第26話「かぎ爪団全員が、ハッと我に返り、目の前に居るロジェを見て笑顔となった」
ロジェの行動は、かぎ爪団のアジトの中でも全く変わらなかった。
ボスと並んで、親し気な様子を見せつつ、近づき、
留守番をしていた団員達を完全に油断させると威圧&支配を実行。
ロジェの瞳が怪しく光ると、団員達は、びしっと石像のように硬直し、
動けなくなってしまう。
「!!!???」「!!!???」「!!!???」「!!!???」
「!!!???」「!!!???」「!!!???」「!!!???」
そして結局は、お約束の無言、無表情となり、
「はい、ロジェ様」
「かしこまりました」
「はい、ロジェ様」
「かしこまりました」
そう、淡々と答える繰り返し。
こうしてロジェは、見張りの団員達同様、
留守番をしていた団員達を威圧で次々と無力化し、どしどし従えて行った。
……ほんの15分足らずで、見張りを含めた留守番部隊の団員20人も、
あっという間に支配下へ置く。
そして、1時間後……
縄張りをパトロール中の団員達20人が全員戻って来ても同じだった。
戦意喪失させ、威圧で無力化、支配で言うがままにしたのである。
結果……かぎ爪団50人の団員達は文字通り、ロジェの『支配下』に置かれたのだ。
また今回は、手が回りきらなかった彼らの配下、末端のちんぴら50人には、
団員から改めて『指示』がある事だろう。
愚連隊は縦の社会。
兄貴分の言う事は絶対に服従。
逆らう者が居れば、『破門』という形になる。
万が一、それでも反抗するとしたら、
ロジェは、善意の一般市民を装い、普通に衛兵に通報し、託してしまうつもりだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
かぎ爪団のボス以下団員50人を無力化し、支配するだけで話は終わらない。
全員へ更に『お仕置き』をしなければならない。
しかし、今回の『お仕置き』は身体的、
または精神的にダメージを与えるものではなかった。
「そんなの、これまで奴らがやった罪を考えれば甘いぞ」
と厳しく言われそうだが、ロジェがいろいろ考え抜いた結果である。
では一体どうするのか?と突っ込みがありそうだが、
実はロジェが考えたのは、かぎ爪団の強制『カタギ化』である。
犯罪行為などもってのほか。
彼らをひたすら真っ当に働かせ、
この王都の街に滅私奉公するくらいの労働集団に変えてしまうのだ。
かぎ爪団の全員を服従させる作業と並行し、ロジェは団の内情を聞き出して、
完全に把握していた。
また王都の愚連隊全ての名称、縄張りとアジトの所在、ボスの名なども、
聞き出し、所持していた地図へ転記している。
ちなみに魔王に支配された対象は、絶対に逆らえない。
当然、嘘も全くつけない。
ロジェはボス、幹部を中心に聞き取り、尋問を行い、
それでも足りない部分は彼らの心を読み、完全な情報収集を行ったのである。
さてさて!
無言、無表情となったかぎ爪団員達へロジェは指示を出して行く。
「お前達へ、守るべきルールを申し渡す」
「……………………………………………………」
「まず犯罪行為全般は一切厳禁。これ以上罪を重ねるな。殺人は論外だが、暴力行為は厳禁だぞ。あくまでも自衛の時のみ認める」
「……………………………………………………」
「次! しのぎの内で違法行為は一切禁止。一般商店等へのみかじめ料は全て廃止だ。今後は団の直営店経営に専念しろ」
かぎ爪団は、縄張り内の商店等に対し、他の愚連隊から守るという名目で、
高額の現金や代わりとなる金品を徴収していた。
それを一切やめさせる。
同時に、団の直営店――風俗店、飲食店がいくつかある事もロジェは聞き出しており、それらの経営に注力させる事にしたのである。
「……………………………………………………」
「次! 直営店におけるぼったくり、噓八百は厳禁。食材等は良質なものを使用し、適正な価格で真っ当な商売をするんだ」
「……………………………………………………」
「次! 雇用しているスタッフへの正当な俸給の支払いの厳守。劣悪な労働環境の徹底改善」
「……………………………………………………」
「次! 縄張り内における早朝、夕方のボランティア清掃の実施。夜半から深夜にかけて防犯パトロールの実施」
「……………………………………………………」
「最後に、仕事中でもプライベートでも、いつも笑顔でさわやかにをモットーに。特にあいさつを大事にしろ。元気にはきはきと実行するんだ」
「……………………………………………………」
「……とりあえず以上! 絶対忘れず厳守するようお前達の魂へ刻んでおくからな」
「……………………………………………………」
ボス以下全員へ命じ終わると、ロジェは自分の手をぽんと叩いた。
かぎ爪団全員が、ハッと我に返り、目の前に居るロジェを見て笑顔となった。
ロジェの短い『合図』で……絶対服従たる魔王の支配が解けたのである。
だが、ロジェの存在は、親しき『主』として、
かぎ爪団全員に再認識された。
そして出された指示は、絶対に厳守すべき命令として、
かぎ爪団全員の心に刻まれていたのである。
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