第1章 第4話 シオ視点 その1
1話よりも前の時間
シオ視点
???:「新たに生まれた魔族のサポーターとして仕事をしてこい。」
シオ:「はい、分かりました。マスター。」
私もついにサポーターとして世に出される時期となりました。この村で生まれた精霊は16~20歳までの間に魔族のサポーターとして表世界へと旅立ちます。
アーク:「おねーちゃん、また会おうね!絶対だよ!」
この子が私の可愛い弟のアーク。まだ9歳。
シオ:「また会えるから心配しないでいいよ。」
そう言って頭を撫でました。本当はもう二度と会えないんですけどね。そんなこと言って余計に不安にさせても仕方ないです。
どんな魔族のもとに行くのか楽しみです。カッコイイ人だといいなぁ。精霊の村ではあまり同年代との関わりがなかったので、恋愛というものには興味があります。
魔族のサポーターのための勉強も頑張ってきました。どうも伝えてくれることと伝えていけないことがあるみたいで全然を知ることは出来なかったけど、それでも未来のだn...、仕える魔族のために知れる限りは調べ尽くしたはずです。
???:「魔族の名前はヴィオという。面白いやつだ。大切にしてほしい。」
シオ:「分かりました!任せてください。」
???:「あと持ってる特性は○○だ。」
シオ:「それは楽しみですね。」
???:「任せたぞ。」
そしてシオはダンジョンへと転送された。
目の前には魔族の男が眠っていた。
ふーん。カッコイイじゃん。少し年上の雰囲気はあるけど、仲良くなりたいな。あわよくば恋愛出来ないかなぁ。寝顔にはあどけなさがあるような気もする。しばらく眺めていられるわ、これ。それにしても全然おきないなぁ。なんだか眠くなってきたなぁ。ふぁぁぁ。zzz...。
シオ:「ふぁぁぁ。新たなダンジョンマスターですか?」
ヴィオ:「ああ、そうだ。」
やばい。あのあと眺め続けてダンジョンマスターが起きた後まで寝てたのか。折角カッコイイ人見つけたと思ったのにこれじゃあ幻滅されるかなぁ。字だけ聞くとぶっきらぼうに聞こえるかもしれないが、話し方は若干緊張も混ざっている感じだった。
シオ:「お待ちしておりました。このダンジョンマスターのサポーターのシオです。何か聞きたいことはありますか?」
答えられる限り答えて挽回してみせる!そう意気込んだ。
ヴィオ:「ダンジョンについて教えてくれないか?」
そんなことか。朝飯前だな。もっと、ダンジョンの手っ取り早い強化方法とか聞かれるのかと思った。あとは、私のスリー...何言ってんだ私。流石に恋に飢えすぎてるかも...。普通に考えたら、いきなりそんなこと聞いてくるのはヤリマンくらいじゃん。そんなこと聞かれたらドン引きするべきところだよね。いや、ヤリマンならそんな不失礼なこと聞かないか。いやいや、そんなこと考えてる場合じゃなくて説明しないと。
シオ:「ダンジョンというのは魔族が作ってそこで生活するためにあります。ダンジョンの外では"世界の圧力"によって生活することが出来ません。また、ダンジョンにはランクがあり、このダンジョンを含む出来たてのダンジョンはGから始まり、F、E、D、C、B、A、S、SS、EXの順で上位のダンジョンとなります。」
"世界の圧力"っていう言葉で誤魔化したけど、実はどんだけ調べても精霊が知り得る情報には存在しなかった。ただ、理由不明でダンジョンの外に出ると死ぬというだけの存在と教えられた。そこは丁寧に説明してあげても良かったのだが、相手が緊張してる事がわかって自分の中に潜むちょっと意地悪したい気持ちが働いた。
ヴィオがちょっと初耳なんですけどという感じのある動揺を見せてくれたので満足満足。
今度は情報不足で困ってあたふたする姿をみたいなぁ。情報小出しで焦らさせよう。
シオが小悪魔になったのはこの時からだった。
シオ:「また、ダンジョンにはランクがあり、このダンジョンを含む出来たてのダンジョンはGから始まり、F、E、D、C、B、A、S、SS、EXの順で上位のダンジョンとなります。」
ヴィオ:「ダンジョンのランクを上げるためにはどうしたらいいんだ?」
シオ:「DPがある一定の値まで溜まると自動的にランクが上がるようになっています。ただ、一定の値というのがいくつなのかは私も知りません。」
これは本当だ。そもそも、ダンジョンランクは自然に上がるものでいつ上がるかなんて考えてる人が少ないのもあるが、誰も教えてくれないし、知ろうともしてなかった。
それから他のこととかも聞かれたのでそれなりに説明した。
そして最後に、
ヴィオ:「他に説明あるか?」
と言われた。本当は他に様々な説明をしないといけなかったが、ちょっと困らせようと思って、"わざと"ほとんど説明しなかった。もちろん特性のこともだ。
シオ:「ほとんどのことは今説明しましたが、一応言っとくとすれば、ダンジョン周辺で悪影響を与えると人間から危険度ランクが付けられて攻められます。これは人間の感情だけで決まります。また、危険度ランクが付けられるとダンジョンのランクに関わらずそのランクの冒険者からは攻められるようになるので十分注意してください。」
そうして私のサポーター生活は始まったのだった。