6話 へっぽこ少女 マーチ
「大丈夫でしたか?その、、、色んな意味で、、、。」
「う゛、う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛」
ウォンウォンと泣きながら、巫女風の装いをした少女は鼻水ダラダラでこっちに擦り寄ってきた。
「えっ、ちょ、「こ゛わ゛か゛っ゛た゛、、、こ゛わ゛か゛っ゛た゛で゛す゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛」うわぁ!!鼻水、鼻水が服についてるから!!」
「わわわ!!す、すみません!!」
少女は慌てて掴んでいた裾を離す、掴まれていた裾が若干カピっとしているが気にしない、気にしない。
「本当にありがとうございます、色んな意味
でピンチだったので助かりました、、、色んな意味で、、、」
「怪我とかはなさそうですね。」
パッと見たあたり、牙に刺されてたりなどはしていない、本当によかった。
しかし、このコスプレもどきみたいな格好をして何をしていたのだろうか?
「あ、あの、イノシシに追われてましたけど、何をしてたんですか?武器もなしに。」
「ギルドの依頼で森で薬草を採取していたんです!武器は持ってますよ!この薙刀が、、、あれっ!?」
少女は何もない右手を突き出す。そしてあわあわと周囲を見回す。
「もしかしたら薬草が生えていた泉周辺に置きっぱかもしれないです、、、」
青い顔でそう答える。
「えぇ、、、」
この子、思った以上にポンコツだ。
「すみません!今から戻って取ってきます!!」
「ちょっと待って、俺もついて行くよ、なんか心配だし。」
このまま行かせても嫌な予感がする。またスケベイノシシみたいなのに絡まれても大変だ。
イノシシをマジックバッグにしまい、共に泉へ向かう。
泉に向かいながら、色々な話をした。彼女の名前はマーチというらしい。
自分も名前を名乗った。ナオキ=カサギと名乗った。俺の出身も聞かれたため、ダンジョンのない超田舎出身と答えた。
どうやら俺が降り立ったこの場所ははスターティアといい、グランディア王国の辺境にある田舎町で、ダンジョンがあるそうだ。
「ダンジョンがあるということは、ダンジョン産業が盛んなのですか?」
「まぁ、ダンジョンといってもギルド協会の定めたダンジョンランクの【初級】ランクなので、すごいダンジョンってわけではないんですよ、」
「ん?ダンジョンランクってなんですか?」
「ダンジョンランクはですね、冒険者ギルド教会が定めたダンジョンの難易度を示すランクなんですよ。」
この世界のダンジョンにはそれぞれランクが存在し【初級】【中級】【上級】【超級】
【魔王級】の5つが存在する。
ここ、スターティアにあるダンジョンは【初級】、一番難易度が優しいダンジョンらしい、中にいる魔物が弱く、トラップもほとんど存在しない、また、あっても即死のような恐ろしいトラップなどは存在しない代わりに、落ちている宝箱やドロップするアイテムはあまりいいものではないらしい。
「ダンジョンのことをここまで知らないってことはナオキさんはかなりの辺境に住んでいらっしゃったのですね。」
「ハハハ!そうなんですよ、身体一つで飛び出してきたはいいものの、冒険者登録の仕方もわからないんで、野原で昼寝してたんですよ」
「なるほどなるほど!そうでしたら、この私が冒険者ギルドへお連れしますよ!何かお礼をしなければなりませんからね!」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
こいつは僥倖だ、女神様からギルドで冒険者登録をしろくらいしか聞かされてなかったので、登録方法の仕方などは知らない。
少々へっぽこだがマーチは親切だ、いい人に出会ったな、つくづく自分は幸せだ。
結構な方に見ていただいているようで驚愕です。こんな稚拙な文ですが暇つぶしでも見ていただいて嬉しいです。