5.タブレットPCで注文するスタイルのお店はしゃぶしゃぶか焼肉か居酒屋が増えたなあ
俺は、恐る恐る『タブレットPCカッコ仮』を拾い上げてみた。
う~む。
やっぱりタブレットPCのようだが、少し厚みがある気がするな。ボタン類や、ロゴなどは無く、液晶面と裏側もツルリと光沢のあるよくわからない材質でできている。充電用の差込口も見当たらない。
試しに液晶面をタッチしてみた。
うお!
黒い画面が反応して、文字が浮かび上がる。
ビビった。
驚いて落としそうになったじゃないか。
この状況での唯一の手掛かりだ。壊れでもしたら目も当てられん。
俺は黒い背景に浮かび上がった白い文字を見る。
読める。普通に日本語だな。
『宮崎 海斗』
誰だ?………………………………俺だ!!
な、何故俺の名前が――――
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宮崎 海斗 レベル7
生命力:48/105
体力: 42/102
状態:健康 疲労(中) 空腹:(小) 混乱(中)
レベル:0→7
生命力:38→105
体力:30→102
力:21→48
頑強:10→20(+3)
反応速度:15→31(+2)
治癒力:10→19
抵抗力:9→13
スキル
楽園創生:レベル2
[スキルポイントが残っています 残:12P]
楽園内効果
ナビゲータ 治癒力増加(小)
装備
血濡れたシャツ:頑強+1
洗っていないジーンズ:頑強+1
洗っていないスニーカー:頑強+1 反応速度+2
不潔な靴下:頑強+0
不潔な下着:頑強+0
バール(小):攻撃力/12
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……なんだこれ。
画面をスライドさせて最後まで見たが、表示されたのはゲームの様なステータス画面であった。
しかも俺の名前で!
しかも装備が失礼過ぎる!!
こ、混乱なんかし、してねえし!冷静だし。冷静沈着な男で通っているし~。
「はあ」
冗談はさておき、あぐらをかいてタブレッPCの画面を何度も確認する。
ここで一つ非現実的だが仮説を立ててみようではないか。これでもゲーム好きのゲーム脳だ。使い方違った気がするけどな。まあいい。
まずは客観的に考えてみようじゃないか。
俺はどこにでもいる普通の人間だ。平凡な36歳独身貴族である。今は無職で、肥満気味だった。
そんな俺は、化け物、ゲーム風に言うとモンスターか? を2匹倒して、経験値っぽいナニカを手に入れてレベルアップしました。ステータスも上がって、しかもよくわからないスキルも一緒にゲット! みたいな?
どうだろうか。確認のしようがないが、いや、タブレットPCの力とか上がってるし、以外と体に変化があったりして。
俺は血濡れのシャツを脱いで見た。
見慣れたぼってとしたみっともない腹とAカップはあるだらしない胸が………………無くなり、六つに割れた引き締まった腹筋とAカップはある盛り上がった大胸筋が代わりにあった。
唖然とする。
ま、マジか。今日何度目のマジか、かはわからないがマジか~。
しばらく自分の身体を確認してみた。
身体全体が引き締まった、細マッチョになっている。俺の人生史上最高のマッチョ具合だ。というかマッチョだった試しがないからな。
……いくつかポーズをとって落ち着いた。
よし次だ。
とりま、ゲームのようにレベルが上がりステータスに伴い身体が変化したとしよう。
次に気になるのはやはり、スキルの欄だ。
「楽園創生……かあ」
しかもレベルは2だ。
タブレットの画面の文字を指でなぞる。
トン。
タップする。
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楽園創生
・スキル概要
如何なるモノにも侵されることのない、貴方だけの世界。たとえ神の怒りや住む星が滅んだとしても、貴方が死亡しない限り創生した楽園は不滅である
・スキル内容
貴方が願うだけで楽園と外を行き来することが可能
スキルポイント振り分け画面に移りますか
*はい
*いいえ
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…………。
よく分からないが、説明読む限りホントにマンガとかラノベの世界だよな。
ごろんとトンデモ部屋で寝転がる。
タブレットから目を離して、周囲を眺めた。
楽園創生ねえ?
今の状態から考えると、まあ、ぶっちゃけ予想はつくよ。
たぶん、今いるここが楽園創生のスキルでつくりだした『楽園』なんじゃねえかなあ。
でこのタブレットPCが楽園内効果の『ナビゲーター』とかな。
つまりここにいる限り、安全って事なんだろうか。
化け物と戦うのに直接関係するかは不明だが、ゲームでいう敵が来ないセーブゾーンみたいなものかな。
それに楽園内の効果に治癒力の増加とある。ここにいるだけで発生するのか。正直怪我はしていないから効果は実感ないな。でも足が攣りかけていたのは良くなった気がする。
スマホを取り出すと、16時28分。以外と時間は経っていないな。
よし。次はこの『スキルポイント振り分け画面』ってのを確認しましょうか。
『はい』をタップしようとしたーー
が、次の瞬間、突然画面が勝手に切り替わった。
ん?
画面には30の文字。
29、28、27と1秒毎に数字が減っていく。
え?え?
18、17、16――――
ちょ、ちょとタンマ! カウントダウン!? なんの??
9、8、7――――
うわああっ!
俺はタブレットを離し、部屋の隅で頭を抱える。
何が起きるんだよ!? 恐いよコレ!
…………………………………………!!
「えっ?」
顔を上げた俺が見たのは便器であった。
ご来場誠に有難う御座います。
誤字脱字等ありましたら教えて頂けると嬉しいです。
なお、スキル名やステータスは時折修正することもありますでご了承くださいませ。