雨あがりの町
雨あがりの町に陽のひかりがさし
ぬめりあるアスファルトが鈍色でこたえる
あたまのなかの空とは青さがちがい
いっそのことモノクロームにしてしまいたい
すずめたちはおぼえているだろうか
君という人間がここにたしかにいたのだと
いつかなにもかもが洗い流され
記憶と記録がまぜこぜ芝居
そのときぼくは観客席でしたり顔して
となりの女にささやくのさ
こんな時代もあったけど
いまを楽しめば勝ったもおなじ
そしたら女は髪をかきあげ
しらけた笑顔できいてくるんだ
あの日のあなたも今のあなたも
のっぺらぼうな顔なのはなぜ
しめった空気が首にまとわり
息がすぐにあがってしまう
ぼくはいつかの時までおぼえているだろうか
君という人間がここにたしかにいたのだと
たしかにここにいて消えてしまっただけなのだと