第25話「はい、ロジェ様、かしこまりました」
「さあ、お前達、アジトへ案内しろ」
と命じたロジェの言葉を聞き、自分達のボスをがっつり拘束したかぎ爪団の一行は、
とある方向へと歩き出した。
「おい、却って目立つからボスを放してやれ」
ロジェの命令を聞き、配下達はボスをあっさり解放した。
しかし、配下同様、心身をロジェに囚われているボスは一切抵抗しない。
「よし、ボス猿、俺と並び、一緒に歩け。親し気にな」
「はい、ロジェ様」
周囲の人はといえば、後難を恐れ、見て見ぬふりでスルー。
人情紙の如しと言えなくもないが、かぎ爪団の日ごろの悪逆ぶりを、
アメリーから聞いていたので、仕方ないとも思う。
またかぎ爪団の用心深さにより、ロジェの威圧を受けるまで、
配下数人が見張っていたので、衛兵にもとがめられなかった。
逆にそれらが幸いしたと、ロジェはひと安心。
まさに禍を転じて福と為すである。
これで奴らのアジトへ行き、こっそりと人知れず、
そして思う存分に懲らしめられる。
ここでロジェは考える。
このまま奴らに「どなどな」されれば、自動的にアジトへ連れて行かれるだろうが、
念の為、ボスに具体的な行先を聞いておこうと。
あらかじめアジトの場所を把握しておいた方が良い。
魔王の支配を受けている間は、絶対に逆らえないから素直に答えてくれるはずだ。
「おい、ボス猿、これから行くお前らのアジトはどこにある?」
「はい、ロジェ様、この王都ダウンタウンの〇〇地区です」
「成る程。もうひとつ聞こうか。お前らの他に愚連隊はいくつあるんだ?」
「はい、ロジェ様、ウチ以外に7つです。我がかぎ爪団を含め、この王都には8つの組織があります」
へえ……このシーニュ王国王都には、8つの組織、愚連隊があるのかあ。
……う~む。
アメリーさんから話を聞き、
この王都にはびこる悪――愚連隊を一掃しようと思っていたし、
強引にやれば出来なくもないが、……無理は禁物だな。
急いては事を仕損じるとも言う。
冒険者になったばかりで、焦って目立ち過ぎてはまずいし、
今日中に、愚連隊全部を、お仕置きするのはやめておこう。
そう決めたロジェは、ぱっと切り替える。
……こいつらを尋問&お仕置きしながら、ゆっくり考えよう。
「おい、ボス猿」
「はい、何でしょう、ロジェ様」
「お前らのアジトには、あと何人居るんだ?」
「はい、ロジェ様、留守番が20人ほど、あとの20人は縄張りをパトロールしています」
「成る程、お前らかぎ爪団の構成メンバーは全部で50人なのか」
「はい、ロジェ様、正式なメンバーは全部で50人、後は地回りのチンピラども50人が準構成員です」
「そうか、分かった、なんやかんやで、かぎ爪団は計100人か」
「はい、おっしゃる通りです、ロジェ様」
ロジェにより心身を支配されているにボスは、
「ぺらぺら」とためらいなくしゃべった。
……とりあえずアジトへ着いたら、留守番どもを支配してしまおう。
それから細かい段取りを考えようか。
ロジェはそう考え、ボス達10名とともに、かぎ爪団のアジトへ向かったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
……それから歩くこと約15分。
ロジェとかぎ爪団のボス以下10名は、王都ダウンタウンの〇〇地区の、
とある大きめの古びた民家に到着した。
この民家がかぎ爪団のアジトらしい。
出入り口には、見張りらしき目つきの鋭い男がふたり、こちらを見ていた。
ロジェは、ボスとともに、すたすたすたと歩いた。
配下達も、その後に続く。
見張りの男達は顔を見合わせ、怪訝な表情をしたが、
ボス以下仲間の10人がロジェと普通に同行しているので、
危険はないと判断したらしい。
「ボス、お帰りなさい!」
「そいつがクソ生意気なガキとやらですか?」
ロジェはかぎ爪団の中では、『クソ生意気なガキ』として認識されているようだ。
「……………………………………………………」
見張りのふたりが話しかけたが、ボスは全くの無反応、無表情であった。
さすがに見張りのふたりも馬鹿ではない。
何かが起こっている!? 緊急事態だ!! と気づいたらしい。
しかし、その瞬間、ロジェの瞳が怪しく光る。
「!!!???」
「!!!???」
するとふたりは、先ほど同様、びしっと石像のように硬直、動けなくなってしまう。
ロジェの『支配』により心身を囚われたのだ。
「よし、お前達、パトロール中の奴らを全員、アジトへ呼び戻して来い。ボスが緊急招集をかけたと言ってな」
「はい、ロジェ様」
「かしこまりました」
「念の為、あくまでも笑顔でな。緊急招集だが、非常事態ではないとも団員達へ伝えるんだ」
「はい、ロジェ様」
「かしこまりました」
たったふたりでは、パトロール中の団員全てを呼び戻すのに時間がかかってしまう。
「お前達も、5人くらい一緒に行け」
「はい、ロジェ様」
「かしこまりました」
「さっき言った注意を忘れるなよ」
「はい、ロジェ様」
「かしこまりました」
こうして、見張りを加えた団員7人は王都の街中へ……
残ったのロジェとボス以下7人。
ボスの言葉通りならば、アジトにはまだ18人が居るはずだ。
そいつらを従え、パトロール中の20人が戻ったら、説教&お仕置きだ。
説教&お仕置きの後に、今日どうするのか考えよう。
「さあ、アジトの中へ入るぞ。ボス猿、俺と一緒に先頭に立つんだ」
「はい、ロジェ様、かしこまりました」
という事で、ロジェとボスは先頭でアジトの中へ入ったのである。
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