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第29話「かぎ爪団をきっかけにして、愚連隊全てが真面目になればと俺は願っています」

翌朝、午前4時。


昨日に引き続き、ロジェとアメリーは、市場へ買い出しに出かけた。


天気は快晴。


頭上に広がる大空には雲ひとつないさわやかな朝であった。


ふたりは仲良く、手をつなぎ歩いている。


誰がどう見ても恋人同士だ。


「ねえ、ロジェ様、気持ちの良い朝ですねえ」


「はい、本当に」


「……そういえば、かぎ爪団は、あれから嫌がらせをして来ませんね。もしかして、ロジェ様を怖れているんでしょうか?」


「ははは、そうだといいんですけどね」


という何気ない会話を交わすロジェとアメリー。

だが、ロジェの希望的観測は事実に裏付けされたもの。


昨日ロジェは、かぎ爪団のアジトにて彼らを無力化、服従させ、

この王都の街に滅私奉公するくらいの労働集団に変えてしまった。


そして夜にはこっそりと転移魔法で出撃。

かぎ爪団の縄張りに隣接する組織『毒蛇団』『竜巻団』ふたつの愚連隊を無力化し、同じく健全な『労働集団』に変えたのである。


これで王都に巣食う残りの愚連隊は5つ。

今日中に片付けるつもりだ。


ちなみに『毒蛇団』『竜巻団』のメンバーに対し、

ロジェは『素顔』《まあこちらも所詮は擬態なのだが》を見せ、

親しき(あるじ)としてしっかりと認識させてある。


ふたりがしばし歩くと……

通りのあちこちで男達が清掃をしているのにでくわした。


男達はかぎ爪団である。

ボス以下全員で、ロジェに命じられた通り、

早朝のボランティア清掃を行っているのだ。


金髪の大男ムキムキマッチョマンのかぎ爪団ボスがロジェに気づいた。


一目散に駆け寄って来る。


ボスが駆け寄って来るのを見て、怯えたアメリーが短い悲鳴をあげ、

ロジェへしがみつく。


対してロジェは「大丈夫ですよ」と穏やかに言い、

緊張するアメリーをかばう様に前面に立つ。


しかしボスは、ロジェ達の前で「おはようございます! ロジェ様!」と声を張り上げ、丁寧に深くお辞儀をした。


意外なボスの態度にアメリーはびっくり。


いかにもヤバそうな危険男(デンジャラスマン)が、

礼儀正しくあいさつをしたのだから。


対して、ロジェもフレンドリーにボスとあいさつを交わす。


「おう、おはよう、お疲れさん。言われた通りにやっているようだな」


「はい! ロジェ様! 留守番を除く団員全員が作業しております。我々が掃除をして道行く人々にはびっくりされましたが、ありがとうとお礼を言われ、通りかかった衛兵にもボランティア清掃をしたいと告げたら、お疲れさんと言われました」


よほど嬉しかったのか、笑顔のボスは一気に話した。


ロジェも釣られて笑顔となる。


「おお、そうか。良かったじゃないか」


「はい、まじめに働き、感謝されるのがこんなに気持ちいいとは知りませんでした。我がかぎ爪団は、ロジェ様のおっしゃる通りにして本当に良かったです」


「そうか。今まで犯した罪は簡単に消えないが、人々から信頼されるよう、とにかく地道にコツコツと働くんだ」


「はい、ロジェ様!」


「うむ、よろしい。では清掃を続けてくれ」


「はいっ! では、ロジェ様! 失礼致します!」


ボスは直立不動となって、ロジェへ、びしっと敬礼すると、

回れ右し、団員達の元へ戻り、清掃作業を再開したのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


ロジェとかぎ爪団ボスが、やりとりをしている間、

アメリーはず~っと、ロジェの背後に隠れていた。


ボスが去ると……アメリーは恐る恐るという感じで出て来て、

元のようにロジェの横へ並んだ。


「あ、あの、ロジェ様」


「はい」


「ど、どういう事でしょう? あの凶暴なかぎ爪団があんなに大人しく礼儀正しくなり、ボランティア清掃までしているなんて!」


「はい、実は……」


と、ロジェは昨日の事を話した。

当然、大幅に脚色してある。


かぎ爪団が、白鳥亭付近で嫌がらせをしていた事。


嫌がらせをしながら、自分――ロジェを待ち伏せしていた事。


そのまま放置するわけにもいかず、やめるよう説得した事。


かぎ爪団のアジトへ赴き、カタギになるよう説得し、ボス以下全員が受け入れた事。


「犯罪行為は全て厳禁。みかじめ料は廃止させましたので、もう理不尽に現金や金品を奪われる事はありません」


「ええええ!? ほ、本当ですか、ロジェ様」


「はい、本当です。ちなみに、あのボランティア清掃は、彼らの罪滅ぼしというか、サービスの一環です」


「え? サービスの一環?」


「はい、今まで散々悪い事をして来ましたから。かぎ爪団には、労働や奉仕活動で還元させますよ」


「そ、そうですか……でも、傍若無人な彼らが良くロジェ様の説得に応じましたね。ロジェ様が暴力を振るって言う事をきかせたという感じでもないですし」


「はい、まあ真摯に説得しましたら、彼らも最後には分かってくれましたよ」


「す、凄いですわ、ロジェ様!」


「かぎ爪団をきっかけにして、愚連隊全てが真面目になればと俺は願っています」


「ですよねえ! 私もですわ!」


「でもアメリーさん、俺がかぎ爪団を説得したって事は黙っておいて貰えますか?」


「え? 何故ですか? 良い事をなされたのに」


「いえ、そういう事が知れ渡ると、多分他からも頼まれますよね。今回は、たまたま上手く行ったので」


「成る程。そういう事ですか……分かりました、内緒にします。私とロジェ様、ふたりだけの秘密ってことですよね? うふふふふ♡」


……ロジェの願い通り、事は順調に進んでいる。


8つの愚連隊のうち、3組織は既に健全な『労働集団』に変わっていた。


残りは5つ。

つまりマジックは5という事だ。


そうこうしているうちに、ロジェとアメリーは市場へ到着。


超ご機嫌なアメリーは、満面の笑みを浮かべながら、

ロジェと仕入れにいそしんだのである。

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