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第32話「お前から、何か話があるんじゃなかったのか?」

クリスの説明を受け、お勧め依頼10の中から、

ロジェは気になった一件の依頼について話し合った。


それは、この王都から数十から100㎞ほど離れた場所にある、

いくつかの町村への手紙配達の仕事である。


王都から先方へ手紙を届け、

逆に先方の手紙を王都へ持ち帰れば、報奨金は1往復金貨5枚との事。


聞けば、正規便の馬車荷便が魔物や賊に襲われ、休止中との事らしい。


現在別口の業者へ交渉中なのだが、リスク発生の為か、なかなかまとまらず、

とりあえず臨時で冒険者を雇い、手紙だけを運んで貰おうという話になったという。


しかし、往復の距離が約200㎞で1往復金貨5枚という報奨金が折り合わないせいなのか、まだ受諾しようという冒険者は居ないそうだ。


詳しい話を聞き、この案件だ! とロジェは思った。


往復の道すがら、人目がない時に、転移、飛翔、浮遊を存分に試せ、

時間が短縮出来て、余った時間を有効に使える。


走る際ダッシュをかければ、身体能力のテスト&鍛錬となるし。

他にもいろいろと出来そうだ。


ちょっと寄り道して、荒れ地で鍛錬とかいいかもしれない。


「クリスさん、ならば、ちょうどいいです。俺、手紙だけではなく、大きな荷物も運ぶ馬車荷便の代わりをやりますよ。その代わり報奨金は大幅に上げてください」


「え? ロジェさんが馬車荷便の代わりを?」


「はい、俺、容量の大きい収納の魔道具を持っていますから。運搬能力はばっちりです。馬車の代わりが出来ますよ」


「な、成る程! 収納の魔道具ですか! それはいい! で、あれば、労働条件もだいぶかわりますが、お望みの報奨金アップは可能です。というか段違いにアップすると思います」


「ですか!」


「はい! 少なくとも一気に10倍の金貨50枚は固いと思いますよ」


「おお、一気に10倍で金貨50枚ですか」


「はい、それと運ぶ積み荷の数、価値を考えれば、相当の危険手当もつくと思いますね」


「危険手当ですか」


「はい、馬車荷便は魔物や賊の害をだいぶ受けましたから。まあプラス金貨15枚というところでしょう」


「成る程」


「ただ剣聖にも勝るロジェさんのスピードなら、相手の強さを判断した上で、無理をせず戦わないで退避したが無難でしょうね。襲って来た敵は殆どが、追いついて来れないはずですから」


「分かりました、クリスさん。充分、注意して臨みたいと思いますから、ぜひその案件の交渉と調整をお願いします」


「はい、数日中にはご報告出来ると思います。念の為、この調整が上手く行かない場合もありますから、ロジェさんの第三希望の仕事までお聞きしましょう」


クリスは万が一の事も考えて手抜かりがない。

備えあればうれいなしって事だ。


……それからしばしやりとりをし、ロジェとクリスは互いに笑顔であいさつ。


「クリスさん、本当に助かりました。ならばまた少し経ってから伺います」


「はい、ロジェさん、お任せください。お待ちしておりますよ」


こうして、ロジェの依頼打合せは終わったのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


打合せが終わり、冒険者ギルドを出たロジェ。


魔導懐中時計を見れば、時刻は午前11時。


とりあえず白鳥亭へ戻り、アメリーさん達へ報告してから、昼めしを食うか。


そんな事を考えながら、ロジェは王都の通りを歩く。


すると……


にゃああおん!


と猫の鳴き声。


ロジェが見やれば……1匹の黒猫が民家の屋根の上に立っていた。


先日会ったネコの妖精ケット・シーの王『ファザーガッド』である。


ファザーガッドが近寄って来たのは、

最大範囲で張り巡らしっぱなしの『索敵』で分かっていた。


お互いに『放置プレー』で行く話だったが……何の用だろうか?


歩みを止める必要はないだろう。


ロジェは歩きながら心と心の会話――念話で話しかける。


『お~い、ファザーガッド、何か用か?』


『は、話がある! い、いや! 話をさせてくださいっ!』


……この前会った時よりも殊勝な態度になったようだ。


そして何か、俺に話したい事があるらしい。


このまま放置も考えたが、

ファザーガッドの放つ心の波動には先日とは違い『真剣さ』がある。


歩きながらしばし考え、ロジェは決めた。


これは、ちゃんと落ち着く場所で話した方が良いかもと。


確か……


『分かったよ、この先に公園がある。あまり時間は取れないが、ベンチに座って話そうか』


ロジェがそう言うと、


『あ、ありがたい! 感謝します!』


ファザーガッドは恐縮し、礼を述べた。


……という事で、ロジェとファザーガッドは公園へ。


上手い事に片隅のベンチが空いており、周囲に人は居なかった。


これなら、ベンチに座り猫とたわむれる『いち市民』という事で、

他者から変に思われないだろう。


ふたりは、ベンチの端と端に座った。


ファザーガッドはとロジェが見やれば、少し緊張しているようである。


これはロジェから話しかけた方が良さそうである。


『で、話って何だ?』


しかし、ファザーガッドから返事は戻って来ない。


『……………………………………………………』


『おいおい、どうした?』


『……………………………………………………』


『お前から、何か話があるんじゃなかったのか?』


『……………………………………………………』


何故かファザーガッドは無言のまま。


放つ心の波動は震えていた。


どうやら、ひどく「びびっている」らしい。


ここでついにファザーガッドが言葉を発する。


『あ、貴方様に! お、お礼を申し上げたく!』


『え? 俺にお礼?』


……何か、コイツの為に役立つ事をしたっけか、俺は。


心当たりが全くないロジェは、?マークを飛ばしまくる。


だが、ファザーガッドは、


『貴方様のお陰で、私の配下達は助かりましたあ!!』


そう大声で叫び、ぺこりと頭を下げたのである。

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