこもられていたはずなのに、これまたどうして出る事が可能だったのか、私には全く分かりません』
『そうか……話を続けてくれ』
『はい、貴方様は毒蛇団、竜巻団と、続いて、ふたつの愚連隊どもも同じく簡単に懐柔。更にたった数日の間に残りの5つも含め、この街の全ての愚連隊を支配下に置きました!』
出会った後、ファザーガッドは、王都の配下達も総動員し、
ロジェを監視していたらしい。
ここで否定しても仕方がないので、ロジェは肯定する。
『ふうん、俺の事、いろいろと良く知ってるな』
『はっ、はい! やはり貴方様の放つ混沌とした魔力の波動が尋常ではないと思い、とても気になって、配下達とともに、ず~っと見守り続けさせていただきました』
『配下達とともに、ず~っと俺を見守り続けたか、成る程ねえ』
『はい、その結果、驚きました! 貴方様の支配下に置かれた愚連隊どもは皆、優しく穏やかな性格になりましたから!』
『ああ、朝から晩まで、真面目に元気に働く奴らの様子を見れば、上手く行ったようだ』
『そ、そのお陰で、我々は助かったんです』
『ほう? そのお陰で、お前達が助かったって、どういう事だ?』
『はい、実は……支配下前の愚連隊どもは弱い者いじめが大好きで、街で猫を見かけると脅かして追い回したり、やたらに石を投げたりしていました』
『おお、何だよ、そりゃ酷いな』
『はい、酷かったです。いわれのない迫害を受け、猫達は困っておりました』
『ファザーガッド、その間、お前はどうしていたんだ?』
『はい、当然ですが、にっくき愚連隊どもを何とか懲らしめてやろうと日々考えておりました。しかし私が本気を出し、人間を殺しでもしたら、後味は悪いし、この明るい王都の雰囲気も凄く悪くなります』
『まあ、そうだな』
『どうやれば上手く事を収められるか、悩んでも、私には上手い方法が見つかりませんでした』
『そうか』
『悩んで悩みまくっていた時、貴方様が現れたのです』
ファザーガッドはロジェを見つめ、そう言い切ったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
『ふうん、まあ俺は俺で目的があってやった事だが、ついでにお前達にも平穏が訪れて良かったよ』
ロジェがそう言うと、ファザーガッドは、
『……という事で、我が一族と王都の猫、いやこの世界の猫達は、恩義ある主様に忠実にお仕えしたいと思います』
とんでもなく嚙み合わない会話をし、とんでもない宣言をした。
驚いたのはロジェである。
『おいおいおい! という事でって何だ? お前は人の話を聞かね~奴だな、ちょっと待て!』
『いえ! 待ちません! これは決定事項ですので!』
『いやいやいや! 決定事項じゃねえ!』
『いえ! 主様! 完璧に決定事項です!』
『はあ? 完璧にって、どういう理屈でそうなる? 偶然というか、ついでに助かったお前達が俺の配下になるって、何しれっと言っていやがるんだ』
『だって! あんなとんでもない愚連隊ども500名を配下にしたではないですか!』
『だってじゃねえ! 話をすりかえるなよ。……いや、あれは話の流れで仕方なくだ』
『いえ! 私は納得いきません! あんなむさいヤローどもを配下にしたのに、何故、美しく人間に人気ナンバーワン愛玩動物の我々猫を配下にしないのか、明確なエビデンスを説明して貰えますか?』
『はあ? 明確なエビデンスだと?』
『はい!』
ここで「あ、そうだ!」とロジェは思い出した。
既に自分には従士の魔獣ケルベロスが居る。
そもそも冥界の犬と妖精猫って、相性はどうなのだろう?
『あのさ……ファザーガッド』
『はい、何でしょう! ちなみにファザーガッドはあくまでも称号、私の事は名をお呼びください。ナタンと申します』
『ふう……じゃあ、ナタン』
『はいっ! 何でしょう主!』
『悪いけどさ、俺にはもう魔族の従士が居るんだわ』
『成る程、ではそいつはリリースして、我々が即、交代ですね』
『は? リリースして即、交代? いやいやいや! 無理だわ!』
『ふむ、ちなみにその従士はどのような者でしょう?』
『おいおい、従士にするのは無理って言ってるのに、相変わらず話を聞かね~奴……むう、どのようなって、まあ……はっきり言えば犬だ』
『何です? よりによって犬なのですか?』
『よりによって犬って、あのな……』
『そんな愚かしいくそ駄犬より、この美しく賢いファザーガッドの私ナタン以下、100体のケット・シー軍団、そしてこの王都だけでも2千匹の猫軍団の方が配下として、断然使えるじゃないですか!』
ファザーガッドのナタンは、きっぱりとそう言い切ったのである。
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