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必要なもの
音楽というものは人間が生きていく中で必ずしも必要なものではない。
音楽とは、人間の感性が生み出す娯楽に過ぎない。
そして自分は、それに関わることは一生ないのだろう。
もちろん街やテレビなんかから流れてくる音楽を耳に入れることはあるがそれはとても遠い国の話というか、きっと自分とは違う感性や価値観を持った者たちが、その生まれ持った才能を活かして作り出された音を世に送り出しているから、勝手にこの耳まで届くわけで・・・。
音楽の授業なんかで、英語の歌を歌わせられたり、興味のないクラシックなんかを垂れ流しにされて、ぷぁーぷぁー泣くだけの鍵盤ハーモニカを持たされたり、ピーピー悲鳴を上げるリコーダーを吹かされたり、大して上手くもないのに人前で歌わされて恥ずかしい思いをしたり・・・。
音楽というものは人間が生きていく中で必ずしも必要なものではない。
少なくとも自分には。
きっとそれは遠い国の話。
自分とは何の関係もないおとぎ話なのだ。
だから彼は、きっとおとぎの国からやってきたのだ。
音楽の国から、その音を伝えに。