9話 仕込み傘の秘密(これでもまだ一部分)
俺の仕込み傘に仕込まれた剣はメガミ二ウム、神界の神様の家のサッシによく使われる金属だ。 衝撃や熱、酸に強く、さらに軽量で魔力を通しやすく、念じることで思い通りの形に変化させることもできる優れもの、ちなみに神界ではありふれた素材だが、人間界ではオリハルコンやヒヒイロノカネよりもレアな素材だ。
傘のハンドル、つまり持ち手を握り、捻りながら引っ張ることで、内蔵された剣を引き抜く。
「なんだあれ、仕込み杖か、、、?」
観客席の冒険者がざわめく、まずは手始めだ、身体強化をかけて、ロックさんに突撃し、剣を振り下ろす。
「甘ァい!」
ガキィィン!!
ロックさんは手甲で軽々と受け止める、しかし俺の剣が手甲に傷をつけているのを見るといなや弾き返す、それに追撃してロックさんは拳を叩き下ろしてきた、それを避けると避けた地面に小さなクレーターができた。
なるほど、ロックさんは観た通りのパワーキャラ、攻撃を受けながら凄まじいパワーで相手に反撃をあてる戦闘スタイルのようだ。
「軽い模擬戦のはずなのに本気のカウンターじゃないですか、手心をお願いしますよ」
「ぬかせ、俺の手甲に切り傷を入れるレベルの冒険者候補生に手心なんて必要ねぇだろ」
「こっからは8割パワーで行かせてもらうぜ」
ロックさんは受け身の構えを変え、前傾姿勢になる。 次の瞬間、ロックさんがが猛スピードで突っ込んで来た、その鈍重そうな図体のくせしてとんでもないスピードだ。
避けながら思案する、とりあえず傘の例の機能のテストをやってみるか、剣を納刀し、傘を開き、突進してくるロックに向ける。
「アンブレラ・シールド!!」
ぽよ〜ん「うおっ!?」
肉弾戦車と化したロックはまんまと傘に突撃し、傘の反射シールドモードによって弾かれた。
「おいおい、なんだそりゃ!?」
弾き飛ばされたロックさんは驚愕する。
【アンブレラ・シールド】俺が傘につけた機能の一つ、メガミニウムを繊維化し、傘の生地にしたもので、俺が反射のエンチャントをで受けた攻撃をそのまま反射する、反射シールドを形成する。
さて、反撃開始と行こうか。
「そこまで!!」
ターメリさんが止めた。
「これ以降は普通の戦いになってしまうので中止です!!」
「え、でもこれ、冒険者試験なのでは?」
中止にされて冒険者免許がもらえないのは困る。
「あそこまで俺と戦えてたんだ、問答無用で合格だよ。」
「はわわわわ、すごい戦いでした、、、」
マーチがあわあわとしている。 どうやら合格のようだ。