9.防災セット買おう買おうと思うんだけど、みんなちゃんと準備しているのかなあ?
残りは4匹。
武器はバールと刃渡10センチくらいのナイフが1本。
グレムリン達は焚き火から移動し様子はないな。
さて次はどうするか。
出来るだけ近づいて奇襲を仕掛けるか、何か物を投げて注意を逸らして襲うか。
もう少し数を減らしたいなあ。
じゃないと怖い!!
囲まれたらボコボコにされるんじゃないだろうか?
俺、喧嘩とかしたことないし。
物を投げて注意を引く作戦にしよう。
近くにあったガラスの瓶を手に取って、グレムリン達の背後に放り投げた。
少し狙った場所からズレたが、ガラスの割れる音に一斉に振り向くグレムリン達。
「ゲギャ! ゲギャ!!」
肩を揺らしながら、それぞれが武器を手に、音のした方に駆けていく。
俺も物陰に隠れながら、グレムリンどもの後方から近づいて、更にもう一つガラス瓶を放る。
「ゲギャー!」
更に音のする方に走り出そうとする最後尾の1匹に素早く物陰から飛び出して、うなじあたりにナイフを突き立てる。
その少し先にいたもう1匹が異変に気がつき振り返ろうとするが、俺はナイフを引き抜いたそのまま両膝に力を込め、飛びかかると眼球を刺して、掌底で奥までナイフを奥までねじ込んだ。
そのまま、横の物陰に身を低くして俺が再び隠れると同時に、2匹のグレムリンが倒れる。
前方にいた残り2匹は後ろの物音に気がついたのか、激しく叫びながら倒れた2匹に駆け寄る。
俺は身を屈めたまま、物陰を利用して迂回して背後に回りこみ、まだ倒れた2匹の側で飛び跳ねる1匹の頭をバールでかち割り、蹴り飛ばす。
残りは1匹。
「ゲギャアアア!」
火かき棒の様なものを振り回しながら、グレムリンは醜い形相で一声叫ぶ。
どうくる?
俺はバールを構える。
グレムリンは叫びながら――――
火かき棒を投げ捨て、背を向けて逃げだした。
「……………………」
俺は火かき棒を拾い、逃げるグレムリンに投げつけるのであった。
「あっ!」
火かき棒に足を取られて転んだゴブリンに近づいてバールを振り下ろす時閃いた。
グレムリンじゃなくてゴブリンだった!
5個の小さな石をポケットにしまい、辺りを見回す。
様々な、キャンプ用品や役に立ちそうなものがある。
よし! 勝手に商品持っていくぞ!!!
…………うん。緊急事態だしね。
人目がないってステキなこと。
色々持って帰りたいが、両手がふさがるのは避けたいし、動きが極端に制限されるのも考えものだろう。
というわけで、第1次物資調達探索隊の成果として厳選した物品を拝借した。
まあ、また後で取りにくればいいんだけどね。
背中にはしっかりした造りの大きめのリュクサック。
『サバイバル救急・災害デラックス』応急医療セットや簡易テント、寝袋や携帯浄水器、サバイバルツールや防水防寒のサバイバルシートなど、サバイバル時だけではなく、災害など非常時にも役立つ様々な商品がこの頑丈なリュクサックひとつに!!
とPOPに説明されていた商品だ。
そして、ジャンケンに負けた小学生が背中と前にランドセルをようにお腹側にもリュクサック。
『防災非常用袋』ダイナモラジオや軍手、ウォータータンクやそして保存水と非常食セット3日分。1人に一袋!いざという時に慌てない為に!!
ほんと助かる一品だよ。有り難い。
そしてバール以外にも新たな武器を得ることができた。
まずは鉈とナイフ
どちらも革の鞘が付いており、ベルトに装着できるタイプだ。鉈は30cm、ナイフは刃が15cm程。
そして、つこれまで共に戦ってきたバールはついにリュクサックにしまわれ、長さ90cmの薪割り斧が新たな主力武器として手に握られている。
片手で振り回してみる。問題なく扱えるのが逆に問題な気もするが、気にしない事にしよう。
さあ、拠点に戻ろう!
お腹がすいたよ。
無事拠点である通路入り口が見えてきた。
ほっと一息つく。
あと少しだ。
疲れた。
お腹が減った。
とりあえず足を伸ばして休みたい。
「ホント、しんどかっーー」
熱。
違和感。
暖かい液体が肌を伝う感触。
右の太もも辺りがジンと疼いた。
「え?」
視線を下に向け、右足をみる。
ジーンズの一部が切り裂かれ、赤い線が一本。そこから、血が流れ出る。
「い、いってえ!?」
そこで初めて痛みを感じ、壁に寄りかかって辺りを見回すが、何もいない。
一体何が…………! 上!?
痛む足を引きずって、俺はその場を飛び退いた。
天井から、1メートルほどの黒い影が落ちてきて、床につく前に空中で浮かぶ。
空中でゆらゆら揺れる黒い影。その影から天井に向かって細い紐の様なものが伸びている。
どうやら天井にへばりついていて、蜘蛛みたいに糸で頭上から襲ってくるモンスターのようだ。
油断した。
六本の足は刃物ようになっていて、白と黒のまだら模様。見た目は蜘蛛と言うよりも巨大な蚊だ。
斧を振るが、態勢も悪く、足の痛みもあり力が入らない。
蚊モンスターの胴体を狙ったが、斧の軌道はそれて上の何もない空間を払うが、天井から垂れていた糸を切るこてができたのか、ぼとりと床に蚊モンスターが落ちた。
俺は、ナイフを取り出すと、刺され!と願いながら、投擲する。
刺さりはしなかったが、刃が胴体を擦り傷をつける。
今度は鉈を投げつける。重たい鉄の刃が今度は頭部に当たり辺りにモンスターの肉が飛び散る。
がそれで蚊モンスターは引く事はなく、ナイフのような脚で飛びかかってくる。
「コイツでどうだ!」
俺は思いっきり斧も投げつけてやった。
モンスターも予想してなかっただろう。
避けきれずに、絡まるようにぶつかると一瞬動きを止めた。
ここだ!
痛む右足を無視して立ち上がり、リュックサックから取り出したのはバール。
蚊モンスターの頭部をL字の先端で掬い上げ、餅つきの杵のように地面に叩きつけてやった。
ピクピクと痙攣し、動かなくなる。
そのまま俺も尻餅をつく。
助かったのか?
俺は、斧を杖代わりにしてなんとか立ち上がると、バリケードに向かう。
こういう時って血に誘われて他のモンスターとか集まったりするんじゃねえか?
くそ。痛え。血が止まらない。
ビチャ!!
「え?」
あっ! さっきの蚊モンスターまだ死んでかったのかよ。
見ると死んだと思った蚊モンスターが、気持ちの悪い液体かけてきやがった。
大人しく死んでおけや!
斧で叩き潰してやった。
ネバっとした変な液体だ。大丈夫かこれ?
はやくトイレに戻って、拭き取りたい。
何より血を止めないと。
俺はバリケードの隙間にリュクサックを押し込んだあと、自分も潜り、なんとかトイレ前にたどり着いて、そして倒れた。
足の感覚がない。
怪我した方ではなく、気持ちの悪い液体のかかった方が感覚がない。
大丈夫じゃなかった。
ど、毒か何かか?
体が震えて目が霞む。
俺は飛びそうになる意識の中で、這いずりトイレに入る。
やばい、やばい、やばい、きつい、死ぬ、死ぬ、死ぬ、死ぬ。
身体が動かない。血が止まらない。
死ぬ。いやだ死にたくない。
何か、何かないか。
『楽園想像』
頭に浮かぶ、スキル名。
そういえば、治癒力が増えるとかあったはず。
俺は最後の消えゆく意識の中でスキルを発動させた。
今日の投稿はここまになります。
よろしければブックマーク登録お願い致します。
明日は21時~22時の間で投稿できればいいなと思っております。